今週のEC業界では、AIを使った接客やレコメンドの進化、健康・医薬品分野のオンライン化、データ活用の広がりなど、さまざまな変化が見られました。
ecbeingやQoo10、ウイングアーク1stなど各社が、AIやレビューを活かして「より良い買い物体験」をつくり出そうとしています。
今回は、AI・レビュー活用・健康EC・データ分析・レコメンド戦略といったテーマを中心に、事業者が知っておきたい今週の動きを振り返ります。
1. ecbeing、「AIデジタルスタッフ」とReviCoが連携 — レビュー活用で商品提案の精度向上へ
EC構築/運営支援のecbeingが、自社チャットボットシステム「AIデジタルスタッフ」に、レビュー収集・マーケティングプラットフォームであるReviCoとの連携を発表。サイト内のレビュー情報をAIが読み込み、商品提案や回答に活用する仕組み。
3つのポイント:
- レビュー情報をチャットボットに加えることで、商品提案時の説得力や利用者満足度を高める設計。
- AIエージェント化(チャットボット → AIデジタルスタッフ)により「対応品質」の底上げが狙える。
- レビュー閲覧者と非閲覧者で注文率が2倍以上変わるという調査もあり、レビュー活用による売上貢献に注目。
出典:https://netkeizai.com/articles/detail/16352
2.Qoo10調査、女性の7割超が“インナービューティー”を意識 — 健康志向の高まりでEC需要拡大へ
Qoo10を運営するeBay Japanが、20代~60代女性500名を対象に「アウタービューティー/インナービューティー」に関する調査を実施。アウタービューティーを「気を付けている」「意識している」と答えた人が65.2%、インナービューティーでは75.8%という結果となりました。(出典:netkeizai.com)
3つのポイント:
- 「インナービューティー(体の内側からのケア)」意識が7割以上にのぼる=スキンケアだけでなく“内側から”という視点が定着。
- 「インナービューティー」において、75.8%の人が「意識している」「気を付けていることがある」と回答。
- ECモールとして、これからはサプリメント・栄養系・生活習慣系商品など「インナービューティー」関連品の品揃え強化が一つの潮流となる可能性。
出典:https://netkeizai.com/articles/detail/16354
3. 世界10か国で医薬品EC市場が急拡大 — 2026年には1,777億ドル規模に
EC/通販支援メディア eコマースコンバージョンラボが、世界10か国の医薬品EC市場を対象に「現状と課題」を整理。2026年に向けてオンラインでの医薬品購入や電子処方箋サービスが大きく伸びるとの見通しを示しています。
3つのポイント:
- 医薬品のオンライン販売市場は2018年約497億米ドルから、2026年には1,777億9,490万米ドルに拡大の予測あり。年平均成長率は約13.96%。
- ただし、医薬品は一般的な通販商品と比較して「規制」「診療・処方・配送」のハードルが高く、単純に“EC化=爆発的成長”と捉えるのは早計。
- 国内のEC事業者も「健康・医薬品系EC」参入時は、物流・規制・販売チャネル設計を慎重に検討すべきという視点を持つべき。
- 用
出典:https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/100620
4. ウイングアーク1st、生成AI搭載「MotionBoard」発表 — BI活用を“誰でも使える”時代へ
ウイングアーク1stは、BIツール「MotionBoard」に生成AIを搭載した新バージョンを12月20日より提供開始すると発表。さらに、2026年度までに500社の導入を目指すとしています。(出典:netkeizai.com)
3つのポイント:
- ユーザーの指示や会話に応じてダッシュボードを生成できる「AIウィジェット」を実装、最短10秒で画面生成可能というスピード性を実現。
- 従来、可視化や分析にはスキルが必要だったが、生成AI活用により現場の業務担当者もデータ活用を内製できる体制へ。
- BIツールの“意思決定支援”から“業務プロセス内製化/自動化”へとフェーズが進化=EC事業者にとってもデータ活用・分析構造の刷新が求められる。
*用語解説:*BIツール・・・Business Intelligenceツールの略で、企業や組織が蓄積したデータを分析・可視化して、経営判断や業務改善に活用するためのツールのこと。
出典:https://netkeizai.com/articles/detail/16236
5. アパレルECで平均売上+7.59% — シルバーエッグが語る“選ばれ続けるEC”のAIレコメンド戦略
AIレコメンドサービスを提供する シルバーエッグ・テクノロジー株式会社 の「アイジェント・レコメンダー」が、アパレルECで平均売上+7.59%を実現したとして紹介されています。
3つのポイント:
- ECサイト内でユーザーの閲覧・購入行動をAIで分析し、「適切な場所とタイミングで、最適な商品をレコメンド」する設計が重要。
- 多品種・低単価の雑貨ECでは、トップページで“発見”を促し、カートページで“合わせ買い”を促すレコメンド設計で平均+9.75%の売上増が出ている。
- 今後は“生成AI+レコメンドAI”の連携で、ユーザー側のAIエージェントとECサイト側のAIが“対話”するフェーズが来る可能性を事業者は視野に入れるべき。
出典:https://ecnomikata.com/original_news/48511
まとめ・感想
今回の5本の記事から見えるのは、「AIによる購買体験の進化」と「生活領域の広がり」です。
レビューや行動データを活用したAI接客(①⑤)は、ECの“店員体験”をデジタルで再現し、より個別化された提案を可能にしています。Qoo10の調査(②)は、内面の健康や美を重視する傾向が強まっており、健康・美容系EC拡大のヒントとなります。医薬品EC(③)は規制の壁を越えつつ市場が成長中。BIツールの進化(④)は、誰もがデータを使って意思決定できる流れを示しています。
総じて、ECは「効率化」から「体験価値の創造」へとシフトしています。 AIをどう活用して顧客理解を深めて購買体験を磨くかが、今後の競争力の鍵になりそうです。

