ECサイトを新たに開業する際、どのような決済方法を選べば良いのか迷ってしまう方も多いはず。ショップに訪れたお客様の購入体験を向上させるためには、様々な決済方法の中から最適なものを選ぶ必要があります。
現在主流になっているECサイトの決済方法は、以下の10個です。
- クレジットカード決済
- クレジットカードの多通貨決済
- コンビニ決済
- 代金引換決済(代引き)
- キャリア決済
- PayPal
- 後払い決済
- 外部ID決済
- 銀行振込・振替
- QRコード決済
この記事では、ECサイトのオーナーが「どの決済方法を選べば良いのか」について解説していきます。メリットやデメリットもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
ECNOWはJPholic株式会社が運営する、
ネットショップ情報メディアです。
30社を超えるECコンサルティング実績や自社ECの運営経験をもとに、
「これからECをはじめる」「ECをいまよりもっと活用したい」という声にお応えします。
決済方法は顧客の要望に合わせる必要がある
ただ決済機能を実装するだけなら、ECサイトの決済方法を迷うことはありません。しかし売上を少しでも上げたいのであれば、決済方法を顧客の要望に合わせる必要があります。
以下が、決済方法を顧客の要望に合わせるべき理由です。
- 機会損失を防げる
- 顧客満足度を上げられる
- 購買意欲が上がる
それぞれについて解説しますので、参考にしてみてください。
機会損失を防げる
顧客にとって、決済は最終ステップです。その最終ステップで、自分が希望する決済方法が選択できなかった場合、一体どうなってしまうと思いますか?最悪の場合、購入せずにページから離脱してしまいます。商品を購入する気持ちになって決済画面まで進んだのに、思うような決済ができなければ購買意欲がなくなってしまうのです。
例えば、若年層をターゲットにしたECサイトで、クレジットカード決済しか使えなければ機会損失を起こしてしまうでしょう。それは、若年層はクレジットカードを持っていない可能性があるからです。
実際に、「ECサイトで物品・デジタルコンテンツを購入する際の決済手段に関する調査(2021 SBペイメントサービス株式会社 )」によると57.1%の人が、希望の決済方法がないという理由で買うのを辞めてしまうというアンケート結果に。
機会損失を防ぐためには、複数の決済方法を選べるようにしておいたり、ターゲットに合わせて決済方法を準備しておきましょう。
顧客満足度を上げられる
ECサイトの決済方法が充実していれば、顧客満足度が上がります。自分の希望する決済方法が選択できれば、満足のいく購入体験となることでしょう。そうなれば、自然とリピートにも繋がります。決済方法を最適化しておくことによって、今後も自社のECサイトを利用してもらうことになるのです。
EC・ネットショップでニーズの高い決済方法7つ
ECサイトで主要となっている決済方法を7つを紹介します。
もちろん全ての決済方法を採用する必要はありません。ターゲットとするお客様の属性ごと最適な決済方法が変わるため、お客様の目線に立って比較検討しましょう。
クレジットカード決済
クレジットカードによる支払いは、オンライン決済の主流です。2020年に総務省がおこなった「通信利用動向調査報告書(世帯編)」によれば、インターネットを使って商品を購入する際の決済手段として全体の75%がクレジットカードでの支払いを選択しています。
お客様からの要望が大きいことに加え、ネットショップ側も代金が未納になるリスクも少なく、入金ペースが把握しやすく資金計画の目処が立てやすいというメリットがあるため、最初に導入しておくべき決済方法のひとつです。
コンビニ決済
コンビニ決済は「前払い方式」と「後払い方式」があります。「前払い方式」は、顧客にコンビニで決済をしてもらい、それを確認した時点で商品を発送するシステムです。対して「後払い方式」は、商品到着後に決済をしてもらいます。
コンビニ決済の優れたポイントは、クレジットカードを持っていない人でも利用しやすいというところです。
また、銀行振込みと異なり、すぐに入金確認ができる点もコンビニ決済のメリットといえます。
代金引換決済(代引き)
代金引換決済(代引き)は、顧客が商品を受け取る際に配達業者に料金を支払う決済方法です。郵便局やヤマト運輸、佐川急便など大手物流会社が行っているサービスです。
クレジットカードを持っていない人も利用しやすく、またコンビニまで行く手間も省けるので、根強い人気があります。また、オンライン決済に馴染みがなく、若干抵抗があるような層からも重宝されています。
銀行振込・振替
銀行振込・振替は昔からある主要な決済方法のひとつです。
わざわざ銀行まで足を運ぶ必要があり、なおかつ営業時間も短い、振込・振替による決済は忙しい人にとって不便で忌避されていましたが、ネットバンキングを利用することで24時間振込が可能となり、利便性が増しました。
ネットバンク同士での振込・振替であればリアルタイムで着金の確認ができるため、ネットショップ側にもメリットのある決済手段です。
キャリア決済
キャリア決済は、NTTドコモ、SoftBank、auなどの携帯電話会社のIDやパスワードなどを利用して決済ができるシステムです。顧客は、毎月の携帯電話料金と合わせて商品の代金を支払うことになります。
クレジットカードが不要かつ、面倒な個人情報の入力も省略されることが多いです。そのため、学生などの若年層に人気がある決済方法となっています。
後払い決済
文字とおり、お客様が商品を購入した後に代金の支払いをすることです。商品の受け取り後、指定された期日までに、コンビニ払いや銀行振込などの方法で代金の支払いをします。
後払い決済のお客様のメリットは以下の3点です。
- クレジットカードの不正利用の心配がない
- 商品を受けとってから支払いができるため安心感がある
- 好きなタイミングで支払いができる
ネットショップでのお買い物を安心して行えるという点で幅広い年齢層に受け入れられやすい決済手段です。
特に初回購入時にショップに対する不安を払拭できる支払い方法のため、新規ユーザーを取り込むには最適です。
外部ID決済
外部ID決済は「Amazon Pay」や「楽天ペイ」などが有名です。
例えばAmazon Payを利用する場合、Amazonに登録している個人情報を利用して決済を行うため、配送先やクレジットカード情報を入力せずに買い物ができます。顧客の手間を省けるので、離脱率の低下が期待できるでしょう。
キャッシュレス決済がコロナ禍で需要増
新型コロナウイルスの感染拡大により決済手段にも大きな変化がありました。現金支払の忌避によりキャッシュレス決済の割合が大きく増加したのです。
2020年現在の日本のキャッシュレス決済比率は29.7%(2019年:26.8%)と、2.9%上昇しました。(出典:キャリア決済を中心としたキャッシュレス決済の動向整理│三菱UFJリサーチコンサルティング)
日常生活におけるキャッシュレス決済の浸透により、ECサイトでの決済においても「PayPay(ペイペイ)」や「LINE PAY(ラインペイ)」といったQRコード決済を望む声も増えてきています。
ECサイトで最適な決済方法の選び方
ECサイトには、様々な決済方法を採用することができます。しかし決済手数料や導入費用などのコストがかかることもあるので、全部を採用することは非現実的です。
では、どのように最適な決済方法を選べば良いのでしょうか。ポイントは「ターゲットの年代に合わせること」と「コストを考えること」です。それぞれについて解説します。
ターゲットの年代に合わせる
ECサイトで販売する商品のターゲットに合わせて、最適な決済方法を選択しましょう。例えば若年層をターゲットにする場合、顧客がクレジットカードを持っていない可能性があります。その場合、ECサイトでクレジットカードしか決済方法が選べなければ、機会損失が生まれてしまうでしょう。
また逆に、年配の方であればオンライン決済に抵抗がある可能性もあります。その場合、代引き決済やコンビニ支払いが選べないと、購入に二の足を踏んでしまう可能性が考えられるでしょう。
つまり、自社の取り扱い商品によって最適な決済方法が変わってくるということです。
一方で、特殊なケースもあります。例えば低年齢層(〜未成年)をターゲットとする商品の場合でも、決済方法は充実させておく必要があります。というのも、商品を購入をするのは多くの場合両親となるからです。
大切になってくるのは「誰がお金を払うのか」を想像することです。しっかりターゲットとその周囲のことを踏まえて決定することで、機会損失を防ぎ、リピーターを獲得することに繋がるでしょう。
コストを考える
クレジットカード決済にせよ、電子マネーにせよ、どんな決済サービスでも代行会社に支払う手数料がかかってきます。
例えばクレジットカードの手数料は、商品総額の3〜5%です。またコンビニ決済の場合は、1件あたり150〜300円かかります。代引きであれば1件300円から、キャリア決済ではシステム導入費用が発生します。
もちろん決済手数料が低いに越したことはありません。そのため、決済代行会社選びと導入する決済手段は慎重に比較検討する必要があります。
また、各ASPやモールによっても利用できる決済代行会社や決済手段、そして手数料が異なるため、注意が必要です。
ECサイトの決済方法を選ぶ時のポイント
ECサイトの決済方法を選ぶには、いくつかのポイントがあります。どの決済方法を採用するのがベストなのかを検討してみてください。
- 商材との相性を考える
- 自社のECサイトの対応可否
- 信頼できる決済会社か
- 初期コスト、運用コストはどれくらいか
機会損失をせず、かつ顧客満足度を高め、さらに自社資金の負担にならない決済方法を選びましょう。
商材との相性を考える
ECサイトで取り扱いをする商材との相性を考えることが、決済方法を選ぶ際のひとつのポイントです。
ターゲットとなる顧客を想定し、どのような支払い方法なら喜ばれるかを考えてみてください。例えばシニア層向けの商品を販売するのであれば、QRコード決済や外部ID決済よりも代引き決済や銀行振込が望ましいでしょう。
また、決済方法の数が多すぎると、顧客に対して「どの決済方法がお得なのかわからない」という悩みを与えてしまいます。できるだけシンプルかつ親切、そして簡単に決済方法が選べることが理想です。決済がスムーズにできるということは、ECサイトを運営する上での大きな強みとなり、リピーターの獲得にも繋がります。
自社のECサイトの対応可否
決済方法を選ぶ際には、自社のECサイトのシステムに対応しているかどうかを確認しなければいけません。
もしも標準で採用できない決済方法を選ぶ場合、カスタマイズするのに改修コストが必要になるでしょう。どうしても非対応の決済方法を選ばないといけないのであれば、費用対効果のバランスを検討するようにしてください。
信頼できる決済会社か
手数料が安いからといって、安易に決済会社を選ばないようにしましょう。入金日が遅れたり、回収ができないという事態も考えられます。「健全な経営をしているか」「導入実績はあるか」「セキュリティはしっかりしているか」「カードの不正利用に対する取り組みを行っているか」などのポイントを踏まえて、決済会社を調べてみてください。
個人情報やお金を扱うので、どの決済会社もセキュリティには力を入れています。しかし、どの程度のセキュリティ対策をしているのかはあまり公表されていません。確かめる方法としては、決済会社にセキュリティへの投資額を聞いてみると良いでしょう。
またそれと同時に、サポート体制についても重要視してください。決済会社とは、導入後に長く付き合うことになります。年中無休での営業が基本となるECサイトなので、迅速に問題解決してくれるかどうかは大きなポイントとなります。何か不具合があった際に対応が遅ければ、機会損失や顧客の信頼度ダウンに繋がってしまいます。
決済システムを導入する前に、しっかり情報を収集しておきましょう。レスポンスの速さや担当者の人柄なども見極めておきたいところです。
初期コスト、運用コストはどれくらいか
決済方法を決定する際には、初期コストと運用コストを踏まえて検討してください。
初期コストは「システム導入料」と呼ばれており、最初にかかってくる費用のことになります。また運用コストは「月額利用料」や「決済手数料」で、いわゆる「ランニングコスト」と呼ばれるものです。注文件数や売上を想定した上で、最適な初期コストと運用コストの目安を算出しましょう。
また、一見手数料が安く見えたとしても、導入費用が高い場合があります。そうなってしまえば、償却期間が長くなってしまうため、本末転倒の結果となってしまいます。中長期的に未来を見越してコストの計算をしましょう。
まとめ
ECサイトの決済方法は、いくつかの種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自社のECサイトに合う決済方法を選ぶようにしてください。
「他のショップがいれてるから」といった理由で決済方法を選んではいけません。大切になってくるのは、商材やターゲットとの相性です。顧客が選びやすく買いやすい決済方法を導入することにより、機会損失を防ぎ、ECサイトの信頼度アップにも繋がります。結果的に今後のリピート率にも大きく影響するでしょう。
ネットショップでの買い物は一般化してきてはるものの、まだ不安に感じている方々がいることも事実です。そのため、お客様に安心してお買い物いただける決済方法を導入することが大切となります。
運営するECサイトのターゲットに合わせて利便性の高い決済方法を選びましょう。