これからネットショップを開設しようとする方の「どこに出店していいかわからない」という疑問にお答えします。
数あるECモールのなかでも圧倒的な知名度を誇る「楽天市場」は、有力候補のひとつだと思われます。しかし、口コミでは「費用が高い」「審査が厳しい」などの評判もあり「結局、どうなの…?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
結論として、楽天市場は初めてのネットショップ出店におすすめのECモールです。この記事では、楽天市場の特徴を紹介しながら、おすすめな理由について解説します。後半では、楽天市場に対するよくある疑問にも解答するため、ネットショップの出店先で迷っている方はぜひ参考にしてください。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
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30社を超えるECコンサルティング実績や自社ECの運営経験をもとに、
「これからECをはじめる」「ECをいまよりもっと活用したい」という声にお応えします。
楽天市場の特徴
楽天市場は、国内インターネット通販市場で、高いシェアを誇るECモールです。日本国内のECモールの売上上位には楽天市場のほかに「Amazonジャパン」「Yahoo!ショッピング」「ZOZOTOWN」「au PAYマーケット」などがあります。
なかでも楽天市場は「楽天ID数1億以上」という絶大な会員数を誇り、集客力が高いことが特徴です。楽天市場の特徴を以下5つの観点で紹介します。
【集客】インターネット通販全体シェア28%、楽天ID1億以上の集客力
前述のように、楽天市場の最大の特徴は国内ECモールとしての絶大な認知度や膨大な会員数に裏付けられた高い集客力です。ECモールは商品ジャンルによっても強いサイト・弱いサイトが異なりますが、楽天市場は特に生活雑貨、アパレル、食品・生鮮品などの分野で高いシェアを誇っています。
また、定期的に開催される大規模なキャンペーンやさまざまなサービスで貯められる楽天ポイント制度によって、モール全体の集客が高められることも出店者のメリットです。
出典・画像引用元:楽天市場が選ばれる理由、強み|楽天市場出店
【費用】初期費用・月額固定費は他のサービスに比べて高額
Yahoo!ショッピングやAmazonは初期費用・固定費が無料または低額で、販売手数料など売上やシステムの利用状況に応じた変動費が発生する料金形態です。一方、楽天市場は初期費用6万円のほか、プランに応じた月額固定費と利用状況に応じた変動費がすべてかかります。
他のサービスと比べて、楽天市場は初期費用・固定費用・変動費用ともに割高であることは事実です。
【機能】店舗運営システム「RMS」で店舗構築・受注管理・メール配信まで可能
楽天市場の運営者は、楽天独自の店舗運営システム「RMS(Rakuten Merchant Server)」を使用してページ制作を行います。RMSには、商品登録などの店舗構築機能のほかに、受注管理機能やデータ分析・メール配信などのマーケティング機能も備わっており、これひとつでネットショップ運用に必要なツールが揃っていることが特徴です。
【サポート】ECコンサルタントへの相談や「楽天大学」でノウハウを学べる
楽天市場では1店舗ごとに「ECコンサルタント」と呼ばれる担当者が付く制度があり、運営戦略を相談できます。RMSの操作方法で困ったときに質問できるコールセンターや、制作代行会社の紹介制度などもあり、WEBサイト制作の知識がない方でも安心です。
また、ネットショップ運営のノウハウは「楽天大学」と呼ばれるeラーニング講座で学べます。
【出店難易度】出店審査あり・個人名義では出店できない
楽天市場では、出店の際に審査を行っています。
出店前の書類審査では、販売品が楽天市場が許可するものであるかや、販売資格の確認などが行われます。また、ショップオープン前の審査では、実際の販売ページに必要事項が記載されているかなどが審査されます。いずれも他のECモールよりやや厳しい条件ですが、ユーザーが安心して買物できる品質を維持する制度です。
また、楽天市場は個人名義では出店できず、個人で出店したい場合は個人事業主として開業届を出す必要があります。ネットショップ運営を副業ではなく、本業にする人を対象としているため、出店のハードルはやや高いといえます。
【他のネットショップとの違い】楽天はECモール型かつ出店型であることが特徴
ネットショップを開設する方法は、以下2つの方法に大別できます。
- ECモール型のサービスに出店する
- 自社独自のECサイトを開設する
楽天市場は(1)のECモール型サービスのひとつです。
ECモール型サービスの中でも出店形式に違いがあります。Amazonは商品のみを「出品」するマーケットプレイス型であるのに対し、楽天市場、Yahoo!ショッピングは、モールに自社のお店を「出店」するテナント型です。テナント型は、ショップ全体の魅力を高め、リピーター獲得や客単価アップを狙えます。
一方(2)の自社独自のECサイトを開設する方法では、近年では無料~低価格でネットショップを開設できるASPカートサービスが人気です。ASPカートを利用したネットショップ開設は、初期費用を抑えられることが最大のメリットです。ただし、モール型ECサービスのような集客力はなく、ゼロから自分で集客しなければならないことがデメリットになります。
ネットショップ開業方法の選択肢について、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
なぜ楽天市場への出店がおすすめなのか
上記のような特徴から、楽天市場は特に初めてネットショップを運営する際におすすめのサービスです。楽天市場をおすすめする理由を3つのポイントで解説します。
【理由1】はじめから集客力のあるモールに出店できる
楽天市場のような知名度のあるECモールに出店することは、わかりやすくいうと、多くの人が足を運ぶ百貨店やショッピングモールにテナントを出店するようなものです。一方、自社で独自のECサイトを開設する方法は、単独で路面店を開店するイメージです。
「楽天市場の特徴」の項目でもご紹介したように、楽天市場は圧倒的な集客力が魅力です。他のサービスと比べて出店費用が高くなりますが、それはリアル店舗に例えていうと「立地がいい」からであるといえます。
一方、自社独自のECサイトで集客するには、SEO施策やWEB広告運用などのWEBマーケティングの知識が必要です。また、WEB広告にかける予算も必要になります。
初めてネットショップを運営する場合、多くの人は集客の課題に直面します。このような点から、運営費は多少高くても、集客力のある楽天市場に出店することは、メリットがあるといえます。
【理由2】ネットショップ運営のノウハウを学べる
サポートや学習環境が充実している点も、初心者に楽天市場をおすすめする理由です。
1日あたり153億円(※)もの金額が流通する楽天市場には、集客・販売戦略・顧客対応・トレンドなどネットショップ運営の幅広いノウハウが蓄積されています。楽天市場では、動画コンテンツやeラーニング講座を通してこれらのノウハウが無料で学習できるほか、コンサルタントに運営の相談もできます。
初めてネットショップを開設する人にとって、実際に店舗を運営しながらネットショップ運営やWEBマーケティングや知識を深められるところが優れた点です。
【理由3】ネットショップ運営に必要なサービスが揃っている
一般的に、ネットショップを開設・運営するには、WEBサイト構築、受注管理、顧客管理などでさまざまなシステムが必要になります。
初めてネットショップを運営するにあたり、自社に合ったシステムを検討し、導入する作業にはかなりの手間がかかります。その点、楽天市場はネットショップ運営に必要なシステムを一通り揃えて提供しています。そのぶんシステム利用料はかかりますが、初心者にとっては取り組みやすい仕組みといえるでしょう。
楽天市場をおすすめできないケース
一方で、楽天市場への出店が合わないのは、どのようなケースが考えられるのでしょうか?
初期費用・運営費用を最小限に抑えたい場合
前述のように、楽天市場の出店費用は他のサービスより高額になります。集客力が高いといっても、楽天市場内に競合商品が多くある場合は、売上を上げられず、利益が出ないケースも考えられます。赤字リスクを最小限に抑えるためにも、初期費用・運営費用をなるべく安く抑えたい場合は、初期費用・固定費用のかからないECモールを活用するとよいでしょう。
ネットショップ運営・WEBマーケティングの知識がある場合
楽天市場のメリットとして、ネットショップ運営のノウハウを学べる点を挙げました。しかし、楽天市場で学べるのは楽天市場に特化した運営戦略です。すでにネットショップ運営やWEBマーケティングの知識があり、自力でECサイトの制作・改善や集客施策を実施できる場合、楽天市場でなくても成功する可能性があるといえます。
楽天市場以外のサービスが強い商品ジャンルの場合
楽天市場は国内EC市場で多くのシェアを誇るECモールですが、商品ジャンルによっては他のECモールが適する場合もあります。
例えば、家電など型番で検索し、料金を比較して購入する商品ジャンルの場合、Amazonが優位になることがあります。また、アパレルブランド品の場合、ZOZOTOWNなどアパレル製品に特化したECモールが適するケースも考えられます。
このように出店先を検討する際は、販売する商品ジャンルに適しているかどうかも確認することが大切です。
楽天市場に出店する流れ
実際に楽天市場に出店することを決めたあとは、どのような手順が必要なのでしょうか。楽天市場に出店するまでの大まかな流れを紹介します。
WEBから出店申込を送信
楽天市場のWEBサイトから出店を申し込みます。会社情報や運営責任者、商品ジャンルなどを入力します。
開店準備
申込内容の審査を経て、2週間~1カ月ほどで店舗運営システム「RMS」のアカウントを開設できます。
その後は「RMS」を利用してネットショップを構築し、商品登録を行います。
開店前審査
ショップの準備ができたら、オープン前の審査を受けます。
店舗ルール試験を受験し、規定された条件でショップが構築されていることの確認を受けます。
審査完了後、運営開始
審査に通過できない場合は、修正して再度審査を受けます。
審査に合格すれば、楽天市場にショップをオープンできます。
なお、楽天市場への出店についてより詳しく知りたい方は、以下のページから資料請求できます。
他の出店方法をもっと検討したい方へ
ここまでは、楽天市場に出店するメリットや手順を紹介してきましたが、他の選択肢についても詳しく知りたいという方もいるでしょう。楽天市場以外のECモールや自社ECサイト構築を検討したい方は、下記の記事を参考にしてください。
Amazon出店について知りたい場合
Amazonは楽天市場と同じく圧倒的な知名度と集客力を誇るECモールですが、商品単位の出品が可能なところが特徴です。月50個以下の小口出品の場合、月額固定費がかからず出店費用を抑えられます。
Amazonで出店するメリットとは?出品までの流れや費用、デメリットを解説
Yahoo!ショッピング出店について知りたい場合
Yahoo!ショッピングは、初期費用・固定費用が無料で、システムの利用状況に応じて手数料を支払う料金形態です。Yahoo!グループの強固な顧客基盤を持ちながら、出店ハードルが低いことが特徴です。
Yahoo!ショッピングの出店方法とは?手順と費用・審査難易度を解説
ASPカートについて知りたい場合
ASPカートとは、ネットショップに必要な店舗機能を提供するクラウド型のサービスのことです。この記事ではMakeShop、カラーミーショップなど代表的な6つのASPカートをを紹介しています。
【比較】代表的なASPカート6選!あなたにおすすめなEC構築サービスは?
楽天市場に関するよくある疑問
最後に、楽天市場の評判・口コミで耳にする、よくある疑問について解説します。
「楽天市場は儲からない!」という口コミは本当?
必ずしも、楽天市場なら「売れる」「売れない」ということはなく、どのECモールでも売れるショップ、売れないショップは存在します。ただし、楽天市場で成功しているショップは、ショップページの作り込み、各種キャンペーンを利用したマーケティングなどにかなり力を入れているのは事実です。
楽天市場はカスタマイズ性が高く、他のECモールよりマーケティングの余地があるため、これらの機能をうまく使いこなせるかによって差がつくことがあります。
「楽天市場は費用が高い!」という口コミは本当?
楽天市場は、他のECモール型サービスと比較すると運営費用がかかるのは事実です。しかし、比較対象がASPカートになればその限りではありません。前述のように、ASPカートの場合、店舗機能自体は低額でもWEB広告などを活用した集客に別途費用がかかるからです。
出店・店舗運営にかかるコストの観点では、楽天市場は他のECモールとASPカートの中間のような立ち位置であると考えるのが妥当です。
すでに自社ECを持っているけど、楽天市場に出店するのはアリ?
すでに自社ECサイトの運営が軌道に乗っており、さらなる売上拡大を目指す場合、楽天市場の併用はおすすめです。集客力の高いECモールに出店することで、自社ECサイトだけではリーチできなかった新しい顧客層の獲得につながるでしょう。
ただし、自社ECサイトの運営だけでも手一杯な場合は、さらなる出店は控えた方がいいでしょう。複数サイトにまたがる在庫管理、顧客対応には多くの労力がかかります。また、楽天市場で売上を高めるための戦略も学ぶ必要があります。ネットショップを横展開する際には、十分なリソースを持って挑戦することが大切です。
まとめ
この記事では、ネットショップ開設先のひとつとしての楽天市場の位置づけについて紹介しました。要点は以下の通りです。
- 楽天市場の特徴:圧倒的な集客力、出店費用は割高だがサポートやツールが充実。
- おすすめの理由:ゼロから集客しなくていい、ショップ運営のノウハウが学べる。特に、ネットショップを初めて開設する場合におすすめ。
- 楽天市場おすすめしないケース:初期費用・店舗運営費用を抑えたい場合、自社で集客施策ができる場合、商品ジャンルが合わない場合。
なお、JPholic株式会社ではネットショップ出店に関する相談を受け付けています。ネットショップ運営の豊富な実績をもとに、さまざまな選択肢から最適な方法のご提案が可能です。「プロに相談してから決めたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。