ネットショップを成功に導くのために必要なものをご存知でしょうか?「デザイン」や「商品写真」「オペレーション精度」など様々な要素がありますが、なかでも最も重要なのが「明確なコンセプト」です。
「ネットショップにコンセプトは本当に必要なの?」
「価格を安くしておけば、売上は上がるんじゃないの?」
そんな風に思われるかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。コンセプトが不明瞭なショップは、お客様から選ばれるショップにはなり得ません。
ネットショップのコンセプトを明確に定めると、商品をどう販売すれば良いか、またどういったデザインにすればよいかが、明確に見つけられます。
すると、ショップが成功する確率がグッと上がるのです。
今回、こちらの記事では、
- ネットショップのコンセプトとは?
- ネットショップに明確なコンセプトが必要な理由
- コンセプトを決める際に必要なこと
- ネットショップにおけるコンセプトの考え方
- コンセプトを効率的、効果的に考える方法
について徹底解説していきます。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
ECNOWはJPholic株式会社が運営する、 ネットショップ情報メディアです。
30社を超えるECコンサルティング実績や自社ECの運営経験をもとに、 「これからECをはじめる」「ECをいまよりもっと活用したい」という声にお応えします。
ネットショップのコンセプトとは?
そもそも、ネットショップにおけるコンセプトとは一体どのようなものなのでしょうか。
ひと言で言うと、自社のショップで、商品を通してお客様にどうなって欲しいかを届けるメッセージです。
コンセプトは、ネットショップの概念や考え方、方向性、ベネフィット(顧客メリット)をわかりやすいように伝えるための形にしたものです。
つまり、ネットショップのコンセプトを決めると言うことは、お客様に対して、このお店はどのようなお店なのか、自社の強みや特徴をわかりやすく発信することであり、その結果として具体的にターゲットを絞ることと言い換えられます。
ネットショップに明確なコンセプトが必要な理由
冒頭でもお伝えした通り、ネットショップの成功には明確なコンセプトが必ず必要です。
明確なコンセプトを表示すことにより、こだわりを持つ人や、コンセプトに沿ったアイテムを探している人に刺さるショップにすることができるからです。
それにより、他のネットショップとの差別化が図れ、根強いファンを増やしていくことにもつながります。
逆に、コンセプトが不明瞭な場合、以下のような状況に陥る可能性があります。
- 競合他社に埋もれてしまう
- サイト離脱に繋がりやすい
- 客単価アップ、リピート獲得が困難になる
一つずつ理由を見ていきましょう。
競合他社に埋もれてしまう
現代、ネット上には膨大な件数のネットショップが存在します。
それはつまり、類似商品を似たような価格帯で販売している競合他社も無数に存在しているということです。
ユーザーからすれば、無数にある選択肢の一つに過ぎない自社のネットショップ。無数の選択肢の中から、自社のネットショップを選んでもらうには、ユーザーが購買したくなるような何らかの動機付けが必要です。
そこで、明確なコンセプトがあるか否かが影響してきます。
特定の明確なコンセプトに基づいた付加価値を商品に与えることができれば、購買への動機付けをすることができます。購買に対する動機付けがあれば、価格のみで他社と単純比較される可能性を下げることができます。
サイト離脱に繋がりやすい
コンセプトが不明瞭だと「何を売りたいお店なのか?」ユーザーに伝わりにくくなります。すると、せっかくサイトに訪れてくれた訪問者が、離脱してしまいやすくなります。
コンセプトを明確に定め、特定のターゲットのニーズにあった商品ラインナップを揃えることで、サイト内の別商品も色々見て回りたい意欲を掻き立てることができます。
そうして色々と見て回ってもらうことによって、購買へとつなげやすくすることができます。
客単価アップ、リピーター獲得が困難になる
ネットショップでアイテムを買った際、ほぼ例外なく代金の中には送料が含まれます。そのため、お目当ての商品以外のものをついでに購入する、ついで買いを行うお客様も珍しくありません。しかし、そのような買い方は、ついでに買いたいものがないとそもそも発生しません。
コンセプトが明確なネットショップでは、お客様がサイト内の商品を見て回ってくれる確率が高くなります。サイト内の商品がお客様の目に触れる機会が増えるということは、ついでに買いたいものを見つけてもらいやすいということです。結果、ついで買いが発生しやすくなり、自ずと客単価も上がって行く、というわけです。
また、お客様は、一度取引が無事に完了すれば、次に何か買いたいものがあるときに自社のサイトを訪れてくれやすくなります。
次の購買につなげることができるという意味で、コンセプトが明確であれば、リピーターの獲得率を上げることができるのです。
ネットショップのコンセプトを決める際に必要なこと
ネットショップのコンセプトは、何を決めるよりも先に決めておきましょう。その理由は、ショップコンセプトが他のすべてのことを決める際の基準になるからです。
売れているショップは、自社のショップが何のお店なのかというところが明確かつわかりやすく訪問者に伝えられています。
では、実際にネットショップのコンセプトを決める際に必要なことは何なのか、考えていきたいと思います。
ネットショップのコンセプトを考えるときは、以下の3点に注意してみると良いでしょう。
- ショップの価値を洗い出す
- ペルソナを設定
- 目玉、独自商品の設定
ショップの価値を洗い出す
ネットショップのコンセプトを決めるのに、まず一番におこなうことは、ショップの価値を洗い出すことです。
まずは、自社と同じ系列の商品を扱う他社の商品ラインナップや、価格帯をよく分析します。
この時、競合他社は何が優れているのかを見ると同時に、自社のショップが勝てる要素を見つけることが大事になってきます。
具体的には、以下のような点に着目していくと良いでしょう。
- サイトのデザインの要素
- サイトの使いやすさ、買いやすさ
- コンテンツ(ページの中身)の充実度
- お客様にとってどういうメリットがあるか
こうした分析をしっかり行うと、買いやすさや使いやすさの工夫を行うことができ、また、他社との違いを上手に見せることができるようになります。
他社との違いは他社を見ないと分かりません。だから分析が必要になるのです。
分析して見出した傾向を参考に、自社が他社より優れている点、自社のみが提供できる商品の価値を細かく書き出してまとめておきます。
そうしてまとめたものがショップの価値になります。また、それがネットショップを通じてお客様に伝えたいメッセージとなり、ショップコンセプト作りの大切な軸でもあります。
この時、お客様の気持ちになって考えることが重要になってきます。
なぜなら、お客様の求めているものと提供できる価値がずれていると、お客様には響かなくなってしまうからです。そうすると、せっかくの商品が売れなくなってしまう可能性があります。
お客様の気持ちで考えることによって、サイトで商品を見せる方法、請求のメッセージにも一貫性が出るようになり、評価されるコンセプトを作ることができるようになります。
お客様の気持ちで、考えたコンセプトを客観的に見直し、お客様はどのように考えるか仮説を立てて、明確なコンセプトを考えていくと良いでしょう。
なお、競合を分析する作業は、開業後、運営を行なっているときにも必要になってきます。定期的に分析するようにしましょう。
ペルソナを設定
ペルソナとは、「架空のユーザー像・人物像」と言う意味のマーケティング用語です。
つまり、「ペルソナを設定する」と言うことは、自社の商品に対して「欲しい・必要」と感じると予想されるお客様の人物像を仮に設定してみるということになります。
ペルソナを設定する際には、以下のような項目を想定し、詳細かつ具体的に人物像を作り上げていきます。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 年収
- 貯金額
- 居住地
- 趣味や好みの物
- 商品購入に使える金額
- ライフスタイル
- 最近興味のあること など
このように自社が販売のターゲットとしていくペルソナ(人物像)を綿密に設定することで、自社がお客様に提供できるベネフィット(価値)が鮮明になり、より精度の高いおすすめ商品のラインナップを選定することが可能になります。
独自商品、目玉商品の設定とは?
自社にしか提供できない独自商品や目玉商品を考えておくことが重要です。
独自商品や目玉商品は、自社開発のオリジナル商品でなくともかまいません。価格やメリット、独自の入手ルート商品という売り出し方でも大丈夫です。
大事なことは、競合他社に負けない独自商品や目玉商品をそろえることです。そうすることで、お客様が自社のサイトを訪れるための動機付けがより確実になります。
ネットショップにおけるコンセプトの決め方
ネットショップのコンセプトの基本は、「誰に」「何を」「どのように」提供、販売していくかを決めることです。
ネットショップ上で一貫したメッセージを発信し、他社との違いを明確に伝えるためには、商品のターゲットとなるお客様像を明確にする必要があります。
そのためにも、「誰に」「何を」「どのように」ネットショップ上で伝えるかを決めていく必要があります。
ネットショップのコンセプトは、下に示す3つの要素からできています。
- 独自性
- 他社製品比べて優位か?
- 商品を購入したことで得られるメリット
一つずつ順番に見ていきましょう。
独自性
独自性とは、当社ならではの商品の特徴や売りを示します。
それは、今まで誰も世の中に出していない商品を販売しないといけないと考えてしまいますが、そうではありません。
ネットショップでは、商品を手に取って実物を確認することができません。そのため、世間に全く知られていない商品は、ユーザーは購入を敬遠しがちです。むしろ、「既存品に少しの独自性」の様な商品の方が、ユーザーの購買意欲をかきたてる傾向にあります。
既存品でも、付加価値次第では十分に独特な商品へと変えることが出来ます。
他社と比較した場合の優位性
他社と比較した場合の自社の「優位性」を考慮することも重要です。
独自性の高い商品を揃えることで、訪問者に興味を持ってもらうきっかけを作ることはできます。しかし、そこから実際に商品を買ってもらうには、価格や質なども重要になってきます。
自社の優位性とは何なのか、他社よりも何が優れているのか、第三者にわかりやすく伝えられることが必要になります。
商品を購入したことで得られるメリット
訪問者が商品を購買してどのようなメリットを得られるかを考えることも重要なポイントになります。
購買したことで得られるメリットを考えることは、その商品を購買することによる独自のベネフィット(顧客メリット)を提供することにつながります。
お客様に伝えたい自社の良さは、きっとたくさん出てくると思います。そうした伝えたいことの数々を、まずは箇条書きで良いので書き出していきます。
そこから、特に伝えたいことをピックアップしていきましょう。
コンセプトを効率的、効果的に考える方法
ここからは、コンセプトをより効率的、効果的に考える方法について、考えていこうと思います。
コンセプトをより効率的、効果的に考えるために参考になる考え方として、代表的なものは「ロジカルシンキング(論理的思考)」が挙げられます。
ロジカルシンキングをコンセプト考案に活用することで、よりわかりやすくお客様にコンセプトを伝えることができるようになります。また、ロジカルシンキングを活用しない場合と比べて、説得力が約3倍高くなるという説も存在します。
ロジカルシンキングはコミュニケーションの基本として相手に伝わりやすいため、現在あらゆる企業で重要視されており、新卒研修に取り入れる企業も増えているようです。
ロジカルシンキングの基本
ロジカルシンキングとは、「ロジックツリー」と呼ばれる体系化された枠組みの中で、事実とデータに基づいて結論から事実へと展開していく手法です。
結論を事実に基づいて分析、検証し、論理的にお客様に伝えることができます。
ロジカルシンキングは、コンセプトとして考えたものを整理して伝えることに向いています。コンセプトの前提になる要素を洗い出すことで、重要な要素の漏れがなくなり、より精度の高いコンセプトが作成が可能となります。
そうした要素を洗い出すときに有効な方法がいくつかあります。
- ブレインストーミング法
- KJ法
- マトリックス法
こうしたいくつかの方法について、詳しくみていきましょう。
ブレインストーミング法とは?
一般的にブレストと呼ばれる手法です。
スタッフ内で一つのテーマに関して、自由に意見を出し合います。このとき、まずは質よりも量を重視して、たくさんの意見を出していきましょう。
KJ法とは?
発案者の川喜田二郎氏のイニシャルにちなんで名前を付けられた手法です。
データをカードに記述していき、そのカードをグループごとにまとめます。そうしてまとめたものをさらに図解したり、文などにまとめていく手法です。
共同での作業にも頻繁に用いられ、創造的問題解決に効果があると言われています。多くの断片的な情報を統合し、創造的なアイデアを生み出せる方法です。
マトリックス法とは?
行と列の項目を組み合わせ、それから発想する手法です。
行と列の各要素を決めて、要素ごとに現在の状況や問題点を洗い出していきます。それらの組み合わせを用いて現状分析や、新しいアイデアを考えたりすることに向いています。
まとめ
ここまで、ネットショップのコンセプトについて、その重要性や決め方などについて述べてきました。
ネットショップのコンセプトを決めると、商品をどういったユーザー層に、どう販売すれば良いか、ショップをどういったデザインにすれば良いかを明確に見つけ出すことができます。また、コンセプトが明確であれば、ネットショップの筋道が明確になります。
ネットショップの開業時は、とにかくやるべきことがたくさんあります。
そのため、コンセプト決めはどうしても軽視されがちです。しかし、しっかりコンセプトを決めておけば、デザインだけでなく、集客やSNS上のコミュニケーションの取り方、関係構築などにも役立ちます。
さらには商品開発や新しいキャンペーンの企画、議論を迷った際の道しるべにもなってくれます。
自社のネットショップのコンセプトを明確に設定し、ユーザーに伝えていくことで、ショップのファンを獲得し、安定した経営につなげていきましょう。