Google、楽天、OpenAIといったプラットフォームに加え、MakeShop、カラーミー、ShopifyなどのASP、さらに法律・規制、物流、決済、マーケティングといったEC事業に関わる幅広い分野を対象に、事業者の皆さまが押さえておきたい最新動向をまとめています。
① makeshop byGMO、アプリ・ブラウザ遷移なしのPayPay決済をダイレクト連携で実現
2025年10月18日、GMOメイクショップ株式会社は、EC構築SaaS「makeshop byGMO」において、PayPayと包括代理店契約を締結し、ECサイト上でアプリやブラウザを経由せずに決済を完結できる新機能を発表しました。
開発不要・月額無料で導入可能なほか、仮売上処理にも対応しており、よりスムーズな決済体験を実現します。
これにより、購入フロー中の離脱(カゴ落ち)を防ぎ、顧客満足度向上にもつながることが期待されています。
3つのポイント
- 決済フローを簡素化し、“カゴ落ち”削減を実現
- 導入コストが低く、中小規模ECサイトにも適用しやすい
- UX改善により、ブランドロイヤルティ強化にも寄与
用語解説:SaaS(Software as a Service)…ソフトをインストールせず、インターネット経由で利用できるソフトウェアの形態。
出典:https://eczine.jp/news/detail/17595
② TikTok Shopの国内市場規模、2026年6月に累計500億円と予測(studio15調査)
2025年10月10日、マーケティング企業studio15は、日本国内におけるTikTok Shopのローンチ後1年間(2025年7月〜2026年6月)で、累計取引額が約500億円に達するとする調査結果を発表しました。
主要カテゴリーは「家電・ガジェット」「美容家電・コスメ」「アパレル」で、現時点では海外セラーがシェアを拡大中。
また、LIVE配信や広告機能「GMV Max」が、販売促進の鍵を握るとしています。
3つのポイント
- ショート動画×ECによる“ソーシャルコマース”が急成長
- 海外セラー優勢=国内事業者は動画マーケでの差別化が課題
- LIVE配信と広告機能の活用が売上最大化のポイント
用語解説:ローンチ(launch)…新サービスや製品を正式に公開・開始すること。
出典:https://ecnomikata.com/ecnews/marketing/48519
③ 「最も買いたくなる表現」は「〇〇%オフ/〇〇円引き」 LINEヤフー調査
2025年10月8日、LINEヤフー株式会社は「LINEリサーチ」にて、消費者が「買いたくなる」「怪しい」と感じる広告表現に関する調査結果を公表しました。
通常価格1万円の商品を購入する際、「買いたくなる」表現1位は「〇〇%オフ/〇〇円引き」(52%)で、割引表示が最も効果的であることが判明。
一方、「怪しい」と感じる表現では「有名人も使っている!」が最多で、過度な信頼訴求が逆効果になる傾向が見られました。
3つのポイント
- 割引・値引き訴求が購買意欲を最も刺激する
- 「有名人も使っている」などのコピーは不信感につながる可能性
- 性別・年代別で「送料無料」「期間限定」などの効果に差あり
出典:https://ecnomikata.com/ecnews/marketing/48494
④ ファッションアイテムは実店舗が人気、ECは「コスパ」と「タイパ」が魅力(あるるモール調査)
2025年10月7日、創作品モール「あるるモール」は、ファッションアイテムの購入実態に関する調査結果を発表しました。
結果によると、購入場所は「実店舗」が65%と最も多く、理由の91%が「実物を確認できるから」。
一方で、ECを利用する理由としては「24時間いつでも買える」「価格比較が簡単」が上位に挙がり、利便性重視の層が一定数存在しています。
3つのポイント
- ファッション商材は“試着・実物確認”を重視する層が多数
- ECでは「時間」「価格」訴求が主軸=ライト層獲得がカギ
- 平均購入単価は5,000円未満が中心、“お試し層”を意識した設計が有効
出典:https://ecnomikata.com/ecnews/marketing/48502
⑤ コーセーがShopifyで新D2Cブランド『muw maze』を立ち上げ、「推しネイル」市場を狙う
2025年10月12日、化粧品大手のコーセー株式会社は、Shopify上で新D2Cブランド「muw maze(ミュウメイズ)」を立ち上げたことを発表しました。
同ブランドは「推しネイル」をテーマに、推しカラーやモチーフを取り入れたセルフネイル商品を展開。
また、海外展開を見据えたプロモーションやクリエイターとのコラボレーションも予定されています。
3つのポイント
- 大手ブランドが自社D2Cでファンマーケットを直撃
- 「推し文化」×「ネイル」で明確なターゲットを設定
- 海外展開を視野に入れた、Shopify活用の新事例
用語解説:D2C(Direct to Consumer)…メーカーやブランドが中間業者を通さず、消費者に直接販売するモデル。
出典:https://eczine.jp/news/detail/17596
まとめ
今回の5件で見えてくるのは、**「チャネルの壁が急速に薄くなっている」**ということです。
決済導線の最適化(①)、ソーシャルコマースの拡大(②)、購買心理を突く表現最適化(③)、リアル×ECの役割分担(④)、そしてD2Cによるファンベース化(⑤)。
これらが同時並行的に進むことで、購買体験そのものが再設計されつつあります。
事業者にとっては、
- 決済や購入導線の見直し
- ソーシャル/動画チャネルの活用
- 訴求表現の最適化
- 実店舗とECの棲み分け
- ファンベースD2Cの構築
といった複合的なマーケティング戦略が求められます。
マーケティングはもはや「運用」ではなく「体験設計」。
データ・アイディア・クリエイティブで、人の心を動かす仕組みを作っていきましょう。