ネットショップの開業に必要な準備|手順7ステップと届出・費用【2026年最新】

ネットショップを始めようと思って調べ始めると、「開業届」「古物商許可」「特定商取引法」といった言葉が次々に出てきます。何から手をつければいいのか分からないまま止まってしまうのは、必要な手続きと、後回しでいい準備が混ざって説明されているからです。

結論から書くと、ネットショップの開業に資格試験や許可は原則として要りません。必要になるのは、扱う商品が中古品・食品・酒・化粧品などに当たる場合だけです。税務署への開業届も、出す前に商品を売っても違法にはなりません。

この記事では、開業までの手順を7ステップに分け、それぞれで何を決めて何を提出するのかを整理しました。許認可の要否、サービスごとの費用、公開前に必ず用意する特定商取引法に基づく表記まで、官公庁と各サービスの公式情報で確認した2026年9月時点の内容でまとめています。

目次

ネットショップの開業に資格はいらない(商品によって許可や免許が必要になる)

ネットショップを開くこと自体に、必要な資格も許可もありません。パソコンとメールアドレスがあれば、その日のうちに申し込めるサービスもあります。

手続きが必要になるのは次の2つの場面です。ひとつは税務署への届出、もうひとつは扱う商品に応じた許認可です。前者は事業として続けるなら誰でも関係し、後者は商品によって要否が変わります。

開業届の提出期限は「開業した年の確定申告期限」まで

個人でネットショップを始める場合、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。手数料はかかりません。

提出期限について「開業から1か月以内」と書かれた記事が多く見つかりますが、国税庁の手続案内では「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください」と案内されています(出典:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁/2026年9月3日時点)。2026年に開業したなら、2027年3月15日が期限です。

提出はe-Taxからでも、書面を持参・郵送してでもできます。開業届を出していないと売ってはいけない、というルールはありません。ただし楽天市場のようなモールは、出店の申込時点で開業届の控えを求めます。モール出店を考えているなら、申し込みより前に出しておく必要があります。

青色申告承認申請書は開業から2か月以内に出さないと初年度に使えない

開業届とセットで出しておきたいのが「所得税の青色申告承認申請書」です。こちらは期限が厳格で、その年の3月15日まで、1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内と決まっています(出典:No.2090 新たに事業を始めたときの届出など|国税庁)。

この2か月を過ぎると、初年度は白色申告になります。青色申告なら最大65万円の控除が使え、赤字を翌年以降3年間繰り越せます。開業初年度は仕入れや機材で赤字になりやすいため、繰り越せるかどうかで手取りが変わります。開業届と同時に出しておくのが確実です。

開業届と青色申告承認申請書の提出期限を1本の時間軸で示した図。2026年6月1日に開業した場合、青色申告承認申請書は開業日から2か月以内の2026年8月1日まで、開業届は開業した年分の確定申告期限である2027年3月15日までが期限になる
期限が近いのは青色申告承認申請書のほうです(出典:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続No.2090 新たに事業を始めたときの届出など|国税庁/2026年9月3日時点)

中古品を売るなら古物商許可(19,000円)が必要

ここからは商品ごとの許認可です。まず該当者が多いのが古物商許可で、一度でも誰かの手に渡った物を仕入れて売る場合に必要になります。中古のアパレル、古本、中古カメラ、リサイクル品などが対象です。

申請先は主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係)で、申請手数料は19,000円です。個人の場合、許可申請書のほかに略歴書・本籍が記載された住民票の写し・誓約書・身分証明書を提出します。インターネットで売る場合は、使用するURLの使用権限を疎明する資料も必要です(出典:古物商・古物市場主の許可申請|警視庁/2026年9月3日時点)。

自分が使っていた私物を売るだけなら許可は要りません。転売を目的として仕入れるかどうかが分かれ目です。審査には1か月以上かかることがあるため、中古品を扱う予定なら最初に着手してください。

酒を売るなら通信販売酒類小売業免許が必要

お酒をネットで販売するには、税務署で「通信販売酒類小売業免許」を取ります。2つ以上の都道府県の消費者を対象にインターネットで注文を受ける形が、この免許の対象です。

申請自体に手数料はかかりませんが、免許1件につき登録免許税3万円が課税されます(出典:E1-3 酒類の販売業免許の申請|国税庁)。扱える酒類にも制限があり、国産の酒は年間課税移出数量が3,000キロリットル未満の製造者のものに限られます。大手メーカーのビールを自由に売れるわけではない点に注意してください。申請の様式と要件は通信販売酒類小売業免許申請の手引にまとまっています。

食品は「自分で作るか仕入れて売るか」で手続きが変わる

食品は2021年6月に営業許可制度が見直され、許可が必要な32業種と、届出だけで済む業種、どちらも不要な営業に整理されました。

自分で作った菓子やパン、惣菜を売るなら、保健所の営業許可が必要です。一方で常温で保存でき腐敗のおそれがない包装食品(カップ麺やスナック菓子など)を仕入れて売るだけなら、営業届出も不要とされています。生鮮食品や要冷蔵のものは対象外で、届出が必要です(出典:営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報|厚生労働省)。

判断が難しいのは、仕入れた食品を自分で小分けしたり詰め合わせにしたりする場合です。これは加工に当たることがあり、扱いは商品によって変わります。食品を扱うなら、商品が決まった時点で管轄の保健所に電話で確認するのがいちばん早いです。東京都の場合は食品衛生の窓(営業許可・届出の概要)に業種の一覧が掲載されています。

化粧品は輸入すると許可が要る(国内で仕入れて売るだけなら不要)

化粧品には「販売業の許可」という制度がありません。国内の製造販売業者がすでに出荷した製品を仕入れて売るだけなら、許可は不要です。

許可が必要になるのは、海外から輸入して売る場合です。この場合は化粧品製造販売業許可に加えて、国内で保管する場所について化粧品製造業許可(包装等区分)が要ります。個人輸入した化粧品を他人に売ることは認められていません(出典:化粧品と医薬品医療機器等法について|東京都健康安全研究センター)。

海外のコスメを仕入れて売るという企画は個人でもよく出てきますが、実際には許可の取得と、責任技術者の設置などの体制づくりが前提になります。最初の1商品として選ぶには重い商材です。

扱う商品必要な手続き申請先費用
新品の雑貨・アパレルなど不要
中古品(仕入れて売る)古物商許可警察署(防犯係)19,000円
酒類通信販売酒類小売業免許税務署登録免許税30,000円
自分で作る食品営業許可保健所自治体により異なる
包装食品を仕入れて売る不要な場合がある保健所に要確認
国内の化粧品を仕入れて売る不要
化粧品を輸入して売る化粧品製造販売業許可ほか都道府県自治体により異なる
2026年9月3日時点。医薬品・医療機器・中古自動車などはさらに別の許可が必要です

開業までの流れは7ステップ(自社ECは最短数日 モールは1か月半〜2か月)

準備の順番を間違えると、後から決め直す作業が発生します。たとえばショップ名を決める前にドメインを取ると、名前を変えたときにドメインごと取り直しになります。次の順で進めると手戻りが起きません。

ネットショップ開業までの7ステップを示したフロー図。商品と仕入れ先を決める、販売する場所を決める、屋号とドメインを決める、サービスを申し込んで審査を通す、商品ページを作る、送料と発送方法を決める、特定商取引法に基づく表記を置く、の順に進む。自社ECは最短で数日、モールは1か月半から2か月かかる
かかる日数が大きく変わるのはSTEP4です。自社ECは最短で数日 モール出店は1か月半〜2か月かかります

STEP1 売る商品と仕入れ先を決める

最初に決めるのは商品です。ここが決まらないと、必要な許認可も、選ぶべき販売先も、送料の設定も決まりません。

仕入れの方法は主に4つあります。メーカーや卸から仕入れる/自分で作る/OEMで作ってもらう/在庫を持たずに受注後に発注するです。卸から仕入れる場合、多くの卸サイトは開業届の控えや事業者としての登録を求めます。ここでも開業届が先に必要になります。

1商品あたりの粗利額は、必ずこの段階で計算してください。販売価格から仕入れ値・決済手数料・送料・梱包資材費を引いた残りが手元に残る金額です。ここが数百円しか残らない商品は、広告を使った瞬間に赤字になります。

STEP2 販売する場所を決める(自社ECかモールか)

売る場所は大きく2種類です。BASEやShopifyのような自社EC(ASPカート)と、楽天市場やAmazonのようなモールです。

違いは集客をどちらが担うかにあります。モールにはすでに買う気のある利用者が来ていますが、その中で選ばれるための競争があり、固定費も発生します。自社ECは固定費を抑えられるかわりに、集客をゼロから作ることになります。

自社ECとモールを7項目で比較した表。自社ECは集客を自分でゼロから作り初期費用0円・月額0円から4850円・公開まで最短数日。モールは買う気の利用者がすでにいて初期費用0円から60000円・月額4900円から25000円・公開まで1か月半から2か月かかり申込時に開業届の控えを求められる
金額は税別。2026年9月3日時点の各社公式サイトより

初めての開業で、まだ商品が売れるかどうかを確かめたい段階なら、初期費用と月額費用が0円のサービスから始めて、売れ方を見てからモールを検討する順序が現実的です。サービスごとの機能差はMakeShop・BASE・Shopifyの比較記事に、楽天市場の出店条件と費用は楽天でネットショップを開設する方法にまとめています。

STEP3 屋号とドメインを決める

ショップ名を決めたら、同じ名前でドメインが取れるか、SNSのアカウント名が空いているかを先に確認します。後から変えると、URLもSNSも作り直しになります。

確認する順番は、ドメイン(お名前.comやムームードメインなどの検索窓で空きを調べる)、SNSのアカウント名、最後に特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で同名の商標が登録されていないかです。すでに他社が商標登録している名前を使うと、後から使用の差し止めを受けることがあります。

屋号は開業届にも書く欄があります。ここで決めた名前をそのまま記載すれば、屋号名義の銀行口座を作るときの説明もしやすくなります。

STEP4 サービスを申し込んで審査を通す

サービスの申込自体は10分ほどで終わりますが、決済を使えるようにするための審査に時間がかかります。クレジットカード決済は審査があり、商品や販売形態によっては通らないことがあります。

自社ECの場合、申込から公開までは早ければ数日です。モールは大きく変わり、楽天市場は申込から開店まで1か月半〜2か月が目安になります。契約日から月額出店料の課金が始まるため、準備期間中も費用が発生します。

この段階で商品の許認可の証明書類を求められることもあります。中古品や食品を扱うなら、許可証のコピーを手元に用意しておいてください。

STEP5 商品ページを作る

商品ページは、実店舗でいえば商品そのものと接客を兼ねます。最低限そろえるのは商品名・商品画像・価格・送料・在庫数・商品説明・サイズや素材などの仕様です。

商品名は、検索されている言葉で書きます。「ふわもこブランケット」より「マイクロファイバー ブランケット シングル 洗える」のほうが、モール内でも検索エンジンでも見つかります。登録項目ごとの書き方は商品登録とは?EC・ネットショップの必須8項目と登録手順で解説しています。楽天市場に出店する場合は、商品名の文字数制限など独自のルールがあるため楽天市場の商品登録マニュアルもあわせて確認してください。

画像は、1枚目に商品全体、2枚目以降に使用シーン・裏面・サイズ比較を並べます。返品やクレームの多くは、画像で分からなかった部分から起きます。

STEP6 送料と発送方法を決める

送料は利益に直結します。商品のサイズと重さを測り、どの配送方法に収まるかを先に確認してください。厚さ3cmに収まるなら、宅配便より大幅に安い方法が使えます。

小さい荷物の主な選択肢は、クリックポスト(全国一律185円)、ゆうパケット(重さで190円〜380円)、レターパックライト(430円)、スマートレター(210円)、宅急便コンパクト(専用ボックス代70円+運賃)です。クリックポストは2026年10月1日に185円から240円へ改定される予定で、あわせて重量上限が2kgに、サイズ規定も変わります。各社の料金と条件はネットショップの配送方法まとめで比較しています。

送料を商品代金に含めるか別に取るかも、この段階で決めます。送料無料にする場合、その分は必ず商品価格か利益のどちらかから出ています。いくら以上で無料にするかは、平均客単価を上げたい金額から逆算して決めてください。

STEP7 特定商取引法に基づく表記を置いて公開する

公開の前に必ず必要なのが、特定商取引法に基づく表記です。多くのサービスには入力欄が用意されているので、そこを埋めれば設置できます。項目の中身は後の章で詳しく説明します。

あわせて、プライバシーポリシーと問い合わせ先も用意します。公開直前に慌てないよう、STEP4のあたりから並行して書き始めておくと止まりません。

扱う商品に許可が要るのか
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開業費用は自社ECなら0円から(モールは初期6万円と月額2万5000円から)

費用は「サービスに払うお金」と「それ以外に実際かかるお金」の2つに分かれます。前者は公開されている金額で比較でき、後者は商品によって変わります。

初期費用0円で始められるサービス(BASE・STORES)

BASEのスタンダードプランは初期費用・月額費用ともに0円で、売れたときに決済手数料3.6%+40円とサービス利用料3%がかかります。月商が伸びてきた場合は、月額16,580円(年払い時。月払いは19,980円)で決済手数料2.9%・サービス利用料0円のグロースプランに切り替えられます(出典:BASEの料金プラン・手数料/2026年9月3日時点)。

STORESのフリープランも月額0円で、決済手数料は5.5%〜です。月額3,300円(税込・年間契約。月々払いは3,960円)のスタンダードプランにすると決済手数料が3.6%〜に下がります(出典:STORESの料金プラン/2026年9月3日時点)。

どちらも売れなければ費用が発生しません。商品が売れるかどうかを確かめる段階では、この形がいちばん損をしません。

月額制サービスの費用(Shopify)

Shopifyは日本円建ての4プランで、Basicが月額4,850円(年払い時は3,650円)・カード手数料3.55%です。上位はGrow(月額13,500円/年払い10,100円・3.4%)、Advanced(月額58,500円/年払い44,000円・3.25%)と続きます(出典:Shopifyの料金プラン/2026年9月3日時点)。

月額固定なので、売上が増えるほど1件あたりの負担は下がります。月商が数十万円を超えたあたりから、無料プランより有利になる計算です。

モール3社の費用(楽天・Amazon・Yahoo)

モールは固定費の考え方が変わります。売れても売れなくても毎月かかる金額があるためです。

初期費用月額売上に応じた費用
BASE(スタンダード)0円0円決済手数料3.6%+40円+サービス利用料3%
STORES(フリー)0円0円決済手数料5.5%〜
Shopify(Basic)0円4,850円
(年払い3,650円)
カード手数料3.55%
楽天市場
(がんばれ!プラン)
60,000円25,000円システム利用料3.5%〜7.0%ほか
Amazon(大口出品)0円4,900円販売手数料5%〜15.4%
Yahoo!ショッピング0円10,000円売上ロイヤルティ2.5%ほか
金額は税別。2026年9月3日時点の各社公式サイトより(楽天市場AmazonYahoo!ショッピング

楽天市場は初年度に最低36万円の固定費がかかります。Amazonの大口出品は月額4,900円ですが、月に49個以下しか売らないなら1件100円の小口出品のほうが安くなります。Yahoo!ショッピングは長く初期費用・月額費用ともに0円でしたが、2026年9月から月額システム利用料10,000円と売上ロイヤルティ2.5%が発生します。

サービス以外にかかるのは撮影と梱包と事務の費用

見落としやすいのが、サービス利用料以外の実費です。開業時に発生するのは主に次の項目です。

  • 仕入れ代金:最初の在庫。ロット単位で買う場合はまとまった金額になる
  • 撮影まわり:背景紙・レフ板・簡易照明。スマホと自然光でも撮れるため、最初は数千円で足りる
  • 梱包資材:段ボール・封筒・緩衝材・テープ・納品書用紙。単価は数十円だが、注文ごとに必ずかかる
  • ドメイン代:年間1,000円〜数千円。独自ドメインを使う場合
  • 会計ソフト:年間1万円前後。青色申告をするなら実質必須

このうち梱包資材だけは注文が入るたびに減り続けるため、原価計算に必ず入れてください。1件あたり100円の資材費でも、月200件なら2万円です。

手数料は「率」ではなく1件あたりの金額で見る

手数料は率で書かれているため、比較しづらくなっています。自分の商品の平均単価をあてはめて、1件あたり何円引かれるかに直すと判断できます。

たとえば3,000円(送料込み)の商品をBASEのスタンダードプランで売ると、決済手数料3.6%+40円で148円、サービス利用料3%で90円が引かれます。仕入れ値が1,500円、送料がレターパックライトで430円、梱包資材が100円なら、手元に残るのは732円です。

3000円の商品が1件売れたときの内訳を示した積み上げ帯グラフ。仕入れ値1500円、決済手数料148円、サービス利用料90円、送料430円、梱包資材100円を引いて手元に残るのは732円
手数料の合計238円より、送料430円のほうが利益を削っています(料率はBASEスタンダードプラン/2026年9月3日時点。仕入れ値と送料は例)

この計算を先にしておくと、広告にいくらまで使えるかが決まります。1件売れて732円しか残らない商品に、1件あたり1,500円の広告費はかけられません。自分の商品で計算が合うかどうかだけを確かめたい場合は、ECNOWを運営するJPholicのEC相談窓口で試算だけの相談も承っています。

開業前にそろえておくもの

機材の話になると「高性能なパソコンが必要」と書かれがちですが、実際に開業前になくて困るのは別のところです。

事業用の銀行口座は開業後の経理を軽くする

売上の入金と仕入れの支払いを、生活費の口座と分けます。分けないと確定申告のときに、1年分の取引を1件ずつ選り分ける作業が発生します。

屋号名義の口座は、開業届の控えがあれば作れる金融機関が多くあります。ネット銀行のほうが手続きが早く、会計ソフトとの連携にも対応しています。個人名義の口座を1つ事業用に決めるだけでも十分なので、屋号口座の開設で止まる必要はありません。

商品写真はスマホと自然光で足りる

近年のスマートフォンのカメラは、商品撮影に十分な画質があります。必要なのは機材より光と背景です。

窓際の日中、直射日光が当たらない場所に白い紙や布を敷いて撮ると、それだけで見られる写真になります。影が濃く出る場合は、反対側に白い紙を立てて光を返します。この2つで、暗い・色が違う・影が汚いという失敗はほぼなくなります。

バナーやサムネイルの作り方はネットショップのバナー作成ガイドにまとめています。文字を入れる位置と情報量の目安は、商品画像にもそのまま使えます。

梱包資材は「箱・緩衝材・納品書」の3点から始める

最初から専用の箱やオリジナルの梱包材を作る必要はありません。商品が入るサイズの段ボールか宅配袋、割れ物なら気泡緩衝材、そして納品書の3点があれば発送できます。

発送前に、実際の商品を梱包して重さとサイズを測ってください。ここで厚さ3cmを1mm超えると、送料が数百円変わります。商品ページで送料を設定する前に、必ず実物で確認します。

固定電話番号が必要になる場面がある

自社ECだけなら携帯番号で問題ありませんが、楽天市場の出店申込には固定電話番号か050から始まるIP電話番号が必要です。自宅で開業する場合、固定電話を引いていないことは珍しくありません。

IP電話は月額数百円のサービスで取得できます。モール出店を検討しているなら、申込の前に用意しておくと手続きが止まりません。

特定商取引法に基づく表記は公開前に必ず用意する

ネット通販は特定商取引法の「通信販売」に当たります。個人でも副業でも、事業として売る以上は同じ規制がかかります。

広告に表示する項目は11個ある

消費者庁は、通信販売の広告に表示すべき事項を次のように定めています。

  1. 販売価格(役務の対価)
  2. 送料
  3. 販売価格・送料以外に購入者が負担する金銭(手数料・組立費など)
  4. 代金の支払時期と方法
  5. 商品の引渡時期
  6. 申込期間の定めがある場合はその旨
  7. 契約の申込みの撤回・解除に関する事項(返品の可否と条件)
  8. 商品が契約内容に適合しない場合の販売業者の責任について特約があるときはその内容
  9. 事業者の氏名(名称)・住所・電話番号
  10. 法人が電子情報処理組織で申込みを受ける場合は、代表者または通信販売業務の責任者の氏名
  11. ソフトウェアを販売する場合はその動作環境

これらは広告の冒頭から容易にたどり着ける場所に、読める大きさで表示する必要があります(出典:通信販売広告について|特定商取引法ガイド(消費者庁))。フッターに「特定商取引法に基づく表記」のリンクを置くのが一般的な形です。

自宅の住所と電話番号は条件を満たせば省略できる

自宅で開業する場合、住所と電話番号を公開したくないという事情があります。ここは省略できる条件が定められています。

消費者庁の通信販売広告Q&Aでは、消費者から請求があれば広告表示事項を記載した書面または電子メールを遅滞なく提供することを広告に表示し、実際に遅滞なく提供できる措置をとっている場合に、表示を省略できるとされています(出典:通信販売広告Q&A|特定商取引法ガイド(消費者庁))。バーチャルオフィスやプラットフォーム事業者の住所・電話番号を表示する方法も、連絡の機能が確実に果たされることを前提に認められています。

「請求があれば開示する」と書いておけば何も書かなくていい、という意味ではありません。請求を受けたら実際に遅滞なく開示できる体制が条件です。

返品の条件を書かないと8日間は返品を断れない

通信販売にクーリング・オフ制度はありませんが、かわりに法定の返品ルールがあります。

特定商取引法第15条の3により、返品の可否や条件を広告に表示していない場合、消費者は商品の引渡しを受けた日から8日間、送料を自己負担して返品できます。広告にあらかじめ特約を表示していれば、その特約が優先されます(出典:通信販売|特定商取引法ガイド(消費者庁))。

つまり「返品不可」と決めているなら、それを書いておかないと成立しません。食品やオーダー品など返品を受けられない商品を扱うなら、公開前に必ず書いてください。前払いで代金を受け取ってから商品を送るまでに時間が空く場合は、承諾の通知(第13条)も必要になります。

SNSで宣伝を依頼するならステマ規制の対象になる

開業と同時にSNSで宣伝を始める場合、景品表示法のステルスマーケティング規制がかかります。2023年10月1日から、事業者の広告であることが消費者に分からない表示は景品表示法違反になりました(出典:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります|消費者庁)。

商品を無償提供して投稿してもらう、報酬を払って感想を書いてもらうといった依頼をするなら、投稿に「PR」「広告」と明示してもらう必要があります。規制の対象になるのは依頼した事業者側で、投稿した人ではありません。

開業してからの3か月でやること

公開しただけでは、誰も来ません。開業直後の数か月は、売上より先に「見に来た人がいるか」を確認する期間になります。

最初の注文は知人からで問題ない

1件目の注文は、受注から発送までの流れを実際に通すことが目的です。知人に買ってもらって構いません。

ここで確認するのは、注文通知が届くか、納品書が正しく出るか、梱包して送るまでに何分かかるか、送料が想定内かの4点です。ここに問題があると、注文が増えたときにそのまま拡大します。

見る数字はアクセス数と購入率の2つでいい

開業直後に見る指標は2つです。ショップに何人来たか(アクセス数)と、来た人のうち何%が買ったか(購入率)です。

売れない理由は、このどちらかに必ず出ます。アクセスが月に数十件しかないなら、商品ページの改善より先に集客の問題です。アクセスは数百件あるのに購入率が0%に近いなら、価格・送料・商品説明・写真のいずれかで止まっています。

アクセス数と購入率の2軸で売れない原因を切り分けるマトリクス図。アクセスが月に数十件で購入0件ならまず集客を増やす。アクセスは少ないが買った人がいるなら集客だけ増やす。アクセスが数百件あって購入0件に近いなら価格・送料・写真・説明を見直す。どちらも足りているなら在庫と発送を先に整える
アクセスが少ないうちは購入率の数字が当てにならないため、先に母数を作ります

どちらが原因かを切り分けずに手を打つと、直す必要のないところを直し続けることになります。数字を見る前に改善案を考えないことが、最初の3か月では効きます。

集客の入口は1つに絞って続ける

SNSを全部やる、広告も出す、記事も書く、と同時に始めると、どれも中途半端になり、何が効いたのかも分からなくなります。

商品と相性のいい入口を1つ選んで、そこだけを3か月続けてください。写真で伝わる商品ならInstagram、検索して探される商品なら記事やモール内検索、単価が高く説明が要る商品なら広告よりも先に商品ページの作り込みです。自社で記事を作って集客する方法はECのオウンドメディアはどこに作る?で解説しています。

入口を1つに絞るのは、効果を判断できる状態にするためです。3つ同時に始めて売れた場合、次にどこへ時間を使えばいいのかが分かりません。

ネットショップの開業でよくある質問

在庫を持たずに始められる

注文が入ってから仕入れる形(ドロップシッピング)や、受注生産に対応するプリント業者を使えば、在庫を持たずに開業できます。仕入れ費用が先に出ていかないため、資金の面では始めやすい形です。

ただし発送までの日数が長くなり、在庫の有無を自分で管理できません。引渡時期は特定商取引法の表示事項なので、余裕を持った日数を書いてください。

副業でも開業届は出しておく

会社員の副業でも、事業として継続的に売るなら開業届の対象です。手続きの内容も専業の場合と変わりません。

給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。青色申告の控除を使うには開業届と青色申告承認申請書の両方が要るため、売上が立つ前に出しておくほうが手間が少なくて済みます。勤務先の就業規則で副業が制限されていないかは、先に確認してください。

開業時点でのインボイス登録は必須ではない

インボイス(適格請求書発行事業者)の登録は任意です。登録すると消費税の納税義務が発生するため、開業直後の免税事業者があえて登録しない選択もあります。

判断の基準は買い手が事業者かどうかです。個人の消費者に売るネットショップなら、買い手はインボイスを必要としません。法人向けに卸す予定があるなら、取引先から求められる可能性があります。

個人でも法人でも開業の手続きは大きく変わらない

ネットショップを開くという意味では、個人事業主でも法人でも必要な準備はほぼ同じです。許認可も特定商取引法の表示も同様に適用されます。

違いが出るのはモール出店の書類で、楽天市場の場合は個人事業主のほうが住民票と印鑑証明書の分だけ提出書類が多くなります。法人化そのものは、売上と利益が出てから税金面で検討する話です。開業のために先に法人を作る必要はありません。

まとめ

ネットショップの開業準備を、最後に整理します。

  1. 開業自体に資格も許可も要らない。必要になるのは中古品・酒・食品・輸入化粧品などを扱う場合だけ
  2. 開業届の期限は開業した年の確定申告期限まで。青色申告承認申請書だけは開業から2か月以内
  3. 準備は商品→販売先→屋号→申込→商品ページ→送料→特商法表記の順で進めると手戻りが出ない
  4. 自社ECなら0円から始められる。モールは売れなくても固定費がかかる
  5. 公開前に特定商取引法に基づく表記を置く。返品条件を書かないと8日間の返品を断れない

準備の中でいちばん後回しにされやすいのが、1商品あたりいくら残るかの計算です。ここが決まっていないと、送料設定も広告予算も決められません。商品と仕入れ値が決まった時点で、一度電卓を叩いておいてください。

開業の準備で何から手をつけるか
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この記事を書いた人

ECNOW編集部は、EC・デジタルマーケティングの実務に携わってきたJPholic株式会社のメンバーで構成された編集チームです。

楽天・Shopify・自社EC・広告運用・CRM・越境ECなど、現場で得た一次情報をもとに、実践的なECノウハウを発信しています。

理論やトレンドに偏らず、売上改善や運営のリアルな課題に向き合う視点を大切にしながら、EC担当者・事業者にとって「使える情報」を分かりやすく届けることを目指しています。

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