Google、楽天、OpenAIといったプラットフォームに加え、MakeShop、カラーミー、ShopifyなどのASP、さらに法律・規制、物流、決済、マーケティングといったEC事業に関わる幅広い分野を対象に、事業者の皆さまが押さえておきたい最新動向をまとめています。
① 新AI機能「楽天ラクマ」で出品を自動サポート
2025年10月9日、楽天グループはフリマアプリ「楽天ラクマ」において、AI技術を活用した出品サポート機能の提供を開始しました。
この機能は、出品者が登録した画像をAIで解析し、最適なカテゴリ・商品名・説明文の候補を自動で提案するものです。さらに、楽天が保持する数千万点のデータベースや、ブランドリユース大手・コメ兵が年間約240万点を流通させて蓄積したデータも活用し、100以上のラグジュアリーブランド情報を提案可能としています。この機能により、出品者は入力の手間を大幅に削減できるようになります。
3つのポイント
- 事業者にとってのインパクト
出品のハードルが下がることで、初心者や個人出品者の利用意欲が高まります。特に、商品説明やカテゴリ選定に迷う事業者にとって効率化をもたらします。 - 市場の広がり
「ラクマ最強鑑定」で提携する株式会社コメ兵が年間約240万点を流通させており、このデータを活用することで100以上のラグジュアリーブランド情報を提案できます。 - 今後の見通しや注意点
対応カテゴリは現在「レディース」「メンズ」「コスメ/美容」「エンタメ/ホビー」「スマホ/家電/カメラ」に限られていますが、今後拡大予定です。一方で、AI提案の精度や誤提案リスクが課題となるため、ユーザー側の確認プロセス整備が重要です。
出典: 楽天プレスリリース
② 機能性表示食品、非含有・低減表示が解禁|消費者庁がQ&A改正
2025年10月1日、消費者庁は「食品表示基準のQ&A」を一部改正し、機能性表示食品において「成分を含まない」「使用していない」「成分量を低減した」といった表示を可能としました。これにより、「ノンカフェイン」「低糖質」といった表現が機能性表示食品の広告やパッケージで使用できるようになります。本改正は、食品メーカーやEC事業者にとって表現の幅を広げるものです。
3つのポイント
- 事業者にとってのインパクト
これまで禁止されていた“不使用・非含有”を強調する表現が使えるようになり、差別化や消費者訴求の選択肢が増えます。 - 新ルール施行時期
改正日は2025年10月1日です。市場規模は明記されていませんが、健康食品・機能性表示食品全体を背景に考える必要があります。 - 今後の見通しや注意点
表示範囲は広がりましたが、届け出た機能性関与成分や栄養成分以外での「含むこと」を強調する表示は禁止のままです。
出典: ネット経済新聞
③ Salesforce×OpenAI|ChatGPTで営業・ECを一括管理する新機能を発表
2025年10月15日、SalesforceとOpenAIは、CRMと会話型AIの融合を目的とした戦略的パートナーシップ拡大を発表しました。
この協業により、Salesforceの「Agentforce 360」とOpenAIのフロンティアモデルをChatGPT内で統合し、営業データの確認やチャット応答、Tableauによる可視化を自然言語で操作できるようになります。さらに、EC分野向けには「Agentforce Commerce」とChatGPTの“Instant Checkout”を統合し、商品カタログの提示から決済までをChatGPT上で完結できるようになります。
事業者にとってのインパクト
CRMデータや顧客応答・分析機能をChatGPT上で扱えるようになり、ツール間の連携コストを削減できます。
市場規模について
両プラットフォームは週当たり8億人以上のユーザー、52億件以上のメッセージをサポートしており、潜在的な触点規模は非常に大きいです。
今後の見通しや注意点
Agentforce CommerceやInstant Checkoutは「今年後半提供開始予定」とされており、実運用ではセキュリティや決済、UIの整合性が課題となります。
出典: PR TIMES
④ ChatSense、新機能「スライド生成AIエージェント」を法人向けに提供へ
2025年10月9日、株式会社ナレッジセンス(東京都港区)は、法人向け生成AIサービス「ChatSense」に新機能「スライド生成AIエージェント」を追加することを発表しました。
この機能では、ユーザーが日本語で指示を入力すると、AIがWeb情報をディープリサーチし、文章・画像を含むプレゼンテーション用スライドを自動生成します。さらに、生成スライドには著作権情報や参考URLが自動付与されるほか、情報漏洩リスクを抑えるセキュリティ機能も搭載されています。提供は2025年10月中に一部顧客向けに開始される予定です。
3つのポイント
- 事業者にとってのインパクト
資料作成業務の大幅な効率化により、生産性向上と情報共有促進が期待されます。 - 市場規模
ChatSense導入企業は500社以上にのぼります。 - 今後の見通しや注意点
10月中に一部顧客向けに提供が開始されます。情報漏洩対策や生成内容の正確性を担保する運用が求められます。
出典: PR TIMES
⑤ 日本発AIスタートアップ支援|STATION Aiが「AI Boost Program」を開始
2025年9月26日、名古屋市のSTATION Ai株式会社は、ソフトバンク株式会社およびNVIDIAの支援の下、日本発AIスタートアップを対象としたアクセラレーションプログラム「AI Boost Program」の提供を発表しました。
このプログラムは、国内のAIスタートアップ5社を対象に、ソフトバンクのGPUシステムを最大4か月間無償提供し、NVIDIAのエンジニアによる実践型ワークショップやQ&Aサポートを実施します。さらに、STATION AiがPoCや商談機会を提供し、事業共創や案件創出を支援します。募集は2025年12月に開始予定です。
3つのポイント
- 事業者にとってのインパクト
世界水準の技術基盤と事業化支援をワンストップで提供することで、スタートアップの競争力を高めます。 - プログラム募集について
対象は国内のAIスタートアップ5社で、GPUシステムを最大4か月無償提供。募集は2025年12月に開始されます。(詳細は11月に公式ウェブサイトで公開予定) - 今後の見通しや注意点
参加には書類選考があり、応募多数の場合は選考のうえ案内されます。スケジュールや内容は変更となる場合があります。
出典: PR TIMES
まとめ
AIを活用した出品や営業支援、資料作成サービスが続々と登場し、事業者の業務効率化がさらに進んでいます。また、日本発スタートアップの支援も広がり、国内のEC・AIエコシステム全体の活性化が期待されます。