従来、ネットショップの運営は膨大な時間と作業が必要でした。しかし、昨今ASPカートサービスやEC運営を支援するツールが充実してきたこともあり、1人でネットショップを運営することも不可能ではなくなっています。
とはいえ、
「本当に1人でネットショップが運営できるの?」
「1人で運営するのは不安」
と思っている方もおられるでしょう。
この記事では、ネットショップを1人で運営することのメリットとデメリットについて解説していきます。
また、ネットショップの運営のために覚えておきたいスキルやポイントと一人で運営する際の注意点を紹介するので、参考にしてみてください。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
ECNOWはJPholic株式会社が運営する、
ネットショップ情報メディアです。
30社を超えるECコンサルティング実績や自社ECの運営経験をもとに、
「これからECをはじめる」「ECをいまよりもっと活用したい」という声にお応えします。
結論:一人でネットショプ運営は『できます』
初めに結論からお伝えします。
ネットショップは一人で運営できます。
しかし、何も準備せずにすぐうまくいくか?と言われると、素直にハイとは言えないのも事実です。
一体どういうことなのでしょうか?詳しくみていきましょう。
ネットショップ運営の業務をおさらい
本題に入る前に、ネットショップ運営の業務を軽くおさらいしておきましょう。
ネットショップ運営業務は、主に以下の9つに分類されます。
- 商品企画
- 仕入れ
- ECサイト制作・運営
- プロモーション
- 受注管理
- 在庫管理
- 梱包・出荷
- 配送
- アフターサービス
詳しく知りたいかたは、「ECサイト運営の基本!日々の業務内容と必要なスキルは?」にて確認ください!
ネットショップを一人で運営するということは?
本題に入りますね。
「ネットショップを一人で運営する」とは、どういうことでしょうか?
それはズバリ
- ネットショップ運営の判断
- ネットショップ運営の作業
この2つを一人で行うということです。
運営の判断と作業を一人で行うことは良い面もありますが、悪い面もあります。
ネットショップを1人で運営するメリット
まずはネットショップを一人で運営するメリットを確認していきましょう。
一人でネットショップを運営するメリットは以下の2つが挙げられます。
- コストをおさえられる
- 状況に応じた柔軟な運営ができる
コストをおさえられる
一人でネットショップを運営する最大のメリットは「コストをおさえられること」です。
一人で運営することで、費用の大部分を占める人件費を削減することができます。
仮にネットショップ運営業務のアルバイトスタッフを雇うとして、
時給1200円、1日5時間・月20日稼働と仮定すると、月120,000円のコストがかかります。
ここまで本格的な稼働でなくとも、売上が小さいうちは、人件費が大きな負担となることは間違いありません。
一人でネットショップの運営をまかなうことができれば、支出を大きく抑えることになります。
状況に応じた柔軟な運営ができる
ネットショップを一人で運営するメリットは、費用面だけではありません。
ネットショップを1人で運営することによる意思決定の速さは、ほかにはない武器となります。
ネットショップの売り上げは、トレンドによって左右されることが少なくありません。
急な判断を迫られた時に、ほかの人の意思決定を待っていては、トレンドの波に乗り遅れてしまうことが容易に予想できます。
それに対し、意思決定者が1人である個人運営は、流行や時代の変化に応じて柔軟な対応が可能です。
くわえて、意思決定の速さだけでなく、実際に行動に移すスピードを速める仕組みを持っておくとよいかもしれません。
このことから、ネットショップ運営の高い柔軟性は一人で運営するならではの強みと言えるでしょう。
ネットショップを1人で運営するデメリット
続いてはデメリットを紹介します。
デメリットは以下の3つです。
- まとまった休みを取りにくい
- 手が回らない可能性がある
- 相談相手がいない
まとまった休みを取りにくい
ネットショップを1人で運営していると、どうしても休みが取りにくい傾向にあります。
ネットショップの良いところは、24時間365日注文を受け付けていることです。
このおかげで「営業時間外の機会損失を防げる」というのが魅力ですが、裏を返せば、ネットショップ運営にも休みがないということになります。
注文が入るたびに発送業務が入ったり、お問い合わせに返答をしたりと、運営者は常に動ける状態にないといけません。
このことから、まとまった休みを取ることが困難になってしまう可能性があります。
手が回らなくなる可能性がある
一人でネットショップを運営していると、どうしても手が回らなくなるケースが出てきます。
ネットショップ運営の作業は
- 発送業務
- サイトの更新
- 在庫管理
など多岐にわたります。
日常的に実施しないといけないタスクの多さに忙殺されてしまうケースも珍しくありません。
タスクに追われると、発送すべきものが発送できていなかったり、発送先を間違えていたり、などのミスにもつながります。
結果として、商品を購入していただいたお客さまに迷惑をかけかねません。非常に危険な状態です。
また、日々の業務に圧倒されていては、集客やCVR改善の施策が後回しとなってしまいます。
経営方針を考え実行、そして評価するサイクルはネットショップの成長には欠かせません。
顧客対応やサイト更新など、ネットショップの運営業務の一部を外注したりと、うまくネットショップ運営を回していく環境を構築することが、一人でネットショップを運営するための1つのポイントです。
相談相手がいない
一人であらゆる判断を下せることは、強力なメリットとなり得ますが、運営に迷ってしまったとき、相談相手がいないことは致命的なデメリットです。
あなたの周りには、ネットショップの運営で困ったときに、解決まで一緒に導いてくれる人はいるでしょうか?
ネットショップの運営を行う企業や個人との横のつながりや、MakeShopやカラーミーといったASPサービスを提供している企業の中の人とつながるなど、日頃からネットショップに携わる人たちのコミュニティに参加しておくことも、一つの手段です。
メリット・デメリットまとめ
ここまでを一旦まとめてみましょう。
ネットショップを一人で運営することは「作業と判断」を一人で行うことでしたね。
それに付随するメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット | 評価軸 | デメリット |
---|---|---|
費用を抑えられる | 作業が一人 | 手が回らなくなる 休みがとりにくい |
柔軟かつ迅速な判断が可能 | 判断が一人 | 相談相手がおらず、 判断を間違える可能性 |
一人で運営するという特性は、メリットにもデメリットにもなりうることが伝わったでしょうか。
ネットショップを1人で運営するために必要なスキル
ここまで、ネットショップを一人で運営するメリット、デメリットについて解説してきました。
もしかしたら
「一人だとちょっと大変かも…」
と感じられたかたもいらっしゃると思います。
しかし、冒頭でお話しした通り、一人でもネットショップ運営は可能なのです。
では、どのようなスキルを持っていれば、これらのデメリットを乗り越えることができるでしょうか?
具体的なスキルについて、踏み込んで解説します。
ネットショップ運営を円滑に行うためには、以下の7つのスキルがあると良いでしょう。
- 基礎的なPCの知識とスキル
- 写真撮影のスキル
- 画像編集ソフトのスキル
- SEOの知識
- SNSリテラシー
- ITリテラシー
- マネーリテラシー
基礎的なPCの知識とスキル
ネットショップを運営するのであれば、基礎的なPCの知識とスキルは必須です。
ネットショップの構築・運用に必要な基本知識を覚えることはもちろんのこと、ネットショップの機能を最大限に活かすためのスキルも必要になってくるでしょう。
たとえば
- わからないことを解決するための検索力
- 在庫管理や帳簿付けに必要なExcelの知識やスキル
- 顧客対応のために必須のメールの知識やスキル
- 業務を効率化させるという意味ではブラインドタッチも
など、PCを使いこなすための基礎スキルと言えるでしょう。
写真撮影のスキル
写真撮影のスキルがあれば、ネットショップの商品画像を魅力的に撮影することができます。
取り扱う商品によっては画像が入手できるものもあるかもしれませんが、現物を仕入れてネットショップに掲載するのであれば、商品の魅力が伝わりやすい写真の撮り方や、カメラの扱いに関する知識も持ち合わせておきたいところ。
たとえばアパレル商品の販売を行うのであれば、実際に着用している写真があったほうが売れ行きは良くなるでしょう。
一方、毎回プロのカメラマンに依頼していては費用がかさんでしまいます。
できる限り自分で商品画像をきれいに撮れる技術を習得し、費用をおさえられることが理想です。
くわえて、昨今では動画も撮れるとより望ましいといえます。YouTubeなど外部メディアでの露出を増やせる他、「商品を手に取って確認できない」というネットショップのデメリットに対する解決手段にもなります。
ネットショップにおける動画の利活用については「売れるECサイトは動画を活用している!売上や集客アップに効果大」の記事をご覧ください。
画像編集ソフトのスキル
ネットショップに掲載する商品画像を加工するためには、専用のソフトが必要です。
AdobeのPhotoshopやLightroomといったソフトが代名詞ですが、ソフトを使いこなすには知識とスキルが必要です。
撮影のたびに画像編集を外注するとなると、まとまったお金が必要になるので、写真撮影と同様に自分でできる範囲を広げておくことが望ましいです。
専門ソフトを使いこなせるようになるには学習コストがかかりますが、これら技術を取得すれば、ネットショップの運用コストが大きく変わってきます。
ぜひ最低限のスキルは習得しておくようにしてください。
SEOの知識
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で「検索エンジン最適化」を指します。
簡単にいうと、
「GoogleやYahoo!で特定のキーワードが検索された際に、上位に表示されるようにするための知識と技術」
みたいなものでしょうか。
お客様が検索エンジンで商品や困りごとを検索した際、自分の運営するネットショップが上位に表示されたほうが、当然商品は売れやすくなりますよね。
記事を上位表示させるには、質の良い記事(ユーザーの検索意図に応えている記事)を書くことが最も有効ですが、Googleに自社記事を高く評価してもらうコツがあるのです。
ネットショップのSEOについては、下記の2つの記事も参考にしてください。
SNSの知識とスキル
昨今のネットショップ運営とSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は切っても切れない関係です。
SNSは、お客さんとダイレクトに繋がれる貴重なツールです。
しかも無料で使えるため、販促に使わない手はありません。
- YouTube
など、あらゆるSNSを利用してお客さんに情報を届けましょう。
そのためには、SNSに対する知識やスキルを得る必要があります。
各SNSごとの特性やユーザーに対する理解はもちろん、どんなクリエイティブが受け入れられるかといった知識、また実際に画像や動画といったクリエイティブを作成するための最低限のスキルは身につけておきましょう。
自身のネットショップと各SNSとの相性は、ターゲットや商品ジャンルによって異なります。
たとえばアパレル商品を売りたいのであれば、テキストで情報を伝えるTwitterよりも、画像がメインのInstagramのほうが適していると言えます。
SNSでの情報収集はスタンダードとなってきています。特に若者の間では「タグる」という言葉も使われているほどです。
これは「ハッシュタグで検索する」という意味で、GoogleではなくSNSで情報収集するのがスタンダードになってきているということです。
SNSを積極的に活用して、商品やブランドの宣伝を行いましょう。
ITリテラシー
ITリテラシーと聞くと
「PCや付随するソフトウェアといったIT機器を使いこなすこと?」
というふうに思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、実際には
- IT分野の最新動向
- 膨大にある情報の取捨選別
- ITを安全に活用するための情報セキュリティやコンプライアンスの知識
といった、ITの利活用における広い知識やスキルもITリテラシーの一部に含まれます。
ITリテラシーが低い場合「生産性の低下」を引き起こすほか、「情報漏えい」や「SNS上での炎上」といった弊害につながる場合も。
実際にネットショップを運営するなかで、最新のニュースをフォローしたり、業界の動向に注目したりして学びとっていくことをおすすめします。
マネーリテラシー
ECの運営において、お金に関するリテラシーは必須です。
1人でネットショップを運営するとなれば、お金の管理も自分で行うことになります。
在庫金額や仕入れ金額、外注費などの経理全般も1人で行わなければいけないのです。
管理してくれる人がいない分、シビアにお金の管理をする必要もあるでしょう。
お金の勉強も並行して行うことにより、健全にネットショップを運営できるようになります。
ネットショップを一人で運営するためのポイント
ここまで紹介してきたスキルを手に入れれば、一人でもネットショップ運営を進めていくことができるでしょう。
しかし、上で紹介したスキルは、あくまでもネットショップ運営を円滑にする『手段』です。
最後に、ネットショップを1人で運営していくために覚えておきたい心構えをお伝えします。
大切なのは以下の2つです。
- 問題に冷静に対処し解決する能力を身に付けること
- 常に最新情報をキャッチアップすること
問題に冷静に対処し解決する能力を身に付けること
1人でネットショップを運営するとなれば、問題に冷静に対処し解決する能力が必要となります。
残念ながら、ネットショップの運営において、トラブルやミスは必ず起こります。
たとえば、商品が指定した配達日に届かなかったり、誤った商品を届けてしまうというトラブルはよくあるケースです。
このようなトラブルが起きたときに、
冷静に対処し解決する能力が必要になってくるのです。
この解決能力はネットショップの運営を続けていくなかで培われます。
問題を解決していく中で、自身に足りていない能力を補っていきましょう。
問題解決を起点に手段を選ぶことができれば、
先ほど紹介したスキルが、きっと役に立つはずです。
常に最新情報をキャッチアップする
ネットショップを運営するならば、常に最新情報を追いかけないといけません。
これは必ずしもWEBのニュースや技術のみならず、
世の中の経済状況やトレンドにも敏感になっておかなければならないということです。
たとえば「今年のトレンドカラー」や「流行のアクティビティ」など、
一見自分のネットショップと関係ないようにみえるニュースも、
うまく要素を取り込みマーケティングにいかせる可能性があります。
1人でネットショップを運営していると、つい最新情報に偏りが出てきてしまいます。
自分が興味のある物に関しては最新情報を仕入れていても、
興味がない物に関しては無頓着という場合もあるでしょう。
ネットショップは、いち早くトレンドを反映させる必要があります。
それができるのはネットショップの強みであり、実店舗にはできないことです。
そのため、世の中の動向やトレンドにはしっかりアンテナを張っておいてください。
ネットショップの利点を生かすためにも、最新情報を常に学習する姿勢を持っておいてください。
まとめ
今回は、ネットショップを1人で運営するのに覚えておきたいスキルやポイントについてまとめました。
結論、ネットショップは1人で運営できます。
1人で運営するメリットや楽しさ、自由さは、人によっては天職のように思えるでしょう。
一方で、1人でのネットショップの運営に尻込みしてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、スキルをしっかり身に付け、ポイントを押さえ続ければ
ネットショップは1人でも運営できるものになるのです。
たとえば、運営が軌道に乗ってきたらスタッフを雇う…そう決めてみてはいかがでしょうか。
まずは1人で運営して経営を軌道に乗せることで、経験値はしっかりと貯まります。
1人でネットショップを運営することは現実的に可能な時代ですので、ぜひチャレンジしてみてください。