今週のECニュースまとめ(2025年11月第2週)

今週の注目ECニュース

AIの活用による業務効率化、越境ECのサポート強化、決済・CRMの自動化、そして物流改善。

顧客体験の最適化とオペレーション効率の向上をテーマにした動きが目立った一週間でした。

PCデバイスへのAI搭載、国内ECから海外モールへの出品支援、決済動向データに基づく導線改善、LINEを使った顧客フォローの自動配信、再配達削減に向けた施策など、プラットフォーム/ASP/物流の各領域で、購買体験を変える取り組みが進んでいます。

本記事では、EC事業者の皆さまが押さえておきたい「顧客接点の広げ方」「売上につながる体験設計」「物流負荷の最適化」という3つのテーマからトレンドと活用ポイントをまとめました。

目次

1. 楽天グループ×日本HP、「Rakuten AI」デスクトップ版を協業提供へ

大手モール・プラットフォーム事業者である楽天グループが、PC大手日本HPと提携し、HP製PC上で使えるエージェント型AIツール「Rakuten AI」のデスクトップ版を2026年春~夏に順次展開することを発表。対象PCはゲーミングPCを除くほぼ全機種で、オフライン利用・高プライバシー保護を特徴としています。

3つのポイント:

  • PCという「デバイス起点」で楽天のエコシステム(サービス・購入・予約等)をさらに浸透させる狙い。
  • オフラインでも利用可能という点が「常時ネット接続」からの脱却を示唆。
  • 料金体系含め詳細は未発表=今後の展開次第で、EC運営/データ活用にも影響を及ぼしそう。

出典:https://netkeizai.com/articles/detail/16499

2. LINEヤフー株式会社、Tmall Japan株式会社と連携し、Yahoo!ショッピング出店ストアの中国「天猫国際(TMALL GLOBAL)」への越境EC出品を支援

Yahoo!ショッピング出店ストアが、Tmall Japanとのパートナーシップを通じて中国向け越境ECモール「天猫国際」への出品が可能となるサービス「天猫国際コマース」を開始。出品・翻訳・配送まで一貫支援する仕組みを提供。

3つのポイント:

  • 日本から中国向け越境ECの購買額は前年比+7.7%で2兆4,301億円に達しており、成長市場としての存在感が強まっている。
  • 多くの出店者が「越境に興味あり」と回答(約6割)しているが、運用・配送・言語対応がハードルとなっていた。
  • 本サービスによって、国内出店ツールを流用してそのまま海外販路に“延長線上”で繋げられる可能性が出てきた=中小ECには特にチャンス。

出典:https://eczine.jp/news/detail/17675

3. EC決済動向調査:クレジット・デビットカードが約7割。ID決済は約1割。支払い額が多いほどカード利用が顕著

調査(20〜69歳の男女933人対象/2025年10月実施)によると、ネットショッピングで最も多く使われている決済手段は「クレジットカード・デビットカード」(69%)で、「ID決済(例:PayPayなど)」は11%、「コンビニ払い」は8%という結果。支出額別にみると、支払い額が多い層ほどカード利用率が高く、「3万円〜10万円未満」の支出層ではカード利用が89.2%というデータも。

3つのポイント:

  • 高額支出層では信頼・利便性重視でカード決済が定着している。
  • 手軽さを求めるライト層では、ID決済・コンビニ払いも一定のシェア。
  • EC運営者は、「決済手段の選択肢整備」がカゴ落ち対策・購買促進に直結する。

出典:https://netshop.impress.co.jp/node/15083

4. 株式会社DGビジネステクノロジー(DGBT)、LINEを活用したEC向けフォローメッセージサービス「NaviPlusメッセージ」を正式リリース

DGBTは、ECサイト訪問ユーザーの行動データをもとに、「カゴ落ち」「再入荷」「値下げ通知」などをLINEに自動配信できるサービスをリリース。さらに、LINEアカウントと会員情報が未連携のユーザーにも配信可能という点が革新的です。β版導入企業においてクリック率20.1%、購入完了率7.3%という実績も公表されています。

3つのポイント:

  • 会員とLINEアカウントを紐づけていないユーザーにもアプローチ可能=接点の拡大。
  • 標準搭載のシナリオ(カゴ落ち・在庫僅少等)でフォロー設計が簡易化。
  • EC運営者にとって、顧客フォローの自動化・精緻化が一層求められる時代に。

出典:https://eczine.jp/news/detail/17661

5. 国土交通省、再配達率削減に向けたポイント還元実証の効果を発表 — EC物流のラストワンマイル改善に向けて

国交省が、宅配便の再配達率について、2025年4月時点で大手3社合計で9.5%、6社ベースで8.4%に低下してきていると公表。また、ポイント還元を通じた実証事業では、「1回受取」で最大1.2%、「置き配」で最大3.1%の再配達率低下という成果も出ています。

3つのポイント:

  • 再配達削減=配送効率化・コスト低減という観点でEC事業者にとっても重大。
  • 配送選択肢の拡充(置き配・日時指定など)と消費者意識改革がカギ。
  • 今後、即日配送ではなく「期間ゆとり型配送」や「物流負荷を意識した顧客選択肢」の導入が視野に入る。

出典:https://ecnomikata.com/ecnews/eclogistics/48710/

まとめ

今回の5本の記事から見えてくるのは、「顧客接点」「体験設計」「物流効率化」が同時に進んでいるということです。

プラットフォーム自体が 「体験・ツール」 として再定義され始め(①)、決済やフォローなどの顧客接点の幅”も広がっています(③④)。さらに、越境ECや海外販売に対応する仕組み(②)が整うことで、販路は国内からグローバルへ拡張。物流では、運ぶだけではなく、売り手・買い手が選択できる柔軟な仕組みづくりへとシフトしています(⑤)。

マーケティング、決済、物流はもはや別々ではなく、「顧客の体験価値をどう設計するか」 を軸に統合して考える時代に入っています。

AIや仕組みを単なる効率化ではなく、顧客満足と売上につながる体験設計に活かすことが、これからのEC競争力を左右しそうです。

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