ネットショップを運営していると、クレームや苦情を受ける場合があります。特に、ショップの規模が大きくなり利用者が増えるにつれトラブルが起こりやすいため、余計にクレーム対応が必要となるでしょう。
売上を上げるためについつい集客にばかり意識がいきがちですが、顧客対応もネットショップ運営における非常に重要な業務です。この記事では、ネットショップ運営で起こり得るトラブルと顧客対応について解説します。
編集者
JPholic株式会社 ECNOW 編集部
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ネットショップ運営の顧客対応:商品が届かない場合
ネットショップ運営でよくあるクレームのひとつが「注文した商品が指定日までに届かないケース」です。お客様がどうしても指定した日までに商品を受け取りたい場合、商品が届かないとクレームへと発展する可能性があります。
配達が遅れる主な原因は、以下の3つです。
- 配送伝票の記入時に配達時間指定を忘れた
- 指定の配送業者が契約業者・協力業者へ委託する過程でトラブルがあった
- 地震や台風、道路の交通状況など外的要因による配達トラブル
上記のうち、配達時間の指定忘れはネットショップ側のミスです。一方、配送業者のミスや外的要因によるトラブルの場合でも、顧客対応の如何によってネットショップの信用に影響します。
それでは、指定日までに商品が届かなかった場合に取るべき顧客対応を見てみましょう。
配達時間指定を忘れた場合
配達時間の指定忘れはネットショップ側のミスであるため、配送が遅れた理由を明確に説明したうえで、誠実に謝罪すべきです。ネットショップ運営が順調な場合、大量の取引が発生すると管理が困難になりがちですが、送り状の配達時間指定欄は必ず確認しましょう。
さらに、各地域へ商品が届く日数の目安を明確にしておくことも大切です。利用する配送会社の「お届け日数表」をサイト内に掲載するなど、対策をおこないましょう。注文を受けた後に商品の到着日数を伝えると、場合によっては顧客からキャンセルを受ける可能性があり、販売機会を損失しかねません。
配送業者が遅れた場合
指定する配送業者のミスにより商品到着が遅れた場合は、まず業者側に連絡をとり、状況を冷静に把握しましょう。
その後、顧客に対して遅延を謝罪し、配送業者側に原因があったことを伝え、再発防止に努めるように申し入れたと説明します。
責任の所在を明確にすれば、顧客が持つ不快感を軽減できるはずです。ネットショップ側のミスでない場合でも誠実に対応することで、顧客ロイヤリティを高め、ネットショップ再利用を促すことができます。
外的要因が原因である場合
台風や大雪など自然災害が発生しやすい時期や、ゴールデンウィークや年末年始などの物流需要が増加する時期は、事前にECサイト内で配送遅延の可能性を伝えておきましょう。すると、ユーザーはある程度の余裕がある配達時間を指定しやすくなります。
仮に配達指定日までに商品が届かなくても、事前に配送遅延が起こり得る可能性を提示していれば、ユーザーに不満感を与えにくいといえるでしょう。ユーザーは商品が遅れる可能性を把握したうえで注文しているため、クレームにつながりにくいといえます。
ネットショップ運営の顧客対応:商品に傷や汚れがあった場合
ネットショップ運営で起こるトラブルには、顧客へ届いた商品に傷や汚れがあるケースもあります。
出荷時の検品をしっかりとおこなえば、商品の傷や汚れを確認できるため、商品の欠陥は配送中のトラブルや事故が主な原因です。瓶などの割れ物や衝撃に弱いもの、コンピューターなどの精密機器は特に注意すべき商品といえます。
それでは、商品に傷や汚れがあった場合に取るべき顧客対応を見てみましょう。
商品ページに注意書きをしっかりと記載する
ネットショップ側では許容範囲内でも、顧客にとっては小さな傷や汚れが気になる場合があります。したがって、商品に少しでも傷や汚れがある場合には、必ず注意書きを記載しましょう。
特に訳あり商品は、正規商品との違いを明確にする必要があります。
くわえて、写真と実物の色の違いに関する注意書きも重要です。ECサイト内に掲載している商品画像と届いた商品の色が異なる場合、クレームに発展する可能性があります。「モニターの設定によって実際の色と多少異なって見える可能性がある。」などの注意書きを記載しておきましょう。
返品や交換に対応する
顧客へ届いた商品に傷や汚れがある場合、基本的には返品や交換に応じましょう。ただし、配送中のトラブルが原因である可能性もあるため、必ず配送業者へ配送時の状況を確認してください。
配送業者と事前に取り決めをしている場合には、返品や交換にかかる送料を業者側に負担してもらえるでしょう。
ネットショップ運営の顧客対応:ショップと連絡が取れない場合
お盆や年末年始、ゴールデンウイークなど、ネットショップ側が休業している場合にクレームが発生するケースもあるでしょう。事前に知らせていないと問い合わせしても対応してもらえなかったユーザーが不満を抱える可能性があります。
したがって、長期休暇をとり顧客対応ができない場合には、ホームページのヘッダーなどお客様が気づきやすい箇所へ、休業日と営業開始日を記載しましょう。また、営業時間や電話受付の対応時間、メール返信の目安日数も記載すれば、連絡が取れないことで発生するクレームを防げます。
お客様への連絡は、休暇の直前ではなく、早めに知らせておくことが大切です。
お知らせのメールが顧客に届かない場合
注意点として、お客様へお知らせのメールが届かない場合があります。
お客様が使用する携帯がガラケーだと、パソコンのメール拒否やドメイン指定受信の設定によって、ショップからのメールが届かないなんてことも。
ECサイトによくある質問のページを設定しメール受信に関する注意事項を記載すれば、問い合わせやクレームを未然に防げます。
ネットショップ運営の顧客対応:商品のサイズが異なる場合
アパレル商品を取り扱うネットショップで起こりやすいトラブルが、届いた商品のサイズが合わないケースです。この場合、基本的にはお客様都合による返品・交換対応となるため、対象商品や送料の負担に関する決まりを明確にしておく必要があります。
ECサイトに返品や交換に関する注意書きがないと、お客様都合によるキャンセル依頼を断りにくいです。注文後、何日までならキャンセルに対応できるかなど、事前に決まりを明確にしておきましょう。
実寸サイズを記載する
アパレルショップの場合、商品サイズの表記がS・M・Lといった簡単なものだと、メーカーやブランドによってサイズ感が異なるため注意が必要といえます。ネットショップでは実際に試着できないため、ユーザーが思っていたサイズ感と異なる場合、キャンセル依頼や返品を求められるケースも少なくありません。
そこで、身丈・身幅・袖丈などの実寸サイズも記載すれば、サイズに関するトラブルを減らせます。
さらに一歩進んで、モデル着用の写真を掲載できる場合は、「モデルの身長」「モデルの体型」「着用アイテムのサイズ」を記載すると◎。
ネットショップのクレームを阻止する3つのポイント
ネットショップ運営を続けていれば、必ずクレームが発生します。クレーム対応には時間がかかるため、未然に防ぐことが大切です。
クレーム発生を防ぐには、以下のポイントを抑えておきましょう。
- 正しい情報を記載する
- 商品の傷や汚れを細かく伝える
- 過度な写真加工をしない
- 購入者に注意事項を読んでもらう
目先の利益を求めるあまり、偽りの商品情報を記載すると、ショップの信頼がなくなるだけでなく、場合によっては訴えられる可能性もあります。さらに、商品写真を綺麗に見せようと加工し過ぎると、実際にユーザーが商品を受け取った際に、思っていた商品と異なるなどのトラブルが生じやすいです。
それでは、ネットショップのクレームを阻止するポイントを3つ紹介します。
1.正しい情報を記載する
当然ですが、商品に関する偽りの情報を記載するとクレームにつながります。売上アップを目的に、産地や素材を偽ったり、実際とは異なる商品説明を記載したりすると、場合によってはユーザーから訴えられる可能性があるでしょう。
ネットショップ運営を成功させるには、ただ商品が売れれば良いのではなく、商品を購入した顧客の満足度を上げる必要があります。そのためには、誠実に正しい情報をしっかりと伝えることが大切です。
2.商品の傷や汚れを細かく伝える
中古品やヴィンテージアイテムを扱うネットショップの場合、商品に傷や汚れが付いている場合があります。傷や汚れを味として表現する場合もありますが、単なる欠陥品として捉えるユーザーもいるでしょう。
未然にトラブルを防ぐためにも、商品にある傷や汚れを細かく伝えることが大切です。実際の商品を見て購入できないネットショップでは特に、商品の状態を明確に伝えることが必要です。
3.過度な写真加工をしない
ネットショップでは、商品写真の見え方が売上に大きく影響します。実際、商品写真を工夫しただけでショップの売上が何倍にも上がるケースも少なくありません。
しかし、過度な写真加工はトラブルの原因となります。商品写真を加工し過ぎると、ネットショップで見たものは綺麗だったが、実際に届いたものは色味や質感がまったく異なっているとクレームがくる可能性もあるでしょう。
ネットショップに掲載する商品写真を加工する際は、撮影時に足りなかった光を加減する程度に抑えることをおすすめします。
ネットショップ運営におけるクレーム対応の注意点
ネットショップ運営のクレーム対応では、以下に注意しましょう。
- はじめに謝罪する
- 冷静に対応する
- 記録を一定期間保存しておく
- 電話よりメールで対応する
- 説明はわかりやすく伝える
ネットショップにおけるクレーム対応は冷静な対処が大切です。的確な対応をとり、お客様に納得してもらえれば、再び商品を購入してもらえる可能性も十分にあります。
何もかも譲歩する必要はありませんが、誠実な顧客対応を心掛けましょう。それでは、ネットショップ運営で注意すべき顧客対応のポイントを5つ解説します。
はじめに謝罪する
ネットショップ側とお客様側のどちらに非があるのかは、クレームを受けた段階ではわからない場合があります。
しかし、ネットショップ側がミスした場合はもちろん、配送業者やお客様に落ち度があった場合でも、まずは丁寧に謝罪し、相手を落ち着かせることを意識しましょう。顧客が感情的になり、状況が把握しづらいケースも少なくありません。
一方、謝罪は大切ですが、顧客の要望をすべて聞き入れる必要はないです。たとえば、商品が予定した配達日時に遅れて届いたからといって、金銭を要求するようなクレームには対応する必要はありません。適法でない不当な要求は断りましょう。
クレーム対応では、はじめに謝罪し、顧客の感情を落ち着かせて、しっかりと話し合える土壌作りが大切です。
冷静に対応する
謝罪を終えたら、クレームに至った経緯を聞きましょう。多くの場合、顧客はネットショップの誠実性を感じたら、何に不満を感じたのかを落ち着いて話してくれます。
顧客の話を親身に聞きつつ、冷静な状況の整理に努めましょう。
記録を一定期間保存しておく
顧客からクレームを受けたら、なるべく内容を記録し、いつでも確認できる状態を作りましょう。メールでの対応なら文面として残りますが、電話で対応する場合は通話録音機能やICレコーダーを利用すれば記録が残ります。
相手の発言がすべて記録でき、正しい情報をもとに対応できるため、のちに起こり得るトラブルを防ぐことが可能です。あまりに相手の要望が一方的な場合には、記録したやり取りをもとに警察や弁護士に相談しましょう。
スムーズにクレーム対応するためだけでなく、自店を守るためにも、クレームを受けたら相手とのやり取りをしっかりと記録しておくことをおすすめします。
電話よりメールで対応する
クレームに対応する際は、なるべく電話よりメールでおこなった方がスムーズに進みます。電話対応だと、口頭によるやり取りのため「言った」「言っていない」の水掛け論になる場合があり、感情的になりやすいです。
多くの場合、はじめは電話でクレーム対応しますが、状況を把握でき次第、メールでの連絡に切り替えることをおすすめします。メール対応なら、会話内容を文面で残せますし、電話より温厚なやり取りがしやすくなるでしょう。
ここで注意すべき点は、メール対応の丁寧さとスピードです。レビューが高いネットショップは、メール対応が丁寧なうえ、対応スピードが速い点が共通しています。
現在、即日配達などユーザーが求めるスピードが年々上がっているといえるでしょう。つまり、ユーザーから顧客対応で高い評価を得るには、丁寧かつ迅速なメール対応を心掛ける必要があります。
説明はわかりやすく伝える
顧客にトラブルの原因を説明する際は、わかりやすく伝えることが重要です。顧客は、トラブルの原因と改善を求めています。
長々と説明しても、余計に相手を不快にさせる可能性があるでしょう。長い説明は、揚げ足を取られ、ますます状況を悪化させる原因ともなり得ます。
したがって、客観的に状況を見たうえで簡潔に説明することが大切です。感情的な要望や無茶な要求には対応せず、民法や電子契約法などの法律をふまえながら、的確に顧客対応をおこないましょう。
ネットショップの顧客対応によってファンが増える
この記事では、ネットショップ運営で起こり得るトラブルと顧客対応について解説しました。大手ECモールなら、クレーム対応をECモール側に任せられますが自社ECサイトの場合は、自分たちで対応する必要があります。
クレーム対応は手間がかかるものの、うまく対応できればネットショップファン作りに一役買う可能性も。お客様の生の声を聞ける機会と捉え、誠実な対応をおこないましょう。