「ECサイトを運営することになったけど、何から始めていいのかわからない!」
「どんな業務内容があるのか知りたい」
このようなお悩みはありませんか?
現代において、利用者としては使う機会が多くなったECサイト(ネットショップ)。しかし、運営側との接点はあまりありませんよね。
ECサイトの運営者は、普段私たちから見えない場所で、どのような業務を行っているのでしょうか?
この記事では、ECサイトを運営がどのような業務で構成されているか、具体的に解説します。
後半ではECサイト運営をラクにしてくれるスキルや、向いている人の特徴もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
ECNOWはJPholic株式会社が運営する、
ネットショップ情報メディアです。
30社を超えるECコンサルティング実績や自社ECの運営経験をもとに、
「これからECをはじめる」「ECをいまよりもっと活用したい」という声にお応えします。
ECサイト運営とは?
ECサイト運営とは、インターネット上に開設したオンラインショップを通して商品・サービスの取引を成立させるために行う業務全般のことです。ECは「E-commerce / イーコマース」の略で、電子商取引を指します。
ECサイト運営に関わる業務は多岐にわたります。取引するのはインターネット上ですが、パソコン上の作業だけで完結するわけではありません。業務の全体像をイメージするには、実際の店舗を開店、運営する場合をイメージするとよいでしょう。
実際の店舗を運営する場合の業務例
- 商品開発・仕入れ
- 店舗開発・施設管理
- 顧客対応
- 販売促進
- 法令・規制対応
- 在庫・経営管理
ECサイト運営も、基本的な要素は店舗運営と似ています。以降では、ECサイト運営の業務について具体的に紹介します。
ECサイト運営業務の流れ
ECサイト運営業務は大きく2つの分類に分けられます。ひとつは「フロントエンド業務」、もうひとつは「バックエンド業務」です。
フロントエンド業務とは、ECサイト制作、商品企画、プロモーションなど受注の前段階でお客様の目に触れる業務のことです。バックエンド業務はお客様からは見えないシステム管理や物流、受注後のフォローなどの業務を指します。
ここでは、これからECサイト運営に取り組む方がイメージしやすいよう「ECサイトを開く前の業務」「ECサイトを開いたあとの業務」に分けて詳細を解説します。
ECサイトを開く前の業務内容
まず、ECサイトを開設する前に行う業務について紹介します。紹介するのは以下の2つです。
- 商品企画・開発
- ECサイト制作
商品の企画・開発
販売する商品がなければ、ECサイトは成り立ちません。ECサイトを制作する前に、必ず商品を用意しておく必要があります。ここでは商品企画・開発の基本的なプロセスを紹介します。
- 市場リサーチ: 市場動向や顧客ニーズ、競合情報などを収集し、マーケットの現状を把握する。
- コンセプト設計: マーケット情報をもとにアイディアを出し、商品の方向性を定める。
- 商品仕様決定: 商品の機能やデザイン、価格などを具体化する。
- 試作: プロトタイプを作成し、デザイン、材質、機能などを確認する。
- 量産: 商品の製造方法や工程を検討し、量産する。
商品の企画・開発にかかる費用は、製品の種類、原材料コスト、開発期間、製造方法などによりさまざまです。一例として、オリジナル化粧品(口紅)を1,000個単位でOEM製造する場合、約60万円~の費用がかかるといわれています。
サイト制作
ECサイトには、商品登録機能や決済機能が必要です。ECサイトの制作方法には、いくつかの選択肢があります。
ECモールに出店する
複数の企業が出店、出品するショッピングモール型のサービスを利用する方法です。代表的なサービスにはAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどがあります。
ECモールを利用するメリットは、モールそのものに高い集客力があることです。構築費用の相場も~10万円と低価格です。ただし、ロイヤリティとして売上の一部をモール運営会社に支払う必要があります。
ASPのECサイト作成サービスを利用する
ECサイト制作に必要な機能をASPで提供するサービスを活用する方法です。
ASPとは、インターネット経由でソフトウェア機能を提供するサービスのことです。商品ページ制作機能やカート機能、決済機能などが備わっています。ASPを使用するメリットは「WEB制作の知識がなくてもECサイトを構築できる」「制作期間が短い」などです。商品点数や取引金額の少ない、小規模なECサイトに向いています。費用相場は、月額制で数千円~数万円が一般的です。
代表的なサービスには、BASE、MakeShop、Shopify、カラーミーショップなどがあります。
オープンソースのECサイトプログラムを利用する
無料で公開されているECサイトを構築するためのプログラムを利用して、ECサイトを構築します。
オープンソースECのメリットはカスタマイズ性です。ソースコードを応用し、自社に合った機能や仕様を持つECサイトを構築できます。
プログラミングの知識が必要なため、制作はECサイト制作のノウハウがある制作会社などに依頼するのが一般的です。サイト制作の初期費用は、サイト規模にもよりますが~数百万円がかかります。
オープンソースECサイトプログラムの代表的な例には、EC-CUBE(イーシーキューブ)、Magento(現Adobe Commerce)などがあります。
有料のECサイト構築システムを利用する
ECサイトに必要な機能を揃えた有料のパッケージプログラムを利用する手法です。拡張性が高く、大規模なECサイトにも対応できます。
必要な制作期間は比較的長く、初期費用として100万円~数百万円かかるのが一般的です。また、サーバーを自社で用意する必要があるため、管理・メンテナンス費用もかかります。
有料のECサイト構築システムの代表例には、EC-ORANGE(イーシーオレンジ)、ecbeing(イーシービーイング)などがあります。
フルスクラッチでECサイトを構築する
既存のECサイト用プログラムを使わず、ゼロからシステムを構築する方法です。
カスタマイズ性が高く、自社が求める仕様を詳細に実現できます。また、基幹システム、在庫管理システム、物流システムと連携するなど、サプライチェーン全体の最適化を図ることも可能です。
制作期間、制作費用ともにもっともかかり、初期費用として500万円~1,000万円が必要です。
このほかにも、近年ではSNSのショッピング機能を利用して、オンライン販売を行うケースもあります。Instagram、TikTok、YouTubeなどは独自のショッピング機能を提供しており、SNSの広告やコンテンツからダイレクトに購入に誘導できることがメリットです。
これからECサイトを作ろうとしている方へ
上記では、ECサイト制作の選択肢と概要をご紹介しましたが、これからECサイトを制作しようとする方で、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
それぞれの制作手法のメリット・デメリットや選び方のポイント、制作手順について詳しく解説しています。
【2022年版】ネットショップ(ECサイト)の作り方講座 | EC NOW
ECサイトを開いたあとの業務内容
次に、ECサイトを開いたあとに発生する業務について詳しく紹介します。紹介するのは以下の5つです。
- 集客
- 梱包・配送
- 在庫管理
- 追客
- サイト保守点検
集客
ECサイトの集客方法は次の3つに大別できます。
- SEO: 販売する商品のページを検索サイト上で上位に表示させるための対策。
- WEB広告: 媒体に出稿費を支払い、掲載する広告(リスティング広告、ディスプレイ広告、アフィリエイト広告、動画広告、SNS広告など)。
- SNS: SNSを通じて商品やキャンペーン情報を発信し、ECサイトへ誘導する手法。
3つの集客手法は、WEB広告にかかる出稿費用以外、社内に知識やリソースがあれば内製できる業務です。しかし、これらの対策を、優先順位をつけて実行していくには、かなりの工数が必要になります。社内で集客対策を行う場合、専任の担当者を少なくとも1人以上は配置するとよいでしょう。
また、自社で対策できない場合は、ECサイト運用ノウハウのあるマーケティング会社、制作会社などに委託することも可能です。
なお、ECサイトの集客手法について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
ECサイトに適したSEO対策について知りたい方はこちら。
効果的な3つのSEO対策!ネットショップの集客力を高め売上を伸ばそう | EC NOW
SNS(Instagram)の効果的な活用法を知りたい方はこちら。
ECにおけるInstagramの効果的な活用方法とは?事例・注意点を交えて解説 | EC NOW
梱包・配送
購入された商品の受注処理をしたあと、商品を梱包し、発送する業務です。具体的には以下のような業務があります。
- 商品伝票発行
- 梱包
- 送り状・ラベル発行
- 注文番号・発送番号などの管理
- 配送業者への対応
配送業者と契約したうえで、これらの作業を集荷時間までに、営業日中は毎日行う必要があります。購入数が少ないうちは他の業務と兼任の担当者で対応できる場合もありますが、1日の発送数が数十件を超える場合は「専任の担当者を配置する」「アルバイトを雇用する」などの対応が必要です。
また、自社で梱包・発送を行わない場合は、発送代行業者に委託することも可能です。その場合、入庫料(倉庫で商品を預かる費用)、保管料(1日保管するごとにかかる費用)、発送料などが発生します。
在庫管理
在庫管理は、在庫する商品の数量や情報を適切に管理することです。注文状況や販売戦略を踏まえ、お客様にすばやく商品を提供できる状態を保つのが目的です。
在庫量は、多く持ちすぎると倉庫費用や管理にかかわるスタッフの人件費などに無駄が生じてしまいます。一方、在庫量が少なすぎれば、販売機会を損失する恐れがあります。そのため、自社の状況に合った適切な数量を見極め、在庫をコントロールすることが必要です。
また、在庫情報の管理が正しく行われず、実際の在庫数と管理システムに誤差があると、売上を正しく計上できなくなります。キャッシュフローも正しく把握できなくなり、経営上の判断を見誤る恐れがあります。
在庫管理はバックエンドの重要な業務のひとつのため、事務や管理に専念できる人材を配置できると理想的です。
追客
商品を購入したことのある人のリピート率を高めるための施策を行う業務です。取得したお客様のメールアドレスに対し、メールマガジンなどを通して、商品情報やキャンペーン情報、クーポンなどを配信するのが一般的です。郵送でカタログやダイレクトメールを送る場合もあります。
このほかにも商品と一緒にチラシや次回購入時に使えるクーポンなどを同梱する場合もあります。
サイト保守点検
ECサイトの保守・点検業務には、サーバーの維持・管理、セキュリティ対策などのアップデート対応、システムのバグや機能改善対応などがあります。
ECサイトの制作を外注している場合、月額などの有料制で継続的な保守に対応するケースが多いです。また、社内に情報システム部がある場合は、部門間で連携してサーバーを管理する場合もあります。
ECサイト運営をラクにするスキル
ここからは、ECサイト運営に必要なスキルをご紹介します。
Webマーケティングスキル
ECサイト運営には、サイト制作、SEO対策、広告運用など、Webマーケティングに関する知識が不可欠です。しかし、Webマーケティングの分野は多岐にわたります。
自身は責任者としてECサイト運営全体を管理し、実際の作業は知識のある人材や専門会社に委託する場合は、Webマーケティング全般の概要を広く習得するといいでしょう。
クリエイティブスキル
ECサイト運営には、商品画像の撮影・制作やキャッチコピー、商品説明テキストの制作などクリエイティブな能力が求められる作業もあります。ユーザーの好みを把握し、より魅力的な表現、わかりやすい表現ができるスキルがあるとよいでしょう。
商品企画スキル
商品企画は、市場分析や競合分析、顧客分析などのスキルのほか、市場や顧客のニーズをつかむセンスが求められます。ふだんから、さまざまな分野の新商品情報にアンテナを張り、ニーズに対してどのようなコンセプト、機能、デザインで商品化しているのか研究しましょう。
カスタマーサポートスキル
顧客対応は、お客様の信頼を得る重要な要素のひとつです。多様なお客様の要望を聞き取ったうえで、適切な解決策を提案する能力が求められます。そのためには傾聴力や商材の深い理解、コミュニケーション能力が必要です。
ECサイト運営に向いている人
ECサイト運営に適した人材は、担当する業務によってそれぞれです。ここでは、人材の特性とともに向いている役割を紹介します。
Webマーケティング全般の知識がある人
ECサイトはインターネット上で集客・販売するサービスのため、Webマーケティングの知識・経験が役に立ちます。特に、広告やSEOなど1つのカテゴリだけでなく、Webマーケティング全般の幅広い知識がある人は、ECサイトの責任者やディレクター、集客などのフロントエンド業務に向いているでしょう。
新商品やトレンド情報に敏感な人
ECサイトの要となる商品企画には、市場や顧客のニーズをつかむ能力が必要です。ふだんから新商品やニュース、トレンド情報をキャッチアップするのが得意な人は、商品開発に向いているでしょう。
接客経験がある人・接客が好きな人
ECサイトの顧客対応はインターネットを通して行われますが、対面販売の場合と同じく、丁寧で信頼される対応が必要です。接客経験がある人、接客が好きな人はカスタマーサポート業務に向いているでしょう。
正確な管理・作業が得意な人
ECサイト運営には、バックエンド業務も重要であることを説明しました。発注処理や在庫管理などの事務能力や、早く、正確に梱包する作業処理能力も役立ちます。正確な事務・作業をコツコツ行える人は、梱包・発送や在庫管理などのバックエンド業務に向いているでしょう。
ECサイト運営のまとめ
この記事では、ECサイト運営の流れと具体的な業務内容、運営に携わる人に必要なスキルについて解説しました。要点は以下の通りです。
- ECサイト運営にはフロントエンド業務とバックエンド業務がある。
- ECサイトを開く前の業務には商品企画・開発、ECサイト制作がある。
- ECサイトを開いたあとの業務には、集客、梱包・配送、在庫管理、追客、サイト保守点検がある。
- ECサイト運営には、Webマーケティングスキル、クリエイティブスキル、商品企画スキル、カスタマーサポートスキルなどが求められる。
ご紹介したように、ECサイト運営にはさまざまな業務があり、求められるスキルも多岐にわたります。業務の全体像と必要なスキルを踏まえたうえで、ECサイトの運営計画を練りましょう。
JPholic株式会社では、ECサイトの制作を代行しているほか、運用代行、コンサルティングにも対応しています。詳しい資料をご覧になりたい方は、お気軽にお問い合わせください。