ネットショップのメルマガ配信は、お客様へのコミュニケーションや集客、情報発信をするためのマーケティング手法です。メルマガ内で、商品の紹介やセール情報などを発信することで、お客様の心を掴み、商品販売へとつなげられます。
メルマガの作成手順や配信方法にはおさえておくべき要点があり、それらを上手く行うことで大きな成果につながるでしょう。
今回の記事では、ネットショップにおけるメルマガの基本的な知識から、詳しい作成方法やポイントを徹底的に解説します。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
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ネットショップのメルマガを配信する意味と目的
メルマガとは、メールアドレスを登録してくれたお客様に対して送るダイレクトメールです。配信する内容は、商品紹介やキャンペーン情報、生産者の紹介などさまざま。短期間で結果を出すことは難しいですが、日々の小さな積み重ねで、メルマガが集客効果を生み出せます。
しかし、単純に書きたい内容を書くだけでは、売上の向上にはつながりません。タイトルや本文、配信時間など、いくつかの工夫を施して配信することが大切です。
ネットショップでメルマガを配信するメリット
では、ネットショップでメルマガを配信することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?この章では、ネットショップが受けられるメリットを紹介します。
広告費を削減できる
メルマガを配信するのに、費用はほとんどかからないため、ネットショップのマーケティング施策に活用することで、広告費を削減できます。
ネットショップで扱う商品の売上単価や利益率が低いと、広告経由で売り上げても、手元に利益がほとんど残らないことが往々にしてあります。そのような場合に、広告ではなく、メルマガを活用すれば、経費を削減して利益率を高められるでしょう。
コアなターゲットにアプローチできる
メルマガは特定のお客様へダイレクトに情報を届けられます。そのため、WEB広告やSNSなどの他媒体を使うケースよりもターゲットへイチ早く新しい情報を届けられます。
メルマガに登録してくれるお客様は、自社ECサイトでの購買経験があったり、商品や店舗に興味を持っている場合が多いため、このようなコアターゲットへいち早くアプローチすることで、無駄なく売上の向上を目指せるといえるでしょう。
リピーターを獲得できる
ネットショップにおいて、リピーターを獲得できるかどうかは、売上を左右する重要な要素のひとつです。購入してくれたお客様に対して、お礼のメールを送ったり、定期的に商品の情報を配信したりすることで、ネットショップのことを思い出してもらえ、リピートしてもらえる可能性が高くなります。
ユーザーとのつながりを強くできる
メルマガは、ユーザーとのつながりを強化するのにも効果的です。メルマガは、一般的な情報よりも深い情報が個人のメールフォルダに届くため、特別感があり、受け取った購読者の満足度も上がります。
ユーザーは、毎日ネットショップを見ているわけではありません。新商品を追加したり、セールを開催したりしても、気づかないことがほとんどでしょう。そのような場合、メルマガで情報を発信することで、ユーザーに気づいてもらいやすくなるでしょう。
ネットショップでメルマガを配信する方法と種類
ネットショップのメルマガは、メルマガ配信サービスやメールの配信ソフトを使用して配信します。
メルマガ配信サービスには、無料と有料のものがあります。サービスにより機能が異なるので、自分のネットショップに合うものを選びましょう。メール配信ソフトを使用する際は、グループ分けをしておくと効率的になります。
以下では、ネットショップのメルマガで選択できる配信方法の種類についてご紹介します。
「定期配信」と「ステップメール」
メルマガの配信方法は、「定期配信」と「ステップメール」が代表的です。
「定期配信」は、一週間に1回、月に1回など、配信頻度があらかじめ決まっている配信方法を指します。顧客を選ばず、全登録者に送信できるため、よく使われる配信方法です。
もうひとつ、よく使われる配信方法が「ステップメール」です。ステップメールは、メルマガ登録者ごとにステップを分けて、順次配信していく方法です。最初の設定後は、それぞれの顧客へ自動でメールが配信されます。
例えば、商品を購入したユーザーに送るステップメールのシナリオの例は以下のとおりです。
- 購入に対してのお礼のメール
- 発送完了のメール
- 商品到着後のフォローメール
- 関連商品の案内
- 継続促進や割引情報など
このように、順を追いメルマガを送ることで、ユーザーにショップの存在を印象付け、売上アップを目指すことができます。
さらに、メルマガにはテキスト形式とHTMLの形式、2種類のものがあります。
「テキスト形式」と「HTML形式」
テキスト形式は、文字だけで作成される形式のメールです。どのような環境下でも本文が正しく表示されるほか、ウイルスに感染する可能性が少ないため、ユーザーが使うセキュリティシステムで弾かれる可能性も低くなります。
一方でテキストのみのメールなので、他社との差別化が難しく、ほかのメルマガに埋もれてしまう可能性もあります。そこで、開封したくなるような件名を付ける、メールの添付ファイルに画像を添付して、視覚的にアプローチする、などの方法で差別化を図ることができます。
HTML形式は、HTMLを使用して作成されたメルマガを指します。HTMLは、ウェブ上で使われているマークアップ言語で、画像や色などの装飾を施して作成するため、テキスト形式よりも視覚に訴えるメルマガを作成できます。
受け取るユーザーにインパクトを与えられるので、クリック率が高くなるでしょう。しかし、購読者側の受信環境によっては、メールが届かない可能性もあります。
HTML形式のメルマガを作成するためには、HTMLの知識が必要で、習得に時間を要します。ネットショップサービスのメルマガ配信機能では、HTML形式のデザインテンプレートが用意されているものもあります。このような機能を使用することで、簡単にHTML形式のメルマガが配信できるので、ぜひ確認してみましょう。
ネットショップにおけるメルマガの基本的な書き方と手順
次に、メルマガの基本的な書き方を紹介します。手順は以下のとおりです。
- ターゲットとなるペルソナを決める
- 伝えたい情報、テーマ、商品を決める
- メルマガのタイトルを決める
- メルマガの本文を作成する
- 配信と改善案の検討
ターゲットとなるペルソナを設定する
まずは、ターゲットとなるペルソナを決定しましょう。どのような人にメルマガを読んでもらいたいか、できるだけ詳細に、具体的に設定すると、購読者の心に響くメルマガに仕上がります。
- 30代の独身女性、仕事に忙しい日々を送っているが、休日の趣味の時間を大切にしている人
- 30代の既婚女性、子持ち。仕事と育児の両立で忙しいが、美容の手を抜きたくない
このように、知人の中にいそうな、具体的な特徴でペルソナを設定することが重要です。
伝えたい情報、テーマ、商品を決める
ペルソナを設定したら、配信する内容を決めます。内容は、店舗の伝えたい情報や紹介したい商品、商品に関するコラムなど、さまざまなものが考えられます。
毎回似ている内容だと、購読者はつまらないと感じて購読を解除してしまう可能性があります。そのため、読む人が楽しめて、お得に思える内容を定期的に配信するのがおすすめです。
タイトルを決める
タイトルは、テキスト形式、HTML形式のどちらの場合でも、開封率を左右する重要な部分です。多くの人は、メルマガのタイトルを見てから開封します。
購読者が興味を惹くような、具体的なものを考えましょう。キャッチコピーのような印象に残りやすいものにしたり、記号などで装飾をつけたりするのもおすすめです。
具体的で簡潔なタイトルにすると、購読者はメルマガの中身を想像しやすくなり、内容に興味を持った人が開封してくれます。文字数は、スマートフォン向けの場合は20文字前後、PCの場合は30文字前後に設定するようにしましょう。
本文を作成する
次は、メインとなる本文を作成します。最初に、メルマガのタイトルと発行日の日付を記載します。
その後メインの内容を記載し、その下には、その他の情報という順序で記載します。本文は、長すぎると途中離脱の可能性が高まるため、適度な改行や段落分け、箇条書きなどで、読みやすい文章になるよう心がけましょう。
HTML形式の場合は、本文の途中に写真などの画像を入れて、視覚的な部分に訴えるようにします。テキスト形式の場合は、読みやすくなるように、段落分けや記号を用いるのがおすすめです。
本文の最後には、ショップの連絡先とメルマガの配信解除の方法を載せます。この項目は、ショップの信頼性を示すものとなるので、必ず掲載するようにしましょう。
配信の実施と改善案の検討
本文ができたらメルマガの配信設定をします。配信サービスやシステムにより時間帯を予約できるものは、購読者が開封しやすい時間帯に設定します。
メルマガは、配信したたけで終わりにしてはいけません。配信後にデータを確認し、改善点を検討しましょう。初めはデータが少なく、分析が難しいかもしれませんが、蓄積していくうちに分析しやすくなります。
メルマガの到達率や開封率、メルマガ経由での再訪率や購入率など、自社にとって重要な数値を見つけ出していきます。
ネットショップで活用できるメルマガの掲載内容
メルマガのメリットや書き方がわかったところで、この章では、具体的な掲載内容について考えてみましょう。
商品の紹介
商品の紹介は、メルマガの掲載内容の中でもポピュラーな内容です。新商品やおすすめの商品、商品ランキングなど、さまざまな視点から商品を紹介する方法があります。
セール情報のお知らせ
セール情報は、メルマガの掲載内容の中では基本的なもので、頻繁に使われます。セール情報と合わせて、おすすめ商品の情報を載せると、ユーザーの目に止まる可能性が高くなります。
イベントのお知らせ
ネットショップで開催予定のイベントや、開催中のイベントをお知らせする際もメルマガを活用できます。イベント告知で重要なポイントは、イベントで盛り上がっている印象を与えることです。イベント自体のプロモーションも重要ですが、イベントでどのような商品があるのかを説明することで、購入につながる可能性が高くなるでしょう。
ショップ(生産者)の思いや近況
メルマガは、商品紹介やセールのお知らせなど、機械的な内容ばかりだと購読者の心には響きません。前述のとおりメルマガはお客様とつながることのできる貴重な場です。
ショップや生産者の思い、近況などを定期的に伝えることで、ユーザーはどのような人がこの商品を生産・販売しているのか知ることができます。それにより、安心感や親近感をいだき、商品の購入につなげられるでしょう。
商品に関するタメになる情報
ネットショップの情報を多く配信していると、購読者の中には、広告が多いと感じてしまう人もいるかもしれません。そのような気持ちにさせないよう、読んだ人が得する内容を配信する機会も設けましょう。具体的には、商品の活用方法や長持ちのポイント、商品に関する専門的な情報がおすすめです。
レビューの紹介
他のお客様からいただいたレビューや体験談をメルマガで紹介しましょう。第三者の声を届けることで、信頼や実績を印象づけられるほか、お客様に「いいものを買った」「買ってよかった」と自身の選択を肯定してもらいやすくなります。
ネットショップでメルマガを配信する際のポイント
次に、メルマガを配信するポイントについて解説します。
- 配信する日時や頻度を意識する
- 読みやすいメルマガを作成する
- メルマガで読者を育てる
- ステップを分けて数値で管理する
- 開封されやすいメルマガを作成する
ポイントは以上の5つです。詳しく見ていきましょう。
配信する日時や頻度を意識する
配信する日時や頻度を意識すると、メルマガの開封状況に大きな違いが生まれます。配信頻度は、ネットショップで取り扱う商品によって使い分けましょう。
気軽に注文できる消耗品の場合、多くの人が休憩時間に入るお昼の12時前後や、仕事が終わる帰宅時の前後となる18時前後の配信がおすすめです。
一方で、購入に検討を要する価格帯の商品は、多くの人が休みである、土日の日中に送ることをおすすめします。時間に余裕があり、購入を検討してくれる可能性が高くなるためです。
頻度については、多すぎでもなく少なすぎでもない、週に1〜2回を目安に送ると良いでしょう。
読みやすいメルマガを作成する
読みやすいメルマガの文章構成は、3要素で構成されます。
- 目を惹く見出し
- 本文を読みたくなるようなリード文
- わかりやすい本文
本文を書く際は、適度に改行し、文章のまとまりで改行すると、読みやすくなります。声に出したときに読みやすい文章を心がけると、分かりやすくなります。
また、メルマガのボリュームにも注意しましょう。気軽に読めるよう、1〜2分で読み切れる簡単な内容にしましょう。長くとも5分程度で読めるものがおすすめです。
メルマガで読者を育てる
一度メルマガを開封しただけで、リピーターになってくれるユーザーは少ないでしょう。一方で、開封したくなるようなメルマガを配信し続けることで、お店の存在を忘れていたお客様に思い出してもらい、機会があれば購入しようと思ってもらうことが大切です。
定期的に質の良いメルマガを配信することで、購読者をリピーターの予備軍に育ててます。メルマガは、情報発信がスピーディーにできるという早さの部分に焦点が当たりがちですが、購読者とコミュニケーションが取れる点も大きなメリットです。購読者と深く、丁寧に関わりを持つよう心がけ、読者を育てていきましょう。
ステップを分けて数値で管理する
メルマガを配信したあと、そのままにしていませんか? メルマガを見て、商品を購入するまでには、必ず通る道筋があります。
メルマガを開封したあと、メルマガの中に掲載された商品やネットショップのリンクをクリックします。そのあと、ネットショップを見て商品を購入します。このときに着目する数値は以下のとおりです。
- メルマガの開封率(テキスト形式では開封率が測れず、HTML形式のみ測定できます。)
- クリック率:メルマガ内のリンクを経由してネットショップに訪れた数値
- 購入率:メルマガを経由して購入した割合
開封率は、メルマガの件名に対する評価です。中身を読んでみたいなと思える件名だと開封率は高くなります。
クリック率は、メルマガの内容に対する評価と取れます。メルマガを読み進めて、内容に興味を持てば、掲載されたリンクをクリックします。購入率は、リンク先のページに対する評価になりますが、メルマガに関して評価する場合は、掲載したリンクはこのページで良かったのかという評価にもなります。
これらの数値を分析すると、購読者がどの部分で離脱したのか把握できて、今後の改善策を検討しやすくなるでしょう。
開封されやすいメルマガを作成する
開封されやすいメルマガにするためには、メルマガの件名を工夫します。件名の中に興味のあるキーワードが含まれていれば、開封してもらえる可能性が高くなるためです。そのためには、購読者の興味を惹くようなキーワードを入れつつ、メルマガの内容がわかるようなものにすると良いでしょう。
しかし、件名の文字数が多すぎては逆効果です。件名は、30文字前後までしか表示されず、それ以降は見切れてしまいます。長すぎるのは逆効果となるので注意が必要です。
メルマガを活用してネットショップの売上向上につなげよう
今回の記事では、ネットショップのメルマガについて作成手順やポイントを解説しました。ネットショップのメルマガは、購読者に寄り添って考えると、売上向上につなげられます。
- 購読者が開封しやすい時間帯を考える
- 購読者が開封したいなと思えるような件名を付ける
- 中身の本文は読みやすさを重視し、定期的に得する内容を記載する
どれも、購読者の立場になり想像してみると効果的だと実感できるでしょう。