ネットショップの集客に有効な施策といわれるオウンドメディアですが、作成するのが難しそうだと感じますよね。
オウンドメディアは、構築のための時間に加え正しい知識も必要で、すぐにできるものではありません。しかし、ネットショップの集客に一番の近道となるのも事実です。
今回の記事では、ネットショップを運営している方の中で、有益なオウンドメディアを作りたいと考えている人に向けて、オウンドメディアの立ち上げ方やポイント、成功事例を紹介します。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
ECNOWはJPholic株式会社が運営する、 ネットショップ情報メディアです。
30社を超えるECコンサルティング実績や自社ECの運営経験をもとに、 「これからECをはじめる」「ECをいまよりもっと活用したい」という声にお応えします。
オウンドメディアとは?
オウンドメディアとは、自社が所有するメディアのことです。
広義では、ホームページやSNSアカウント、パンフレットなどの紙媒体も含みます。狭義では、自社で保有し運営・管理するメディアやブログを指したり、ショップ自体をメディア化する意味の言葉として利用したりします。
スマートフォンやSNSの普及により、消費者はほしい情報を自ら収集できるようになりました。情報を得る量も以前に比べ増大したといえるでしょう。ユーザーはその中で、自分の求める情報を入手するために、情報の取捨選択を迫られるようになりました。
そのような中で有益な情報を提供しているサイトは、ユーザーにとっての優良なサイトと認識され、「定期的に訪問して情報を収集したいな」「このお店から商品を購入したいな」と思われるようになります。
オウンドメディアは、ユーザーを集客する役割だけでなく、Google検索エンジンの高評価にもつながります。高評価を得ることで、自然検索の表示画面で上位に表示される確率も高くなり、自社商品を認知してもらえる機会が多くなります。
そこで、消費者がほしいと思うような情報を発信するオウンドメディアの運営に注目が集まっているのです。
コンテンツマーケティングにおけるオウンドメディアの位置づけ
オウンドメディアは、コンテンツマーケティングの中に属する手法の1つです。
コンテンツマーケティングは、潜在顧客や既存顧客など、さまざまな種類の顧客に合わせた適切なコンテンツを提供し、顧客を育成していきます。具体的な媒体には以下のものがあります。
- ブログ・メディア
- 紙媒体
- YouTubeなどの動画
- セミナー
その中の1つにオウンドメディアがあり、自社が所有するメディア媒体という位置づけです。
オウンドメディアは、アーンドメディア、ペイドメディアと合わせてトリプルメディアと呼ばれています。アーンドメディアは、FacebookやInstagram などのソーシャルメディアを指し、ペイドメディアは広告をテレビや雑誌、ほかのサイトなどへ掲載することです。
トリプルメディアは、3つすべてのメディアをバランス良く活用するのが理想とされています。上手く併用することで、多くのユーザーと接触する機会を手にできるのです。
ネットショップでオウンドメディアを作るメリット
前項では、オウンドメディアの定義について解説しました。この項では、ネットショップでオウンドメディアを持つことで得られるメリットについてご紹介いたします。
紹介するメリットは全部で5つです。
- SEOに効果的
- 集客力を上げられる
- 広告費の削減、広告収入を稼げる
- ファンを作れる
- コンテンツを資産化できる
SEOに効果的
オウンドメディアを運営することは、SEOに大きな効果があります。
ユーザーのニーズを満たすオウンドメディアを作成して運営すると、Google検索エンジンの評価も上がり、検索順位も上昇します。
そのため、興味を持って自ら検索をするユーザーが、自社を認知する可能性が広がるでしょう。
集客力を上げられる
オウンドメディアは、集客のツールとして有力です。
例えば、自社が運営するブログで商品を紹介することで、自社商品を知らない新たなユーザーに商品を見つけてもらえる機会が増え、見込み客の獲得に繋がる可能性があります。
オウンドメディアは参入障壁こそ低いものの、短期的に結果が出て、すぐ認知度が上がるものではありません。しかし、発信を継続することで、競合他社との差別化にもつながり、集客力が高くなります。長期的な目線を視野に入れて運営しましょう。
広告費の削減、広告収入を稼げる
自社でオウンドメディアを運営して、集客することは、有料の広告を打つよりも費用を節約できる可能性があります。
広告を打つことは、集客や売上に即効性がありますが、出稿するたびに費用が必要になり経費がかさみます。しかし、オウンドメディアなら、広告費をかけることなく、商品やネットショップの魅力を発信できるチャンスなのです。
また、作成したオウンドメディアが大きく成長した場合、サイトに広告欄を作り、広告出稿者になることも考えられます。
今までは広告費を支払う側でしたが、広告費を受け取る側になれるということです。その場合、広告収入を得ることになります。
ファンを作れる
ネットショップの売上を保つ上で大切なのは、自分のお店をブランド化し、ファンになってもらうようにすることです。
オウンドメディアは広告やSNSと異なり、自ら発信するコンテンツを構成できるため、ブランディングしやすい媒体です。小さなお店でも、商品のこだわりや魅力を正しく伝えられれば多くのファンを獲得できます。
ファンを獲得できれば、商品の継続的な購入による売り上げのみならず、SNSでの拡散などによる認知拡大の面でも自社に大きなメリットがあります。
オウンドメディアを運営すれば、自分のネットショップを知ってもらい、長期的なファンを獲得することができるでしょう。
コンテンツを資産化できる
オウンドメディアで発信した情報は、コンテンツとして大きな資産になります。
イチからお店を立ち上げ、商品を販売した経験はほかの人にはない財産です。この経験を発信することで大きな資産になります。
オウンドメディアは、流動性のあるSNSに比べて情報が蓄積されていくため、ユーザーが検索してサイトに訪れる可能性も高くなるでしょう。SNSと併用して拡散してもらえれば、自社商品をユーザーに認知してもらう機会も多くなります。
ネットショップを作ったら、なるべく早い段階からオウンドメディアを運営し、多くのコンテンツを貯めていくことで、より質の高いコンテンツになるでしょう。
ネットショップにおけるオウンドメディアの作り方
この項では、オウンドメディアの具体的な作り方について解説します。手順は以下のとおりです。
- コンセプトを決定する
- サイトを設計・作成する
- キーワードをリサーチする
- 記事を執筆する
1. コンセプトを決定する
まずは、どのような内容でオウンドメディアを作るか、コンセプトを決めましょう。「どのような人をターゲットとするのか」、「どんな情報を届けたいのか」自社商品との関連性を考慮しながら検討していきます。
2. サイトを設計・作成する
コンセプトを決定したら、ネットショップサービスの中に、ブログ機能が搭載されているのかを確認しましょう。搭載されている場合には、そこでブログを作るのがもっとも気軽にはじめられる方法です。ECサイトとオウンドメディアのドメインも同じものにできるのでSEOにも効果的です。
ブログ機能がないときには、WordPressなどを用いて自身で作成します。この場合、自身でドメインを取得しますが、ネットショップとは違うドメインになり、別のものと認識されるため、ネットショップへの流入が遠回りになってしまい、ネットショップの売上を上げる本来の目的から遠のいてしまいます。
ブログ機能がなくても、ネットショップとブログを連携できる機能が用意されていることもあるので、拡張サービスなどを見てみましょう。
3. キーワードをリサーチする
サイトを作成したらキーワードをリサーチします。キーワードリサーチは、どのような内容で記事を作成するのかを考えるために大切な材料です。
キーワードリサーチは、オウンドメディアで新規顧客を獲得するうえで非常に重要な作業です。自社商品に興味を持ちそうなユーザーがどのようなキーワードで検索するのかを洗い出しましょう。
関連キーワードを取得したりできるソフトを使用し、キーワードをリサーチする方法もあるので試してみるのもおすすめです。キーワードをリサーチすることで、ユーザーがどのような悩みを持ち、どのような商品を探しているのかが明確になります。
4. 記事を執筆する
サイトを設計して、関連キーワードを洗い出したら、記事の執筆に入ります。選定したキーワードを元に、商品を紹介していき、ユーザーの悩みを解決する内容になるように意識しましょう。
1つの記事の文字数は多すぎず、少なすぎず、ユーザーが必要としている情報を必要な分だけ提供することが重要です。
優良なコンテンツが多ければ多いほど、検索順位が上昇する傾向にあります。手を抜いた記事が多ければ多いほど、表示順位は下がっていき、ユーザーに認知されにくくなるため注意しましょう。
ネットショップのオウンドメディアを成功させるポイント
次に、オウンドメディアを成功させるポイントについて紹介します。大切なポイントは以下の5つです。
- コンセプトを明確にする
- 専門性をアピールする
- 更新頻度に注意する
- ECサイトへの導線をわかりやすくする
- 長期的な計画を立てる
コンセプトを明確にする
オウンドメディアを成功させているネットショップには、だれが見てもわかりやすい明確なコンセプトがあります。オウンドメディアをはじめるときに、だれになにを届けるのか、ターゲットとコンセプトを明確にしましょう。
自社ショップで扱っている商品について記事にすると、自然と一貫性のあるものになるでしょう。それに合わせた内容を発信し続けることで、ユーザーにとって魅力的でコンセプトのわかりやすいオウンドメディアになります。
関連性のある話題を少しずつ掲載していくことで、定期的に訪問してくれるユーザーを増やしていくことも可能です。
専門性をアピールする
専門性のある記事は、SEOの観点からも評価されやすいものになります。専門性をアピールしてユーザーから専門家として認知されれば、競合他社との競争に勝つこともできます。
どのような思いで、購入した人にどのようなメリットがあるのかをはっきりと書くようにしましょう。そして、商品を購入したあとにどのように使うのか、どのような未来が待っているのか想像しやすいような記事を書くことも大切です。
更新頻度に注意する
オウンドメディアの運営時には、更新頻度にも注意して運営しましょう。
更新頻度を高くすることは、検索エンジンにサイトを認識してもらいやすくなるメリットがあります。しかし、更新頻度だけをよくしてもオウンドメディアが成功するわけではありません。信憑性の薄い記事は、検索エンジンの評価が下がってしまいます。
毎回の記事で、有益な情報を載せられるような無理のない範囲で更新しましょう。
ECサイトへの導線をわかりやすくする
オウンドメディアも見て商品を購入したいと思ったユーザーが、迷わずに購入ページにアクセスできるようにすることが大切です。購入ページまでの導線がわかりにくいと、ユーザーは購入前に離脱してしまいます。
リンクやバナーを使い、オウンドメディアから購入ページまでの導線をわかりやすくする工夫をしてみましょう。
長期的な計画を立てる
オウンドメディアは、すぐに結果が出るものではありません。はじめはアクセス数も少なく、このままで成果が出るのかと思うこともあるかもしれません。
しかし、長期的な運営を視野に入れてコンスタントに記事を増やしていくことで、少しずつ閲覧数や検索上位が上がっていきます。
結果を出すためには、最低でも半年以上はかかると考えるのが良いでしょう。
ネットショップにおけるオウンドメディアの事例5選
最後に、紹介したポイントを押さえ、オウンドメディアの運営に成功している事例を紹介します。
パンと日用品のお店わざわざ
長野県で自家製酵母のパンと日用品を販売する「パンと日用品のお店わざわざ」。コラムはハッシュタグ別で作成されていて、商品紹介だけでなく、日常生活を豊かにする道具の使い方や考え方も記事されており、とても読み応えがあります。
商品ページは、購入のページをそのままスクロールすると商品の細部や使い方が細かく紹介されているのが特徴的です。
店員さんのおすすめ商品や、商品の紹介レビューもとても参考になり、購入への意欲が掻き立てられます。
光浦醸造
出典:光浦醸造公式ホームページ
山口県にある「光浦醸造」は、保存食を製造・販売するお店で、醤油や味噌などさまざまな調味料を取り扱っています。中でも有名な商品は、ハート型の形をしたレモンが入っているレモンティー。
サイト内の写真は、どれも魅力的でもっと見たいと思わせる工夫が多く施されています。「blog/news」のページには、イベントのお知らせなどのほか、魅力的な写真と一緒に、商品を紹介したページも多く、読み進めていくとそのまま購入ページにアクセスできる導線が敷かれています。
職人醤油
出典:職人醤油公式ホームページ
「職人醤油」は、醤油のセレクトショップです。日本各地の蔵から醤油をセレクトし、100mlの瓶で販売しています。
サイト内には、各蔵の紹介や醤油の知識、レシピなど、醤油に関する記事が掲載されていて、専門性を追求した魅力的なコンテンツが多くあります。記事を読み進めるうちに、普段からよく使っている醤油の魅力を再確認でき、購入してみたいなという気持ちになります。
シンプルなサイト構成ですが、生産者の顔や商品の写真を多くすることで、ユーザーは安心して購入することができます。
北欧暮らしの道具店
北欧暮らしの道具店は、ECサイトにおけるメディア化の第一人者として知られています。スタッフの方が作成したレビューや紹介ページは心がこもっていて、あたたかい気持ちになります。雑誌を読んでいるような読み応えでユーザーの心を掴んでいます。
独自アプリを作成していて、アプリ内でもコンテンツを読むことが可能です。
MOTTAINAI
MOTTAINAIは、「もったいない」をコンセプトにオーガニック商品の販売や、環境に関する活動をしています。
コンテンツでは、余り物を使ったレシピの紹介や環境問題についてもコラムを多く読むことができます。
オウンドメディアでECの売上を獲得しよう
今回の記事では、ネットショップでオウンドメディアを所有する重要性について紹介しました。ネットショップでオウンドメディアを持つことは、SEOのひとつであり、集客や売上の向上につながります。
しかし、単純な記事を執筆するのでは効果がなく、ユーザーにとって意味のある情報を継続的に発信していくことが重要です。
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