ECサイトの分析手順とは?注目すべき指標と役立つ3つのツール

ECサイトの分析手順とは?EC(ネットショップ)をいまよりもっと

ECサイトのアクセス数・売上を向上させるには、分析が欠かせません。

しかし、「ECサイトの分析はどのような手順で進めればいいのか、何のデータを分析すればいいのか」と、お悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ECサイト分析の手順をお伝えしたうえで、注目すべき指標とおすすめツールを紹介します。ECサイトの分析を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

編集者

JPholic株式会社 ECNOW 編集部

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EC分析では定量・定性の使い分けが大切

ECサイト 分析

ECサイトの分析と聞くと、アクセス数や離脱率などの数値データを用いた分析を思い浮かべる方が多いはず。しかし、数値データのみでは、ユーザーが自社ECサイトを訪れたきっかけやユーザー行動など、数値であらわせない要因を取りこぼす恐れがあります。

そのため、ECサイトの現状を適切に分析するには、数値データを分析する定量分析と、数値以外のデータ(質的データ)を分析する定性分析を使い分けることが大切です。

本章では、定量分析と定性分析の特徴を、詳しく紹介します。

定量分析とは

定量分析とは、アクセス数や客単価などの数値を用いて、分析する手法を指します。たとえば、ECサイトの売上高を分析して、サイトの成長度を調べたり、アクセス数をもとに、集客面の課題を洗い出したりする際に用いられます。

数ある分析方法の中でも最も一般的な手法で、下記のメリット・デメリットがあります。

メリットデメリット
分析結果に共通の認識を持てる
分析結果の信憑性が高い
質的データを捉えきれない
十分なサンプル数を集める必要がある

一番のメリットは、分析結果に共通の認識を持てることです。 定量分析は数値データを分析するため、分析結果が不変であり、分析の担当者が変わったとしても共通の認識を持てます。

たとえば、売上が1,000万円から1,500万円に増加した、アクセス数が1,000から800に減少したなどです。仮に担当者が変わったとしても、売上が500万円増加した、アクセス数が200減少したと判断できます。

チームでECサイトの分析にあたる場合、認識のずれが思わぬ混乱を招く恐れがあります。こうした事態を回避できるのは、定量分析ならではの大きなメリットです。

一方、数値データでは分析できない、ユーザー心理や行動などを捉えられない点は、デメリットといえます。場合によっては売上が伸びない原因が、ECサイトのコンセプトや、競合ECサイトの出現など、数値データ以外の部分にあるかもしれません。

この場合、数値データのみを分析していても、課題の対処が難しいため、定性分析との使い分けが大切です。

定性分析とは

定性分析は記述式アンケートや口コミなど、数値では捉えきれない質的データを用いる分析手法のこと。他社ECサイトとの比較は、代表的な定性分析です。

定性分析には、下記のメリット・デメリットが存在します。

メリットデメリット
データが少なくても分析が可能
顧客心理から改善施策を抽出できる
担当者によって認識が異なる恐れ
データの収集に時間がかかる

一番のメリットは、データのサンプル数が少なくても分析ができること。仮にアンケートを実施した結果、「顧客情報の入力項目が多い」との意見があがったとします。

この場合、顧客から得た意見の妥当性を調べる必要はありますが、サンプル数が1の場合でも、問題点として認識できます。もちろん、サンプル数が多いに越したことはありませんが、定性分析では少ないサンプルからでも十分に分析が可能です。

また顧客心理から、改善施策を抽出できる点も魅力です。さきほどの例をあげると、「入力項目が多い」という意見の裏には、「入力項目が多く手間がかかるため、項目を減らして手軽に入力できるようにしてほしい」との心理が読み取れます。

つまり、ECサイトの入力項目を削減し、なおかつ手軽に入力できるよう改善するEFO(エントリー・フォーム・オプティマイゼイション:入力フォーム最適化)が求められているのです。このように、ユーザー心理から具体的な改善施策を抽出できる点は、定性分析の大きなメリットです。

一方、定性分析で扱う質的データは数値であらわせないため、担当者の主観により認識が異なる恐れがあります。チームで定性分析をする際には、認識のずれを防止するために情報共有が大切です。

また、数値であれば、ツールを用いることで即座にデータを収集できますが、口コミやアンケートなどの質的データは収集に手間と時間がかかります。定性分析を実行するには多くの時間・労力がかかる点はデメリットといえます。

ECサイト分析の進め方

ECサイト 分析

ECサイト分析の進め方は下記のとおり。

  • 分析目的の明確化
  • 仮説の立案と要素分解
  • 必要なデータを収集
  • 分析開始

上記の手順に従えば、ECサイトを初めて分析する方でも、課題の明確化・改善施策の立案が可能です。各工程のポイントについて、詳しく紹介します。

分析目的の明確化

ECサイトの分析に着手する前に、分析の目的を明確にすることが大切です。ひとえにECサイトの分析といっても、分析目的によって必要なデータが大きく異なるためです。

分析の工数を最小限に抑え、自社ECサイトの課題を効率的に対処するためにも、まずは目的を明確にしましょう。分析目的は、自社が抱える課題のうち、優先順位が高いものを設定するのがおすすめです。

たとえば、出店まもないECサイトであれば、CVRを高めるよりもアクセス数を高めることが先決です。自社ECサイトの状況をかんがみて、適切な目的を設定してください。

要素分解と仮説の立案

要素分解とは、目的で設定した要素をさらに細かな要素へと分解する作業のことです。要素分解をすることで、課題の所在や改善施策を捉えやすくなります。たとえば、ECサイトへのアクセスの種類は広告やSNS、ウェブコンテンツなどに分類できます。

この段階で分解した要素のうち、解決すべき課題の仮説を立てます。

必要なデータを収集

次に、各要素の現状を把握するために、データを収集していきます。Googleアナリティクスや自社の集計データなど、仮説をもとに課題が潜んでいそうな要素のデータを集めます。

データを集める際には、なるべく多くのサンプル数を確保することが大切です。1ヶ月分のアクセス数よりも2ヶ月、3ヶ月の方が説得力の高い分析結果を出せるためです。

また、数値データのみならず、質的データも集めて定性分析も重要です。インタビューやアンケートなどを実施して、ユーザーの声を集めておくと良いでしょう。

分析開始

収集したデータを分析し、課題と改善策を明確にしていきます。

分析は、分解した要素のつながりに沿って、漏れがないよう慎重に進めてください。たとえば、トップページから商品ページ、商品ページから注文ページなどです。

また、集めた数値データのみならず、ユーザーの声を取り入れることも大切です。数値データからは読み取れなかった、思わぬ課題が見つかるかもしれません。

とはいえ、いざ分析をはじめると、複数の要素でさまざまな課題が出てくるはずです。予算やリソースには限りがあるため、見つけた課題に優先順位をつけ、重要度の高いものから改善するとよいでしょう。

ECサイトの定量分析で注目すべき8つの指標

ECサイト 分析

ECサイトの分析では、どのようなデータに注目すれば良いのでしょうか。

ECサイトの定量分析において注目すべき指標は、主に下記の8つです。

  • 売上・利益率
  • セッション数
  • CVR(コンバージョン・レート:成約率)
  • 顧客単価
  • LTV(ライフ・タイム・バリュー:顧客生涯価値)
  • リピート率
  • 離脱率
  • CPA(シー・ピー・エー:顧客獲得単価)

ECサイトの分析目的にあわせ、上記の項目を組み合わせて分析を進めてください。

売上高・利益率

売上高と利益率は、ECサイトの収益性を把握するうえで欠かせない指標です。

売上高は、「セッション数 × CVR × 顧客単価」で算出できます。

上記の式からもわかるとおり、ECサイトの売上高が伸び悩む場合は、セッション数・CVR・顧客単価のいずれかに問題があります。ただし、それぞれ問題点が異なるうえに、複数の要素に課題がある可能性もあるため、データを分析して適切に対処することが大切です。

利益率は、売上に対する利益の割合のこと。利益率は、「利益÷売上」で算出できます。

売上が伸びても、コストがかさめば利益は減るため、ECサイトの収益性を把握するには、売上と利益率の両方に注目する必要があります。

売上を向上させる施策について、こちらの記事で詳しく紹介しています。ECサイトの売上が伸び悩んでいる方は、ぜひご覧ください。

セッション数

セッション数とは、ユーザーがECサイトを訪れた回数を指します。ユーザーがECサイトを訪れ、離脱するまでを1セッションとカウントするため、1人のユーザーが3回訪れた場合はセッション数が3になります。

セッション数は、ECサイトのアクセス解析において重要な指標です。売上高の計算式からもわかるとおり、セッション数が少ないECサイトは、CVRが高くとも売上が伸びません。

そのため、セッション数が伸び悩んでいる場合は、「SEO対策で自然流入を増やす」「広告出稿する」「SNSからの流入数を増やす」など、露出を高める施策が必要です。また、アクセス解析で用いられる指標には、セッション数以外にも下記の2つがあります。

  • ユーザー数:サイトを訪問した固有のユーザー数(ユニークユーザー数)
  • PV数:サイト内のページが表示された回数

CVR(コンバージョン・レート:成約率)

CVRはセッション数のうち、商品・サービスの購入にいたった割合を示します。CVRは「購入者数÷セッション数」で求められます。

CVRが高いECサイトは、ターゲティングと商品訴求が成功している状態をあらわします。反対に、CVRが低いECサイトは、ユーザーが訪れてはいるものの、商品を購入せず離脱している状態です。ターゲティングや商品ページでの訴求、サイト構造などを分析し、改善する必要があります。

また、CVRのみを高めても、セッション数や顧客単価が低い場合は、売上につながりません。ECサイトの売上を伸ばすには、セッション数・CVR・顧客単価をバランスよく高めることが大切です。

CVRを高めるための施策について、こちらの記事で詳しく紹介しています。ECサイトのCVRに課題がある方は、ぜひご覧ください

顧客単価

顧客単価は、一回の購入でいくらの金額を支払ったのかを示す指標です。顧客単価は「売上高÷売上件数」で算出できます。

顧客単価は、CVR・セッション数にならぶ重要な要素です。万が一戦略もなしに顧客単価が低い場合は、利益率を圧迫する恐れがあるため、迅速に対処する必要があります。

具体的には、「ブランド価値を高める」「アップセル・クロスセルの推進」などが有効です。顧客単価の引き上げには、中長期的な時間がかかるため、段階的に改善施策を進めることが大切です。

LTV(ライフ・タイム・バリュー:顧客生涯価値)

LTVとは、ひと人の顧客が取引開始から終了までの間で、どれだけの価値をもたらすかを示したもの。LTVが高いECサイトは、顧客のロイヤリティが高く、リピート施策が成功している状態といえます。

LTVの算出方法は、「LTV=平均購買単価×購買頻度×購買期間」です。近年、ECサイトにおけるリピート顧客の重要度が高まったことで、LTVの改善施策を進めるECサイトが増加しています。

リピート率

リピート率とは、新規顧客のうち、リピーターになった割合を示す数値です。リピート率は「一定期間のリピート顧客数÷一定期間内の新規顧客数×100」で算出できます。

リピート率が高いECサイトは、LTVと同様でリピート施策が成功している状態。また、リピート顧客が多いことで、下記のメリットを享受できます。

  • 売上が安定する
  • 集客コストが抑えられる
  • ブランド力が高まる

ECサイトで安定して売上を上げるには、新規顧客をリピーターへと育成することが大切です。

離脱率

離脱率とは、ECサイト内の全セッションのうち、ユーザーがページを離れた割合をページごとに示した数値です。つまり、ユーザーが、ECサイトのどのページからサイトを離れたのかを示すものです。

離脱率は、「離脱率=(当該ページで離脱したセッション数)÷(当該ページを含むセッション数の合計)」で算出できます。離脱率が高いページを分析し、ユーザーが離脱する原因を特定できれば、ECサイトの離脱率を大幅に改善できます。

離脱率が下がれば、ユーザーとの接触機会が増え、CVに結びつきやすくなります。ECサイトの離脱率を分析し、特に多くの離脱が見られるページは、改善すると良いでしょう。

CPA(シー・ピー・エー:顧客獲得単価)

CPAとは、CV一件にかかったコストのことで、顧客獲得単価とも呼ばれます。CPAは、広告の費用対効果を分析する際に用いる指標で、「CPA=広告費用÷CV件数」で算出可能です。

CPAが高い場合は、CV一件に多くのコストがかかることをあらわし、CPAが低い場合は、広告の費用対効果が高いことをあらわします。ECサイトでは、集客のために広告を出稿しますが、あまりにもCPAが高い場合は、利益率を圧迫する恐れがあります。特に、費用対効果の悪い広告は出稿を取りやめたり、広告内容を改善したりすることが大切です。

定性分析の方法

定性分析を行う際は、基本的にユーザーの行動観察を行うことになります。

例えば、ある食材を購入した人が何に困っているかアンケートをとったとして、調理方法と保存方法に困ることが多いと分かった場合、その調理方法や保存方法を記載したパンフレットを添付したり、Webサイトに掲載するなどの施策を打ち出すことができます。

実際にユーザーの情報を集めるには、以下のような方法があります。

  • アンケート
  • インタビュー

またWebサイトの行動を観察する場合は、以下の方法があります。

  • ヒートマップ
  • 行動録画

ECの分析で役立つツール

ECサイト 分析

ECサイトの分析を効率的におこなうには、下記三3つのツールがおすすめです。

  • CRMツール
  • アクセス解析ツール
  • 行動分析ツール

それぞれのツールの特徴を、順に紹介します。

CRMツール

CRMツールは顧客情報管理ツールとも呼ばれ、既存顧客の購買履歴や趣向などの顧客情報を管理するためのツールです。管理したデータは、さまざまな指標として出力できるため、顧客分析を効率化できます。また、従来のExcel管理よりも多くの顧客情報を管理できるため、より効果的な改善施策を策定・実行できるでしょう。

CRMツールの中には、見込み顧客へのアプローチを目指す、MA(マーケティング・オートメーション)を内包する製品もあります。こうした製品を導入すれば、見込み顧客をクロージング、既存顧客をリピート顧客へと育成でき、ECサイトの売上向上を実現できるでしょう。

アクセス解析ツール:定量分析に有効

アクセス解析ツールとは、サイトを訪れるユーザー数や各ページへのアクセス状況を管理するためのツールです。アクセス解析ツールを活用すると、ECサイト内のどのページにユーザーが訪れるのかや、アクセスするユーザー属性などを把握できます。

これにより各商品ページの離脱率の改善や、CV向上に向けた施策を打ち出せます。ECサイトのアクセス面に課題がある方は、無料で利用できる「Googleアナリティクス」を活用すると良いでしょう。

なおアクセス解析ツールは定量分析時に非常に有効です。

行動分析ツール:定性分析に有効

行動分析ツールとは、ECサイトを訪れたユーザーの行動を可視化できるツールです。ユーザーがページ内のどの辺りを注目しているのか、どこで離脱したのかなどを把握でき、離脱率の改善やCVの向上に活用できます。

ヒートマップでユーザーの行動を示すツールもあり、直感的にユーザーの行動を把握できる点が魅力です。

User Heat」「hotjar」のように無料で利用できる行動分析ツールもあるため、まずは無料版を活用しスモールスタートではじめてみてはいかがでしょうか。

なお行動分析ツールは定性分析で力を発揮します。

ECサイトを分析し、改善施策の立案・実行につなげよう

ECサイト 分析

この記事では、ECサイトの分析について紹介しました。ECサイトの現状を適切に分析するには、定量分析と定性分析を使い分けることが大切です。

数値データと質的データを分析することで、自社ECサイトが抱えるさまざまな課題を洗い出し、効果的な改善施策を実行できるでしょう。ECサイトの現状を適切に分析し、改善施策の立案・実行につなげましょう。

弊社、「JPholic株式会社」は、ECサイトのマーケティング支援をおこなっています。サービス成長のために、分析から施策提案・実施までを一貫してサポート。

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