ネットショップにおける集客方法の中で、最も一般的なSEO(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション:検索エンジン最適化)対策。重要性は理解しているものの、具体的にどのようなSEO対策を取れば良いか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事ではネットショップにおける効果的なSEO対策を、3つの項目に分類して紹介します。ネットショップの集客面でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
編集者
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ネットショップにおけるSEOの基礎知識
SEOは、Search Engine Optimizationを略した用語。GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおいて、自社サイトの検索順位を高めるためにおこなう施策を指します。
キーワード検索時に上位表示されるサイトは、検索エンジンからキーワードとの関連性・記事の有用性などを高く評価されたもののみ。キーワードとの関連性に欠けたサイトや、検索意図を満たさないサイトは上位に表示されない仕組みです。
ちなみに、日本における検索エンジンのシェアは、Googleが約75%、Yahoo!が約15%を占めます。Yahoo!はGoogleのアルゴリズム(≒サイトの評価基準)を採用しているため、実質的にネットショップのSEO対策ではGoogleのアルゴリズムを意識した最適化が求められます。
本章では、ネットショップにおけるSEOの重要性を紹介します。
ネットショップにおけるSEOの重要性
ネットショップでSEOが重要視される一番の理由は、サイトの検索順位がショップの集客数を大きく左右するためです。
ネットショップの流入経路にはSNSやウェブ広告などさまざまなものがあるものの、その内訳の大部分を占めるのはオーガニック検索(自然検索)と呼ばれる検索画面からのアクセスです。
検索エンジンからの流入は、自社サイトの検索順によって決まります。キーワードを検索したユーザーが開くサイトは、検索順位が1〜5位程度の上位サイトばかり。仮に自社ネットショップの検索順位が20位・30位ともなれば、流入はほとんど見込めません。したがってSEO対策は、ネットショップへのアクセスを確保するために欠かせない、重要な施策なのです。
ネットショップでSEO対策を実施するメリット・デメリット
ネットショップのSEO対策にはメリットのみならずデメリットも存在します。この章では、ネットショップでSEO対策を実施するメリット・デメリットを紹介します。
メリット
ネットショップでSEO対策をおこなうメリットは、下記の4つ。
- 広告費をかけずに流入を確保できる
- SEO対策を施したコンテンツが半永久的に残る
- 狙ったユーザー層をピンポイントで集客できる
- ネットショップのブランディングにつながる
広告費をかけずに流入を確保できる
ネットショップでSEO対策をおこなう最大の魅力は、広告費をかけずとも多くの流入を確保できる点です。
広告はフロー型の集客施策(その場限りの集客施策)であるため、広告掲載をやめると集客効果がなくなります。そのため、継続的にお金をかける必要があります。
一方、ストック型の集客施策であるSEO対策は、年月とともに効果が積み重なっていくのが特徴です。、その上、複数のキーワードで上位表示できれば、広告を上回る流入を確保できます。
SEO対策を施したコンテンツが半永久的に残る
ふたつ目のメリットは、一度おこなったSEO対策が、サイトを消さない限り半永久的に残ること。仮にコラムやブログなどのコンテンツSEOをおこなった場合、公開した記事は残り続けるため、持続的に集客効果を発揮する資産となります。
狙ったユーザー層をピンポイントで集客できる
みっつ目のメリットは、狙うキーワードによって自社が求めるユーザー層をピンポイントで集客できること。たとえば、「〇〇 比較」や「〇〇 価格」などCV(コンバージョン)に近いキーワードで上位表示できれば、購買意欲が高いユーザーを集客でき、売上につながりやすいでしょう。
ネットショップのブランディングにつながる
よっつ目のメリットは、ネットショップのブランディングにつながること。一見するとSEOとブランディングは無関係にも思えますが、実は深い関わりがあります。
たとえば、フライパンに関連する複数のキーワードで上位表示ができたとします。ユーザーがフライパンに関するキーワードを検索するたびに、特定のネットショップが表示されると、「フライパンといえばあのショップ」との認識になるでしょう。
デメリット
一方、ネットショップのSEO対策には、デメリットとして大きく3つの問題があります。
- 成果が出るまでに時間がかかる
- SEO対策が成功するとは限らない
- アルゴリズム変動によって順位が変わる可能性がある
成果が出るまでに時間がかかる
ネットショップでSEO対策をおこなう際に最もネックとなるのが、成果が出るまでに時間がかかることです。SEO対策の成果が出るまでにかかる時間は、数ヶ月〜半年といわれています。
リスティング広告のように、即座に効果を検証できない点は、大きなデメリットといえるでしょう。
SEO対策が成功するとは限らない
ふたつ目のデメリットは、SEO対策が必ずしも成功するとは限らないこと。Googleのアルゴリズムは、1つの要因でサイトを評価するのではなく、サイトの内外部における複数の要因を総合的に評価します。
たとえサイト内を最適化したとしても、競合サイトのほうが高く評価され、検索上位を獲得できないケースもあります。一回のSEO対策で想定する成果を出せるとも限らないため、中長期的な視点でコツコツ取り組む必要があります。
アルゴリズム変動によって順位が変わる可能性がある
みっつ目のデメリットは、アルゴリズムのアップデートにより検索順位が変動する恐れがあることです。仮に検索順位が1位のサイトでも、アルゴリズムのアップデートにより圏外へ飛ばされる恐れがあります。
SEO対策は不確実性が高い上に、時間がかかる取り組みです。自社ネットショップのSEO対策を進める際には、中長期的な視点で根気強く取り組むことが大切です。
ネットショップにおける3項目のSEO対策
ネットショップのSEO対策は、細かなものも含めると多岐にわたります。本章では、代表的なSEO対策を下記3つの項目に分類して紹介します。
- クローラーへの対策
- ユーザビリティへの対策
- コンテンツSEO
各SEO対策の必要性と進め方を、詳しく見ていきましょう。
クローラーへの対策
クローラーとはサイト内を巡回し、検索順位を決めるための評価要因を収集するロボットのこと。クローラーへの対策では、サイト内をスムーズに巡回できるよう、障害や負担を取り除くことが重要です。
具体的には、下記4つのSEO対策が効果的です。
- XMLサイトマップの設置
- 販売を終了したページの対処
- 重複ページの削減
- 内部リンクの最適化
上記4つの対策を順に紹介します。
XMLサイトマップの設置
XMLサイトマップは、リンクが貼られていない孤立したページを知らせたり、新しく作成したページを知らせたりと、クローラーがサイト内の隅々を巡回できるよう手助けするためのもの。クローラーはサイト内のリンクを辿って巡回するため、XMLサイトマップがないとリンクが貼られていない孤立したページを見つけづらく、クローリングに時間がかかる恐れがあります。
クローリングに時間がかかるネットショップは、サイト構造に問題があると判断されかねないため、XMLサイトマップを設置して、クローラーがスムーズに巡回できるよう手助けすることが大切です。XMLサイトマップは、Google Search Consoleから送信できます。
販売終了したページの対処
ネットショップでは、取り扱いをやめたり、欠品が生じたりで商品の販売を終了するケースもあるでしょう。販売を終了した商品ページを放置することはSEOの観点からも、ユーザービリティの観点からもおすすめできません。
たとえば、販売終了のページで関連商品を紹介しユーザーを誘導したり、301リダイレクトの設定をおこない関連商品ページを表示させたりと、販売を終了した商品ページになんらかの有用性を持たせることがおすすめです。
少し古い情報になりますが、GoogleのMatt Cutts氏が「在庫切れや取り扱いを中止した商品のページをどう扱うべきか」という質問に対し、サイトの規模を大・中・小の3つに分けて、それぞれの状況に応じた方法を解説している動画を紹介します。
重複ページの削減
ネットショップには多くの商品ページがあり、ページ内容が重複しているケースが少なくありません。たとえば、同一商品を色やサイズごとに、複数のページで掲載している場合が該当します。
重複ページが多いネットショップでは、どのページが重要なのかをクローラーが判断できず、検索結果に悪影響を及ぼす恐れがあります。したがって、自社ネットショップ内で重複ページに見なされそうな箇所は、下記の方法で対処すると良いでしょう。
- 商品のサイズ・色は1ページ内に収める
- 重複するページを削除・リライト
- PC用とモバイル用ページのURLを正規化
また、重複ページを洗い出す際には、サイトマップを用いて可視化するのがおすすめ。サイトマップを作成すれば、各ページ同士のつながりや階層を把握しやすく、サイト構造を直感的に捉えられます。
内部リンクの最適化
内部リンクを最適化することで、クローラーがサイト内を巡回しやすくなります。また、各ページの関連度が高まることで、ネットショップ全体の評価も高まります。
内部リンクを貼る際には、各ページのつながりや階層を意識すると良いでしょう。仮に帽子の商品ページであれば、デザインの似た帽子や価格帯が近い帽子など、類似度の高い商品ページへの内部リンクが適切です。各ページの特色を十分に理解したうえで、内部リンクの最適化を目指しましょう。
ユーザビリティへの対策
ユーザビリティへの対策とは、ネットショップを訪れるユーザーが、ストレスなくスムーズに買い物を楽しめるよう最適化すること。Googleのアルゴリズムでは、「ユーザーの滞在時間」や「離脱率の低さ」「エンゲージメント率の高さ」も評価の対象といわれており、ユーザビリティの高いネットショップは、結果的に検索エンジンからの評価につながります。
ユーザビリティへの対策では、下記2つの対策が有効です。
- モバイル端末に最適化
- ページの表示速度を最適化
上記2つのSEO対策を、順に紹介します。
モバイル端末に最適化
近年スマートフォンの普及に伴い、インターネット利用機器が、PCからモバイル端末へと移行しつつあります。
これに伴い、Googleはウェブサイトのモバイル最適化を進めるよう促しています。
ウェブサイトはモバイル デバイスで適切に動作することが重要です。まだウェブサイトのモバイル対応を行っていない場合は、ぜひ実施してください。
引用:ウェブサイトをモバイル向けに最適化する|Google広告ヘルプ
Googleがモバイル端末への対応を促している以上、ネットショップのモバイル最適化は必須のSEO対策といえます。まずは、比較的手軽にはじめられる、下記4つのモバイル最適化を進めると良いでしょう。
- レスポンシブウェブデザインの採用
- 掲載情報を絞り、見やすさを高める
- スマホ決済など決済方法の拡充
- EFO(エントリー・フォーム・オプティマイゼーション:入力フォーム最適化)の実施
表示速度
ネットショップのページ表示速度は、SEOに影響する大きな要因です。読み込みに3秒以上かかるページからは 53%ものモバイルサイト訪問者が離脱するとのこと。(参照:モバイルページのスピードに関する新たな業界指標|Google Developers)
ショップを訪れたユーザーのうち半数以上が離脱するのは、大きな機会損失といえます。また、ユーザーの離脱はサイト評価に悪影響を及ぼすため、ページ表示速度を向上させることが大切です。
ページ表示速度を高めるには、
- PHPをバージョンアップ
- 画像・ファイルを圧縮し軽量化
- サーバー性能を高める
- ブラウザのキャッシュを活用
といった手段が考えられます。PageSpeed Insightなどのページ表示速度を測定するツールを活用し、改善すると良いでしょう。
コンテンツSEO
コンテンツSEOとは、良質なコンテンツを継続的に発信し、自然流入による集客増加を目的としたSEO対策のひとつ。たとえば、自社ネットショップで取り扱う商品に関連した悩み・疑問を解消するブログ・コラムなどです。
有益なコンテンツはSEOに有効であり、自然流入の大幅な増加を見込めます。また、独自性の高いコンテンツは、集客面でのメリットのみならず、ショップのブランディングやリピート顧客の獲得にもつながります。
ただし、コンテンツSEOの実行には、膨大な時間・労力がかかるため注意が必要です。コンテンツ制作を外部に発注することも可能ですが、コストがかかる上に、結果を出せる相手なのかを見極めなければなりません。
コンテンツSEOの実行にはメリット・デメリットがあるため、自社にとって最適なSEO対策なのかを検討すると良いでしょう。
こちらの記事で、コンテンツSEOについて詳しく解説しています。
ネットショップのSEOを成功させるための3つのポイント
ネットショップのSEO対策を成功させるためには、下記のポイントを押さえることが大切です。
- コンテンツの質と独自性
- SEO対策は段階的に推進
- 新鮮な情報を仕入れ続ける
それぞれのポイントを順に紹介します。
コンテンツの質と独自性を重視
SEO対策の中でもコンテンツSEOを検討されている場合、コンテンツの質と独自性が重要な鍵を握ります。Googleのアルゴリズムは日々変化しているものの、唯一変わらない点は常にユーザーファーストであること。
ユーザーにとって有益でないコンテンツをいくら作成しても、検索上位を取ることは困難です。反対に、ユーザーが求めるニーズを満たしたコンテンツを提供できれば、検索エンジンから高く評価されるでしょう。
ただ、すでに上がっているコンテンツと類似したコンテンツは、コピーと見なされる恐れがあります。ユーザーが求める情報+αを意識したり、同様の情報でも着眼点を変えたりして、独自性のあるコンテンツ作りを目指してください。
SEO対策は段階的に推進
ネットショップの流入を増やしたいがあまり、ネット上で仕入れたSEO対策をいっぺんに実行することは非常に危険です。有効だと思ったSEO対策がかえって悪い結果をうむ恐れもありますし、どの施策が効果を出しているのかが不透明になるためです。
ネットショップのSEO対策では、問題点を洗い出し、どのように改善するのかなどの仮説を立て、段階的に最適化しましょう。
また、SEO対策は効果が出るまでに数ヶ月単位の時間がかかります。施策の検証は、十分な期間をあけたのちおこなうようにしてください。
新鮮な情報を仕入れ続ける
SEO対策に限った話ではありませんが、常に新鮮な情報を仕入れ続けることは非常に重要です。Googleのアルゴリズムは定期的にアップデートされ、これまで効果があったSEO対策でも、突然効果をなさなくなる恐れがあるためです。
検索順位を高めるには、アルゴリズムに関する最新の情報をキャッチアップし、自社ネットショップのSEO対策に反映することが大切です。また、ユーザーが求める情報は日々変化しており、それに伴い狙うべきキーワードも異なります。
現状、ユーザーがどのような情報を求めているのか、どのようなキーワードを検索しているのかを意識し、トレンドに合わせたSEO対策をおこないましょう。各キーワードのトレンドを知るには、Google Trendsがおすすめです。
ネットショップの流入を増やすには複数の集客方法の組み合わせがおすすめ
SEO対策は、ネットショップの集客力を高めるのに効果的な方法です。しかし、成果が出るまでに時間がかかったり、必ず成功するとは限らないなどのデメリットがあります。
SEO対策のメリットを享受しつつ、デメリットを補うためには、複数の集客方法を並行しておこなうことがおすすめです。
たとえば、初期はリスティング広告で流入を確保しつつも、徐々にSEO対策をおこなって検索からの流入比率を増加させ、広告費を減らしていくことは利益率の向上にも繋がります。また、ブログ・コラムなどを用いたコンテンツSEOとの相乗効果を狙い、SNSの運用を進めるのも良いでしょう。
SEO対策のメリットは魅力的ですが、デメリットも存在するため、複数の集客方法を用いてリスクヘッジすることが大切です。ネットショップの効果的な集客方法については、こちらの記事で紹介しているのでぜひご覧ください。
ネットショップのSEO対策を実施し、流入を増加させよう
この記事では、ネットショップにおけるSEO対策について紹介しました。SEO対策は、効果が出るまでに時間がかかりますが、うまくいけば広告費をかけずとも多くの流入を確保できます。
今回紹介したSEO対策を参考に自社ネットショップを最適化し、自然流入の増加を目指しましょう。
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