ECサイト運営では、新規顧客の獲得と同じようにリピーター増加も大切です。リピーターを獲得できれば、売上が上がるだけでなく、安定したサイト運営ができます。
しかし、新規顧客が必ずしもリピーターとなるわけではないため、リピーター化を促す施策が必要です。この記事では、ECサイトでリピーターを増やす重要性や、具体的な施策を紹介します。
ECサイトの売上や利益率を上げたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
ECNOWはJPholic株式会社が運営する、 ネットショップ情報メディアです。
30社を超えるECコンサルティング実績や自社ECの運営経験をもとに、 「これからECをはじめる」「ECをいまよりもっと活用したい」という声にお応えします。
ECサイトでリピーターを増やす重要性
ECサイト運営をはじめて間もない時期は、新規顧客の獲得で手一杯となり、リピーター獲得を考える余裕がないかもしれません。しかし、ECサイトの売上や利益を徐々に増やしていくためには、新規顧客をリピーターに育てる必要があります。
それでは、ECサイトでリピーターを増やす重要性を見ていきましょう。
売上が安定する
まず覚えておきたいのは売上はリピーターによって支えられているということ。
80:20の法則(パレートの法則)はご存知でしょうか?全体の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという法則です。これはECサイトにも当てはまり、顧客の2割が売り上げの8割を生み出していると言われています。顧客の2割にあたるのが何度も購入してくれるリピーターです。
つまり、リピーターが増えることで、安定的な売上を上げることができます。
利益が上がる
一般的に、新規顧客の獲得コストは既存顧客に販売するコストの5倍かかる(1:5の法則)といわれます。あわせて、新規顧客は獲得コストが高いにもかかわらず利益率が低いことも特徴のひとつ。
したがって、新規顧客への販売よりも、既存顧客への販売のほうが利益率が高いといえます。
さらなる集客につながる
多くのリピーターは、商品を気に入って購入し続けています。リピーターが増えれば、ブランドや商品に対して好意的なレビューが増えるでしょう。
良いレビューや口コミが多いネットショップは、新規顧客の獲得に有利です。つまり、リピーターの存在が新たな顧客を呼び寄せているといえます。
消費者の多くは商品を購入する際、口コミや評価を参考にして判断するため、購入者に対してレビューをもらう取り組みが非常に重要です。リピーターを増やしつつ、新規顧客を獲得できれば、効率よく売上や集客を増やせます。
集客コストを抑えられる
リピーターを増やせれば、新規顧客の獲得よりも集客コストを抑えられます。新規顧客を獲得するには、ブランドや商品の魅力をイチから伝える必要があり、より多くの人に認知してもらわなければなりません。
一方、リピーターは既にブランドや商品の特徴や魅力を把握しているため、新規顧客の獲得に必要な広告費などを抑えられます。ECサイト運営において、集客は売上に直結するほど重要な取り組みです。
数多くあるショップから自店を選んでもらうためにも、集客力やアプローチ力を高める必要があります。
ブランド力が高まる
商品やサービス、企業に対して好意的な印象を抱いているリピーターは、良い口コミや評判を発信してくれる可能性があります。拡散性の高いSNSで良い口コミを発信してもらえたら、多くの人に自店を認知してもらえるだけでなく、ブランド力が高まるでしょう。
リピーターの評価を知ったユーザーが、新規顧客やリピーターにつながる場合があります。ただし、悪い評価が多いと、反対にブランドに傷がつくでしょう。
特にSNSによる情報発信では、炎上やステマなどにより大きな損害が出る可能性もあるため注意が必要です。
リピーターが増えていくECサイトの特徴
リピーターが増えていくECサイトには、以下のような特徴があります。
- サイトの使い心地がよい
- 記事やコンテンツの種類が多い
- 定期的に更新している
それでは、リピーターを獲得できているECサイトの共通点を見てみましょう。
サイトの使い心地がよい
画面の見やすさや操作性など、サイトの使い心地がよいとユーザーに与えるストレスを軽減できます。最近では、PCよりもスマートフォンからネットショップに訪れる人が多いため、モバイルサイトの対策が必須です。
欲しい情報がどこにあるのかがわかりにくいと、ユーザーにストレスを与え、離脱率を上げてしまいます。見やすくて使用しやすいサイトは、ユーザーから受ける印象が良くなるだけでなく、一度の訪問で多くの商品ページやコンテンツを閲覧してもらえる可能性が高まります。
よって、サイトの使い心地はリピーターを獲得するために大切なポイントです。
記事やコンテンツの種類が多い
商品の品数や品質だけでなく、ECサイト内の記事・コンテンツが豊富で魅力的であれば、リピーターの増加につながります。。
お客様が思わず再訪問したくなるようなオリジナリティの高いコラムやレシピなどを配信していくことが効果的です。
定期的に更新している
定期的に情報やコンテンツを更新することもリピーター増加につながります。お客様に有益な情報を自社サイトやSNS上で定期的に更新することで、「忘れられないようにする」ことができるからです。
ECサイトのリピーターが増えない理由
リピーター獲得の重要性やメリットはわかっていても、なかなか成果が出ない企業も少なくありません。それでは、自社ECサイトのリピーターが増えない理由を把握しましょう。
新規顧客がリピーターになるとは限らない
ECサイトを運営し、新規顧客が徐々に増え、売上が上がっている状態はショップの認知度や信頼性が高まっているといえます。とはいえ、新規顧客がそのままリピーターになるとは限りません。
インターネット上には多数のネットショップがあるため、自社ECサイトと同じような商品を扱っている場合があります。そのため、ユーザーが一度商品を購入しても、再び同じサイトで商品を購入するとは限りません。
商品やサービスを忘れられてしまう
Amazonや楽天といった大手ECモールに属さない自社ECサイトは、顧客から忘れられてしまう可能性があります。忘れられてしまうと、当然ですがリピートしてもらえません。
顧客が自社ECサイトを忘れてしまうのは、企業側がアプローチやサポートをまったくしていないことが大きな原因です。自社商品やサービスを覚えてもらうには、ユーザーとの接触頻度を増やす必要があります。
SNSを利用すれば、ユーザーと直接コミュニケーションを取れるため、安心感や信頼性、親しみやすさを感じてもらいやすいです。ただし、接触頻度を増やすだけでは高い効果は見込めません。
顧客が求める情報を、顧客が求めるタイミングで発信することが大切です。
バイヤーズリモースの発生
バイヤーズリモースとは、商品やサービスの購入後に、顧客が抱える後悔です。商品やサービスをよく理解せずに購入した顧客は、バイヤーズリモースが発生する可能性が高いといえます。
バイヤーズリモースの発生を抑えるには、購入後の顧客満足度を高める必要があるでしょう。そのためには、顧客が購入する前に商品やサービスの情報をしっかりと伝え、理解を深めてもらうことが大切です。
品質の高さや効果的な使用方法など、顧客の満足度を維持できるような工夫が必要といえます。
ECサイトにリピーターを増やす8つの施策
リピーター獲得を課題としているECサイトの運営者も多いでしょう。リピーターを増やすためには、以下のような施策が効果的です。
- メルマガ配信
- ブログやSNSでの投稿
- 手書きのメッセージカード
- リターゲティング広告
- ポイント付与
- 会員限定のサービスやイベント
- 顧客の分析
- ユーザーが交流できるコミュニティ
それでは、リピーター増加につながる8つの施策を紹介します。
1.メルマガ配信
有益な情報やコンテンツを発信しても、ユーザーに閲覧してもらえなければ意味がありません。そこで有効な施策が、メルマガ配信です。
ユーザーに対してメルマガ配信で情報を発信すれば、ECサイトの存在を思い出してもらえるきっかけを作れます。さらに、メルマガ限定の情報を配信すれば、ユーザーのリピート購入を促すことが可能です。
ただし、スマートフォンの普及によりGmailなどのフリーメールが一般化している現在では、以前に比べてメルマガ配信の効果は低くなっているといえます。とはいえ、うまくメルマガを活用できれば今でもリピーター増加を期待できるでしょう。
2.SNSでの投稿
メルマガ配信はリピーター増加に有効な施策です。しかし、LINEなどのメッセンジャーアプリの利用者が増えているため、メール自体が使用頻度の高いコミュニケーションツールとはいえなくなっています。
そこで、多くのユーザーと接点を持つ方法として、SNS利用が効果的です。発送する商品と一緒に、自社が運営するSNSアカウントのQRコードを記載した紙を同梱し、フォローを促します。
ただし、宣伝の投稿が多すぎるとフォローしてもらっても閲覧してもらえないため、ユーザーの役立つ情報を定期的に配信するアカウント作りが重要です。
3.手書きのメッセージカード
ECサイトの規模が小さいうちは、リピーター獲得に向けて労力を惜しまない施策も必要です。デジタル化が進む現在だからこそ、商品に手書きのメッセージカードを同梱すれば、ユーザーから親しんでもらえるでしょう。
ただ、PCで打った文字と手書きの文字とでは、同じ意味でも感じ方が異なります。特に、感謝を伝える場合、手書きのメッセージカードの方がより気持ちを伝えやすいです。
一日に数百件もの注文が入るような場合は、手書きのメッセージカード作成が困難ですが、ECサイトの開業当初は、地道にリピーターを増やす施策も必要といえます。
4.リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、過去に商品を閲覧・購入したユーザーに対して広告を配信し、再び購入してもらえるように促す取り組みです。顧客の購入頻度や広告の配信などを細かく指定して配信できます。
ECサイトを訪れるユーザーは、商品を購入せずに離脱する場合がほとんどです。しかし、ECサイトや商品を購入しようか検討中ともいえます。
そのようなユーザーに対してリターゲティング広告を配信すれば、ECサイトへの訪問や商品の購入を促すことが可能です。
5.ポイント付与
会員登録によるポイント付与で、新規顧客の登録を促す取り組みもリピーター増加につながります。自分で会員登録したECサイトは、忘れにくいといえるでしょう。
ポイントを付与すると、貯まったポイントを使用するために再び利用してもらいやすく、来店を促進できます。会員登録を無料にすると、新規顧客に登録してもらいやすいです。
ネットショップの知名度や信頼度が上がったら、会員登録を有料にして特別感を出す方法もいいかもしれせん。
6.会員限定のサービスやイベント
会員限定で割引など、特別なメリットを用意すればリピーターとなる動機付けを強めることができます。商品やサービスを購入して得られるメリットが大きければ、顧客は意識的に購入するでしょう。
会員限定で割引クーポンを配布したり、イベントを開催したりすれば、リピートを促せます。さらに、会員になることで得られるメリットが大きいほど、さらなる新規顧客の獲得およびリピーター化が狙えるでしょう。
7.顧客の分析
リピーターを増やすためには、新規顧客と既存顧客をそれぞれ分析する必要があります。「どのようなお客様がサイトを訪問してくれるのか」「現状の顧客がどのような不満を抱いているのか」などを分析することで、より的確なアプローチにつながるからです。
たとえば、CPM(カスタマー・ポートフォリオ・マネジメント)分析という手法があります。CPMでは、顧客を「購入金額」「購入回数」「購入頻度」で分類し、グループごとに適切なアプローチをかけていくのが特徴です。
したがって、分析に必要なデータの収集や蓄積が必要となるでしょう。そのためには、既存のECサイトに搭載している顧客分析機能を活用したり、CRM(カスタマー・リレーション・マネジメント:顧客関係管理)ツールやMA(マーケティング・オートメーション:マーケティング自動化)ツールを新しく導入したりするのが効果的です。
8.ユーザーが交流できるコミュニティ
ユーザーが交流できるコミュニティの設置も、リピーター対策となります。購入者が交流できる環境を整え、ユーザー同士がコミュニケーションを取れるようなコミュニティを形成すれば、リピーターの促進につながるでしょう。
ユーザー同士の接触が増え、交流が活発になるほど、商品やブランドへの愛情が深まります。結果として、コアなファンが増え、長期的なリピーターへ変わる可能性もあるでしょう。
コミュニティは、自社で構築する方法もありますが、SNSを活用すれば、コストを抑えることが可能です。
ECサイト運営でリピーターを増やすポイント
ECサイトのリピーターを増やすには、顧客が再び利用したいと思えるような価値の提供が重要です。目玉商品や独自のサービスなどを提供すると、再び訪問してもらえる確率が上がります。
ただし、商品の品数や品質だけでは、なかなか他社と差別化が難しいかもしれせん。そこで、自社ECサイトならではの付加価値を提供すれば、顧客に利用したいと思われる可能性が高くなります。
梱包の丁寧さやスピード、CS(カスタマーサポート)の充実性など、商品以外での差別化も大切です。さらに、SNSなどをうまく活用し、顧客との接点を持ち続けることもリピーター増加には必要といえます。
ECサイトのリピーター増加で売上を上げよう
この記事では、ECサイトでリピーターを増やす重要性やリピーター施策を紹介しました。ECサイトの売上を上げるには、新規顧客を獲得しつつリピーターを増やす取り組みが必要といえます。
リピーターを増やすには、自社ECサイトを忘れられないように、会員限定のイベントやサービス、SNSによるアプローチ、自店ならではの独自性などが重要です。ECモールに比べて自社ECサイトは独自性が出しやすく、手数料も抑えることができます。