年々市場が拡大するEC業界。ECサイトの運営は正確さとスピードが求められるため、業務の効率化が必要です。
この記事では、ECサイト運営の業務内容や求められるスキル、注意点を解説します。ECサイトの運営担当者や、これから携わる人はぜひ参考にしてみてください。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
ECNOWはJPholic株式会社が運営する、
ネットショップ情報メディアです。
30社を超えるECコンサルティング実績や自社ECの運営経験をもとに、
「これからECをはじめる」「ECをいまよりもっと活用したい」という声にお応えします。
ECサイト運営は3つの段階に分かれる
ECサイトの運営は、大きく3つの段階で分けられます。
それは
- ECサイト立ち上げ時の業務
- 日常的な業務
- スポットで発生する業務
これら3つですね。
立ち上げ時の業務
「立ち上げ時の業務」とは、
ネットショップを開業する際の業務
を指します。
具体的には
- ネットショップ(ECサイト)の制作
- 販売する商品の企画・生産(持っていない場合)
などが挙げられます。
ECサイト運営は、
販売する商品と、販売するためのECサイトを構築するところから始まります。
日常的な業務
「日常的な業務」とは、
ネットショップを構築したあと、日常的に行う必要のある業務
を指します。
日常的な業務では
- 集客
- 接客
- 梱包・配送
- 在庫管理
- 追客
などを行います。
商品を販売し続けるためには欠かせない業務ですね。
日常的な業務では、この4つのサイクルを回し続けることになります。
スポットで発生する業務
「スポットで発生する業務」とは、
日常的な業務ではないが、定期的に行う必要のある業務
を指します。
具体的には
- 商品の企画・立案
- 季節ごとの販促
- ECサイトの保守・点検・バグ修正
などが挙げられます。
これらの業務は常に発生するわけではありませんが、
ECサイトのメンテナンスやECサイトの成長などのために
必要に応じて行っていくべき業務です。
これらの業務は同じ階層として紹介されていることが多く、
実際のネットショップ運営の流れをイメージしにくくしてしまう原因です。
立ち上げ時の業務で土台を作成する
ここからは具体的に業務内容を解説していきます。
まずは立ち上げ時の業務です。
立ち上げ時に必要なのは「ネットショップ自体」と「販売する商品」ですね。
よって、必然的に必要な業務は以下の2つとなります。
- ネットショップ(ECサイト)の制作
- 販売する商品の企画・生産(持っていない場合)
魅力的なネットショップを制作する
ネットショップの立ち上げは、初めに行わなければならない業務です。
ネットショップは、いわゆるオンライン上の実店舗の扱いとなります。お客さまはネットショップを訪れ、欲しいものを見つけ、買い物をします。
ネットショップ立ち上げの際は、どんな形態で商品を販売したいかによって、
「モール型・ASP型・オープンソース型」から選ぶことになります。
よくあるASP型の場合、ネットショップの立ち上げで意識するのは
- ショップを回遊しやすいような配置を目指す
- ショップデザインとブランドイメージを合わせる
ですね。
特にショップの回遊のしやすさは、売上にも直結するほどの大事なポイントになります。
なお、ネットショップ立ち上げの際は、オンラインショッピングに必要な機能を用意してくれているネットショップ開業サービスを利用しましょう。
ネットショップ作成を手助けするツールなどもあるため、誰でも立ち上げが可能となっています。
販売する商品を企画する
販売する商品を持っていない場合は、当然ですが商品を作る必要がありますね。
ECサイトで売上を上げるためには、ユーザーの需要や競合製品を調べたり、トレンドや季節を考慮して、売れる商品を企画・検討することが大切です。
また、商品の原価率や利益率を計算し、事前に明確な販売計画を作成する必要もあります。
商品企画に求められるスキルは、他社と差別化できる「独創的なアイディアを生む力」だと思われがちです。
しかし、実はそれだけにとどまらず、
- 「商品・マーケット・ターゲット層に関する知見」
- 「世間のトレンドにアンテナを張り、キャッチアップする情報収集力
- 「ユーザーやマーケットに対する分析力と予見性」
など、多岐にわたるスキルが求められます。
日常業務5つのサイクルを回す
ここでは前述の「立ち上げ・日常・スポット」業務のうち、
『日常』業務について詳しく解説します。
日常業務は以下の5つでしたね。
- 集客
- 接客
- 梱包・配送
- 在庫管理
- 追客
順番に見ていきましょう。
集客:お客さまを「広告・SEO・SNS」で獲得する
「集客」では、ECサイトに訪れる母数を増やすことが目的です。
どんなに良い商品を販売していても、人の目に触れることがなければ、売れることはありません。
あらゆるチャネル(経路)を利用して、ネットショップを露出させていく必要があります。
ECサイトでは、以下が代表的なプロモーションチャネルとなります。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- アフィリエイト広告
- コンテンツマーケティング(SEO)
- SNSマーケティング
リスティング広告とディスプレイ広告は、ユーザーの行動や特性に合わせてWEB広告を表示する方法です。
ただちに効果を得やすい反面、広告出稿には費用がかかるため、ECサイトの立ち上げ初期では予算的に使用するのが難しいでしょう。
アフィリエイト広告もWEB広告の種類のひとつで、アフィリエイター(媒体主)が保有するサイトやSNSに広告を設置してもらうものです。
ユーザーが広告リンクを経由して商品を購入するなど、コンバージョン(成約)につながった場合に報酬を支払う成果報酬型となります。
コンテンツマーケティングとSNSマーケティングは、前述した手法と比較し予算を割かずにプロモーションをおこなえます。
効果を得るまでには一定の時間が必要ですが、中長期的にアクセス数の増加させる手段として非常に効果的だといえます。
接客:購入までの導線を意識する
実店舗であれば、訪れたお客様に対して接客を行うことができますが、
オンライン上にあるECサイトでは、実際に対面して接客を行うことはできません。
ECサイトにおける接客とは、適切な購入導線を用意することです。
この業務は、ECサイト構築段階にも含まれていますが、
実際にネットショップを利用され始めた後の定期的な改良も重要です。
他のネットショップと比較したり、自身で自社ECサイトを使ってみたりすることで、
- 商品購入までの導線でつまづく場所はないか
- 購入ステップを省略できるところはないか
などを確認していきましょう。
梱包・配送:ミスをしないことが信頼につながる
受注管理でおこなう出荷指示に基づき倉庫から商品を取り出し梱し、配送業者へ引き渡すまでが一連の業務です。
評価される買い物体験は、お客様が商品を受け取り、実際に開封・利用するところまで設計されています。
ここで最も重要なのは、梱包・配送のミスをしないこと。
お客様を困らせるだけでなく、場合によっては注文キャンセルにもつながってしまいます。
円滑に配送できるように、配送導線をあらかじめ用意しておく、など
ヒューマンエラーを極力防ぐ努力が必要です。
在庫管理:管理システムの構築を徹底することが吉
在庫管理は、必要な量の商品を、必要な場所へ、必要なタイミングで提供するために在庫の過不足を管理する業務です。
在庫管理は売上を左右する重要な業務です。
過剰在庫を抱えることはコストの増加につながり、在庫切れは販売機会の損失につながります。適切な販売予測のもとに在庫管理をすることが必要です。
特に、実店舗や複数の店舗を運営している企業では、在庫管理が複雑になることは珍しくありません。
そのため在庫管理のミスが発生しやすく、個客満足度を低下させる恐れがあるでしょう。
これを防ぐためには、在庫をシステムで一括管理し、さらにリアルタイムで連携させる必要があります。
追客:リピーター獲得のための施策を
追客では、リピーターを獲得することが目的です。
リピーター獲得には、アフターサービスが不可欠だといえます。
アフターサービスは、クレーム対応や問い合わせ対応、ユーザーの手元に商品が届いた後にレビュー投稿を促すメールの配信、次の購入につながるクーポンの配信が業務内容です。
なかでも、クレーム対応は重要だといえます。ECサイトを運営していると、購入者からクレームが来ることも少なくないでしょう。
ユーザーから受けたクレームに対して適切な対応ができれば、リピーターへつながる可能性があります。よって、ユーザーから受ける声には、素早く、真摯に向き合う姿勢が大切です。
ECサイトの立ち上げ初期は集客ばかりに目がとられてしまいがちですが、
リピーター獲得に向け、顧客満足度を上げると、さらに売上が伸びるでしょう。
スポットで発生する業務でさらなる磨きを
最後にスポットでの業務です。
ECサイトのメンテナンスやECサイトの成長などのための業務ですね。
- 商品の企画・立案
- 季節ごとの販促
- ECサイトの保守・点検・バグ修正
商品の企画
商品企画はネットショップ立ち上げ時にも行いましたが、新たな商品をリリースすることが必要となるケースもあるでしょう。
こちらは立ち上げ時同様の商品企画を行えばOKですね。
季節ごと・イベントごとなどの販促
季節ごと・イベントごとの販促はネットショップの成長に有効な手段です。
季節の変わり目やイベントのあるタイミングは、消費者の購買意欲が高まるタイミングです。
ここで、季節やイベントとシナジーのある商品をアピールしていくことは、商品を購入してもらうための施策として効果的だと言えます。
わかりやすい例だと、
ケンタッキーが「♪クリスマスが今年もやってくる〜」という広告を打ち出していますよね。
実際にケンタッキーは2021年の12月20~26日までの七日間に「ケンタッキークリスマスキャンペーン」を実施し、期間中は72億円の売り上げを叩き出しました。
ケンタッキーはネットショップではありませんが、大手チェーン店はこのような季節・イベントでの販促に力を入れていることはわかります。
また、メールやLINEなどで情報を定期的に発信すると、自社ショップを思い出すきっかけとなり、商品のリピート購入につながるケースもあります。
これらより、季節の販促は必須業務ではありませんが、ネットショップの成長のためにはとても大事な業務です。
計画を立てて実行していくことをおすすめします。
ECサイトの保守・点検・バグ修正
ネットショップは一度作ったら終わりではありません。
- 誤字脱字
- 値段設定のバグ
- スマホサイズでの表示崩れ
など、修正が必要な箇所を発見することはよくあることです。
また、長く運営するにつれて浮き上がるバグなども出てくるでしょう。
これらを放置してしまうと、ネットショップの健康が損なわれ、ユーザーの不満につながりかねません。
幸いにも、ネットショップは実店舗以上に改修がしやすいので、素早い対応が可能です。
定期的にECサイトを更新し、健全なネットショップを構築し続けることが、ECサイトで売上を上げるためには重要です。
ここまでをまとめると
一度ECサイト運営業務についてまとめます。
ネットショップ運営は大きく3つに分類できます。
- ネットショップ立ち上げを行う業務
- 商品を販売する日々の業務
- ネットショップのメンテナンスや成長のための業務
がありましたね。
1の「立ち上げ業務」と2の「日々の業務」は、必ず行う業務になります。
特に日々の業務は、複数のタスクを順番に回していく形となるので、これらを円滑に行う仕組みを作っておくと非常に楽になります。
3の「メンテナンス・成長の業務」は、ネットショップの状況を判断して、適切なタイミングで行いましょう。
ここまでは「ネットショップ運営はどんな業務があるのか?」について解説してきました。
では、これらの業務は、どんなスキルを持っていれば円滑に行うことができるようになるでしょうか?
ここからは、ECサイト運営に必要な4つのスキルをご紹介します。
ECサイト運営に必要な4つのスキル
ECサイトを運営するうえでは、以下のスキルが必要だといえます。
- ウェブマーケティングスキル
- クリエイティブスキル
- 商品企画スキル
- CSスキル
それでは、各スキルの特徴を解説します。
スキル1.ウェブマーケティングスキル
ECサイト運営において、最も重要なのがウェブマーケティングスキルです。
ウェブマーケティングスキルは、SEOや広告運用、SNSを活用した集客ができるスキルだといえます。
ECサイトはインターネット上に存在するため、ライバルが多く、競争が激しい世界です。よって、ECサイト運営を成功させるには、いかに自社サイトへユーザーを集められるかが重要になります。
どれだけ優れたデザインでサイトを構築し、魅力のある商品を取り扱っていても、自社サイトへユーザーを集められなければ意味がありません。売上を上げるためにも、ウェブマーケティングスキルは非常に大切です。
スキル2.クリエイティブスキル
商品撮影スキルやHTML・CSSを活用したコーディングスキル、画像加工やバーナー作成などのクリエイティブスキルもECサイト運営には欠かせないスキルです。
商品の魅力が伝わりやすい写真を撮影し、ユーザーにとって使いやすいサイトを制作できれば、売上は自然と伸びるでしょう。
最近では、YouTubeやTikTokで販売促進する企業も増えているため、動画制作スキルも重宝される傾向にあります。
スキル3.商品企画スキル
どれだけWebマーケティングスキルがあっても、良い商品を開発できなければ、売上は伸びません。
よって、商品企画スキルもECサイト運営に必要なスキルです。
市場のトレンドを調査し、自社商品のターゲットに合った商品の開発や予算管理をおこないます。
商品の企画や開発、販売価格の設定など、企業の売上に直接関係する業務を担うため、非常に重要なスキルです。
スキル4.CSスキル
CSスキル(カスタマーサポートスキル)は、顧客対応に関するスキルです。
商品を販売するうえで、ユーザーと必ず関わる必要があります。
クレーム対応や問い合わせ対応など、顧客の気持ちになって対応することが非常に大切です。顧客満足度を上げ、リピーターを増やせれば、自社サイトの評判がよくなり、新規顧客の獲得にもつながります。
企業の売上を伸ばすうえで、CSスキルは必要不可欠だといえるでしょう。
ECサイト運営での注意点
ここで、ネットショップを運営する上での注意点があります。
それは「顧客の気持ちを忘れがちになってしまう」ことです。
ECサイト運営をおこなっていると、日々のルーティンワークに追われてしまい、自身の仕事で精一杯となることは珍しくありません。
また、利益追求のための施策を考えたりすることもあります。
その働きは非常に良いものではあるのですが、それと同時に自己利益のみ集中してしまうがゆえ
「どうすればお客様に喜んでもらえるか?」
という視点が抜け落ちてしまうことがあります。
常にユーザーの視点で物事を考える心構えは忘れてはいけません。
どんな施策・活動においても『お客様に喜んでもらうこと』を前提に、ネットショップ運営業務に取り組んでいただければと思います。
まとめ:ECサイト運営は頑張った分だけ成果がかわる
この記事では、ECサイト運営の業務内容や求められるスキル、注意点を解説しました。
ネットショップの業務は以下の3種類でしたね。
- ネットショップ立ち上げを行う業務
- 商品を販売する日々の業務
- ネットショップのメンテナンスや成長のための業務
また、これらの業務を効率的にこなすために必要なスキルは以下の4つでした。
- ウェブマーケティングスキル
- クリエイティブスキル
- 商品企画スキル
- CSスキル
ECサイト運営には数多くの業務があり、求められるスキルも専門性が高いといえます。
そのため、ネットショップ運営は常日頃の工夫・業務改善を行うことが必要でしょう。
業務量の多さをカバーするには、同じチームのメンバーで業務を分担するとともに、スタッフを教育すれば、一人ひとりにかかる負担の軽減が可能です。
もし一人で運営する場合は、自身のスキルを伸ばすのと同時に、業務を自動化する仕組みを徐々に作っていくことをおすすめします。