キャッチコピーは、ECサイト(ネットショップ)に訪れたお客様の心をつかみ、次の行動を促すための重要な要素です。
しかし、
- 魅力的なキャッチコピーを、どのようにを作ればいいのかわからない
- 作ったキャッチコピーがいまいちパッとしない
- 考えては消して、考えては消してを繰り返している
というネットショップ事業者さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、ECサイト(ネットショップ)運営における効果的なキャッチコピーの作り方を4つの手順に分類して紹介します。また、事例や例文も紹介しているため、キャッチコピー作りの参考になれば幸いです。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
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30社を超えるECコンサルティング実績や自社ECの運営経験をもとに、
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ECサイトにおけるキャッチコピーの役割
まずは、ECサイトにおけるキャッチコピーの役割を理解しましょう。キャッチコピーの役割とは、訪問者の興味を引き付け、行動を起こさせることです。
訪問者がどのような行動を取るかは、キャッチコピーの表示場所によっても異なります。広告に表示したのであればECサイトへ、トップページであれば、商品ページへと進んでもらうことが目的です。
つまり、それ以降にある、商品の紹介や商品を売ることに関しては、キャッチコピーの対象外。あくまでも、訪問者に興味を持ってもらいECサイトを訪問してもらう、または商品ページを開いてもらうことが目的です。
ネット上には膨大な情報が溢れており、ユーザーはその中から自分が求める情報を拾い上げます。この時、「このサイトに自分が求める情報があるのか」「読み進めるに値するのか」といった判断をわずか3秒で決断するといわれています。
優れたキャッチコピーは、この3秒というわずかな時間で強烈な印象を与え、次の行動へと促すのです。
効果的なキャッチコピーの作り方
何事も、準備をせずいきなり取り掛かってはうまくいかないものです。訪問者の興味を引き付ける効果的なキャッチコピーを作るには、下記4つの段階を踏むことが大切です。
- キャッチコピーのターゲットを設定
- ターゲットが抱える課題をリストアップ
- 商品の強みを洗い出す
- 悩みと強みを組み合わせてキャッチコピーを作る
この章では、各段階の要点と意識すべきポイントを紹介します。
キャッチコピーのターゲットを設定
キャッチコピー作りの1段階目は、ターゲットの設定です。ターゲットが明確なキャッチコピーは、見た人の心に刺さりやすく、興味を持ってもらいやすいためです。
たとえば、不特定多数の人に向けた手紙よりも、自分一人のために書かれた手紙のほうが心を動かされます。キャッチコピーも同様で、不特定多数のだれかに向けて作るよりも、特定の人に向けたコピーのほうが、効果が出やすいのです。
また、詳細なターゲットを設定することで、適切な言葉使いや求める情報が絞り込まれ、キャッチコピーが浮かびやすくなります。ECサイトのターゲット層や既存顧客の情報をもとに、下記の3つを明確にしてください。
- 属性(年齢・性別・居住地・職業・年収)
- 価値観(金銭・健康・仕事)
- ライフスタイル
ターゲットが抱える課題をリストアップ
キャッチコピー作りの2段階目では、先ほど設定したターゲットが抱える悩み・問題意識など、行動につながりそうなきっかけをリストアップします。人の行動には、必ず何かしらのきっかけがあります。
このきっかけをキャッチコピーを使ってうまく刺激できれば、こちらが望む行動をとってもらいやすくなります。まずは考えられる動機をできる限り洗い出してください。
もしかすると、ターゲットの悩みや問題意識が浮かばないかもしれません。その場合、ターゲットの設定が甘い可能性があるため、再度1段階目に戻り、より詳細なターゲットを練り直します。
また、ターゲットのリアルな意見を収集するには、競合ECサイトの商品レビューやSNSなどから悩みを抽出すると効果的です。
商品・ECサイトの強みを洗い出す
キャッチコピー作りの3段階目では、ターゲットの動機につながる、商品・ECサイトの強み(USP:Unique Selling Proposition)を洗い出します。競合ECサイトと比較し、自社ECサイトの秀でている部分を探すのも良いでしょうし、弱みを強みに置き換えるのも効果的です。
たとえば、類似商品よりも重量が重いという弱みから、その分耐久性に優れているなどが挙げられます。商品の強みを探す際には、下記3つの視点を持つことが効果的です。
- 価格面:類似商品よりも安い・高い
- 品質面:安全性・ブランド・産地
- 利便性:使いやすさ、簡易性
悩みと強みを組み合わせてキャッチコピーを作る
ここまでくれば、キャッチコピー作りも大詰めです。これまでに洗い出したターゲットの悩みと自社EC・商品の強みを組み合わせ、キャッチコピーを作ります。
ただし、はじめから完璧なキャッチコピーを作るのは、困難です。そのため、まずは考えつく限りのキャッチコピー案を書き出しましょう。採用するキャッチコピーを決める際は、下記3つの判断基準で選ぶのがおすすめです。
- ターゲットに適したキャッチコピーか
- 一目で理解できるか
- 独自性があるか
上記の中で最も重要なポイントは、「ターゲットに適したキャッチコピーになっているか」です。ターゲットの価値観とずれたキャッチコピーに仕上がってしまうと、仮に見られたとしても離脱される可能性が高まります。
価値観のずれた提案では、キャッチコピーとしての役割を果たしていないため、廃案とするのが懸命です。
続いて、キャッチコピーはその内容を一目で理解できることも大切です。先述のとおり、ユーザーは自分にとって必要な情報かをわずかな時間で判断するため、周りくどい言い回しや難解なキャッチコピーは離脱につながります。
したがって、採用するキャッチコピーを選ぶ際は、直感的に理解できるものを選ぶと良いでしょう。
最後の判断基準は、独自性の有無です。我々は意識していないだけで、普段から膨大な数のキャッチコピーを目にしています。
そんな中、どこにでもありそうなありふれたキャッチコピーでは、見た人の心に刺さりませんし、行動を起こさせることもできません。
だれもが知っている大手企業のキャッチコピーを想像してもらえれば分かるとおり、いずれも独自性に優れたものばかりです。キャッチコピーを選ぶ際は、自社だけの独創的なものを選定してみてください。
ECサイトのキャッチコピー作りに欠かせない5つのコツ・例文
ECサイトのキャッチコピーを考えるうえで、最低限押さえておくべきコツを5つ紹介します。
- ベネフィットを伝える
- 数字を用いて具体的に伝える
- 権威性を用いる
- 簡潔さにこだわりすぎない
- お客様の声をキャッチコピーにもりこむ
上記のうちいずれか1つもしくは複数を用いることで、より効果的なキャッチコピーを作れます。例文を用いて紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
ベネフィットを伝える
ひとつ目のコツは、キャッチコピーにベネフィットを盛り込むことです。ベネフィットとは、商品から得られる良い効果のことで、商品自体の利点を表すメリットとは異なります。
お客様が商品を買い求める理由は、商品自体が欲しいからではなく、商品を使うことで得られる効果(ベネフィット)を求めているためです。
たとえば洗濯機の洗浄力や乾燥機能など、性能について熱弁されたとしても、購入しようと思わないはずです。一方、「シミまで取り除きます」や「洗濯物を干す必要がないので朝の時間を家族と過ごせます」などといわれたら、ちょっと欲しくなりますよね。
これこそがキャッチコピーに求められるベネフィットです。キャッチコピーを作る際には、商品の特徴を伝えるのではなく、商品によってお客様が得られる効果を取り入れてみてください。
数字を用いて具体的に伝える
ふたつ目のコツは、数字を用いてキャッチコピーに具体性を持たせることです。広告などで頻繁に使われる「すぐに痩せる」や「多くの人が利用する」などの表現は、見た人の主観によって解釈が異なる上に、抽象的な印象を与えます。
一方、数字を用いて、「1ヶ月で3キロ痩せた」や「3000人が利用する」とすることで、具体性が高まり、説得力のあるキャッチコピーになります。また、数字を用いる以外にも、表現を具体的なものにすることで商品をイメージしやすく、強い印象につながります。
たとえば、「リピーター続出!」よりも「10人中9人がリピート!」のほうが、読者の目に止まるだけではなく、説得力のある表現になります。キャッチコピーを見た人がイメージしやすいよう、数字・具体的な表現を用いることが効果的です。
権威性を用いる
みっつ目のコツは、「〇〇賞受賞」や「〇〇部門第一位」など、権威性を用いることです。キャッチコピーに権威性を用いることで、信憑性が格段に高まります。
権威性において重要なことは、どのような賞を受賞したのかではなく、客観的に「すごい」と思えるかです。「〇〇賞受賞」や「〇〇部門第一位」などの表現は、テレビCMなどでも用いられますが、賞の詳細を理解している人はほとんどいないはず。
ただ、金賞受賞や第一位といわれると、信頼してしまいます。これこそが権威性の効果であり、賞の内容はさほど重要ではないのです。仮に自社ECサイトや商品に誇れる賞がない場合でも、着眼点を変えることで権威性を作り出せます。
たとえば、その道の専門家に監修を依頼し、「〇〇監修」としてみたり、インフルエンサーを起用して「〇〇も使ってる」としたりなどです。広い視野をもって、商品の権威性を見つけてみてください。
簡潔さにこだわりすぎない
よっつ目のコツは、キャッチコピーの簡潔さにこだわりすぎないことです。簡潔なキャッチコピーは瞬時に把握しやすく、印象に残りやすいといわれています。
ただし、文字数を減らしてメッセージが伝わらなくなることは本末転倒です。長いキャッチコピーには、作り手の意図を盛り込みやすいため、伝えたいメッセージを正確に伝えられます。
いずれにせよ、キャッチコピーの目的である、「興味を持ってもらい、行動してもらう」が達成できるのであれば、キャッチコピーの長さは重要でないのです。
お客様の声をキャッチコピーにもりこむ
いつつ目のコツは、お客様の声をキャッチコピーに盛り込むことです。既存顧客へのアンケートや商品レビューには、どうして商品を購入したのか、なぜ他社でなく自社のECサイトを訪れたのかなどの情報が詰まっています。
こうした情報を分析すれば、訴求すべきポイントが明確になり、より効果的なキャッチコピーが作れるでしょう。既存顧客へのアンケートは、キャッチコピー作りに必要な下記の質問を盛り込むと効果的です。
- ECサイトを訪れる前の悩み・課題(動機)
- なにに魅力を感じて購入したのか(商品・ECサイトの強み)
- 商品を使ってどんな効果があったか(ベネフィット)
キャッチコピーのアイデアが浮かばない場合の対処法
ECサイトのキャッチコピー作りでは、どうしても考えが浮かばないときもあるでしょう。この場合には、下記3つの対処法が効果的です。
- 既存顧客を分析する
- 口コミ・評価を分析する
- 競合のキャッチコピーを参考にする
- それぞれについて順に紹介します。
既存顧客を分析する
ひとつ目の対処法は、既存顧客を分析することです。キャッチコピーが浮かばない理由のひとつは、ターゲットの設定が誤っているためです。
ターゲットが、実際に商品を購入しているお客様とずれていると、キャッチコピーで伝えるべき内容もずれてきます。その結果、いまいちパッとしないキャッチコピーばかりができあがり、良いアイデアが浮かばない恐れがあるのです。
そのため、既存顧客の属性や趣向、価値観などを分析し、ターゲットに誤りがないかを確認するのがおすすめです。分析の結果、ターゲットが誤っていた場合は再度ターゲットを修正して、キャッチコピーを作り直します。
一方、ターゲットに誤りがない場合は、単純な情報不足の可能性が高いため、次項で紹介する口コミ・評判の分析をおこないましょう。
口コミ・評判を分析
ふたつ目の対処法は、口コミ・評判の分析です。キャッチコピーを作るうえで必要な、ターゲットの情報や商品の強みが洗い出せていない場合も、アイデアが浮かばないでしょう。
ターゲットの情報や商品の強みは、既存顧客が書いた口コミ・評判を参考にすると効率的に収集できます。また、口コミ・評判を分析するなかで、新たな発見があるかもしれません。
たとえば、化粧品の既存顧客には20代女性が多いため、ターゲットに設定していたとします。しかし、口コミ・評判を分析したところ、「私だけでなく母親も愛用しています。」という意見が多いことがわかったとすれば、キャッチコピーの内容は、大きく変化します。
このように、キャッチコピーを作るうえで必要な情報が誤っているケース・不足しているケースも考えられるため、アイデアが浮かばない場合はイチから作り直すのもおすすめです。
競合のキャッチコピーを参考にする
みっつ目の対処法は、競合ECサイトのキャッチコピーを参考にすることです。商品の何を訴求しているのか、ターゲットにはどのような人を設定しているのかなど、多くの学びがあるはずです。
ただし、競合ECサイトのキャッチコピーが、必ずしも成果を出しているとは限りません。
そのため、必ず複数のECサイトを参考にするよう心がけてください。
また、キャッチコピーを丸ごと真似してしまうと、著作権侵害にあたる可能性があるため、あくまでもキャッチコピーのターゲットや訴求ポイントなどの要素部分のみを参考にしましょう。
ECサイトのキャッチコピーはABテストで効果を検証
作成したキャッチコピーは、ECサイト内でABテストをおこない、効果を検証するのがおすすめです。ABテストとは、キャッチコピーやトップページの画像など、ECサイト内の一部分を変更した2つのパターンを用意し、効果を検証するテストのこと。
たとえば、同一箇所に掲載する複数のキャッチコピー案を作成し、Aパターン・Bパターンとします。それぞれのページを公開し、クリック率やコンバージョン率、売上などの効果を検証します。
こうすることで、複数作成したキャッチコピー案の中から、最も効果的なコピーを採用できるのです。また、ABテストの使い方によっては、キャッチコピーの最適化にもつながります。
たとえば、ハンドクリームのキャッチコピーで「年中がんばるママの手を、肌荒れから守る」を採用しているとします。このキャッチコピーを最適化するために、下記の代案を用意します。
- 現状:年中がんばるママの手を、肌荒れから守る
- 代案:365日がんばるママの手を、肌荒れから守る
キャッチコピーのうち一部分を変更した別パターンを用意し、効果を検証。代案のほうが良い結果が出れば、キャッチコピーを置き換えるというものです。ABテストを繰り返すことで、より効果的なキャッチコピーへと最適化できます。
ただしABテストには注意が必要
ABテストは一見非常に便利なテストに思えますが、実行に際しては下記の注意点があります。
- サンプル数が検証の物をいう
- 単一箇所で検証する
ひとつ目の注意点は、サンプル数によって検証結果が左右されること。たとえば、10人中8人がAパターンを評価し、残り2人がBパターンを評価したとします。
この場合、より効果的なのはAパターンと判断できます。しかし、同様のABテストを用いて、サンプル数を1,000人にした場合はどうでしょう。
サンプル数が増加しても先ほどと同様8割の人、つまり800人がAパターンを評価するとは考えにくいです。つまり、サンプル数が少ない場合には、検証結果に誤差・偶発的要因が含まれるため、正確に効果を検証できないのです。そのため、ABテストで効果を検証する際は、サンプル数への注意が必要です。
ふたつ目の注意点は、単一箇所でABテストをおこなわなければならないこと。ABテストで検証できるのは、基本的に同一部位におけるAパターンとBパターンの効果のみです。
「キャッチコピーの文言と背景画像を変える」A〜Dまでのパターンを同時に検証する」といったことはできません。理由は、変更要素が多いと、どの部分による効果なのかを判断できないためです。
したがって、ABテストでは一回につき一箇所の文言変更になるため、検証に多くの時間がかかる点に注意が必要です。
ABテストの実施方法を詳しく知りたい方は、下記の記事をご参考ください。
魅力的なキャッチコピーでECサイトのCVRを高めよう
この記事では、ECサイトにおける効果的なキャッチコピーの作り方を紹介しました。キャッチコピーは、わずかな時間で強烈な印象を与え、次の行動へと促す重要な要素です。
ECサイトの入り口に位置するキャッチコピーは、コンバージョン率や売上にも大きく作用します。今回紹介した手順に従い、ターゲットの心をわしずかみにする魅力的なキャッチコピーを作成してみてください。